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新しい都市

ウーゴと素材集め

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「本当に弱かったんだなー」

「だから言ったでしょ!」

 ウーゴが強すぎるんだよ。

「でも、戦い方は面白いね。遠距離から近距離までできるし、魔法まで使える」

 だから弱いんだよなぁ。
 いっそのこと、どれか武器を決めちゃった方が良いのかなぁ。

「器用貧乏ってね。火力は欲しいところなんだよね」

「生産職だからそのままで良いと思うけどな。それよりも! 鍛冶士なら採掘取ってるよな?」

「持ってるよ」

「じゃあ、ちょっと着いてきて」

 ウーゴの後に続いてしばらく歩いていると、大きな岩が露出するところにたどり着いた。

「ここで採掘できるんじゃないか?」

 採掘っていうと洞窟のイメージだけど、草原の真っ只中でもあるのかな?
 とりあえず、探ってみよう。

 大岩をぐるりと周ってみると、確かに怪しいところはある。だけど、スキルが戦闘用なので【鉱物探知】と【採掘】が入ってない。

「それっぽい場所はあるけど、スキル付けてないからハッキリとはわからないな」

「街のドワーフがここで掘ってたんだよ。試しにやってくれない?」

 誰かが採掘してたなら当たるかな?
 目星をつけていた3箇所で突いてみる。
 2箇所は【石のカケラ】だけ採れたけど、1箇所だけ【劣化鉄鉱石】が出た。

「お! 鉄か!?」

「劣化のね。だけどスキル付けてなくても採れるもんだね」

 ここで採掘できるとわかっただけでも収穫があったな。
 劣化鉄が取れるなら、何か作っても良いね。
 魔法工房には炉があるかな? 無かったら他だとどこだろう?

「それどうするんだ?」

「んー。鍛冶できるところがあったら、道具でも作ろうかなーと」

「だったら! 俺っちの装備作ってくれよ!」

「俺は雑貨系メインだからなぁ」

 グスタフさんに頼んだ方が早いと思う。
 皮集めもするなら、テッケンさんでも良いし。

「それそれ、さっき見せてくれた鉈だよ。それが欲しいんだ」

「え? 鉈がいいの?」

「そそ。便利そうじゃないか」

 確かに便利だけど、武器性能は低めなんだよな。
 植物採取と解体も多少はできて、武器にも使える程度。

「便利!」

「じゃ、それを頼む! 俺も集めるの手伝うからさ」

 手伝ってくれるなら早く作れるぞ。
 多めに集めて収集用の道具も作ろうかな?




「かなり採れたなぁ。ハッチはまだ荷物持てるか?」

「こっちはインベントリいっぱいだよ」

「俺っちもいっぱいだ。落ちてるのは」

「採りすぎたかぁ。しょうがないね」

「そうだな。任せろ!」

 任せろってなんだ? 埋めるのかな?
 ウーゴがせこせこ動き出したのを見ていると、持ちきれなかった鉱石をひとまとめにしている。

「埋めるなら手伝おうか?」

「何をもったいないこと言ってるんだ」

 すると、ウーゴがポケットから糸を取り出して、鉱石たちを何周か巻いている。
 手際良く巻くので見惚れてしまったが、よく観察すると、極細の糸が使われていた。
 巻いた荷物を背中に担ぐと「さぁ帰ろう」と言ってくる。

「は? 何それ!?」

「これは糸術使ってたら覚えた運搬方法だな。良いだろ」

「糸術!? 俺も持ってる! いや、そうじゃなくて」

「へぇ。糸術便利だから使うと良いぞ」

「それはわかった! それよりも、その糸だよ。どこで手に入れたんだ!?」

 こんな頑丈で細い糸があれば、釣りに使えるはずだ!

「こいつは、俺っちのスタート地点に生息していた蜘蛛の糸だよ」

 うおぉぉ! 今すぐ採りに行きたい!
 でも、遠いらしいからなぁ。
 それに10万Gだろぉ?
 そんな金無いよ。

「行くの大変そう……」

「まぁな。……そうだ! ここいらにも蜘蛛いるらしいぞ?」

「本当か!?」

「あぁ。ただ、ちょっと強いと聞いた。せめて装備整ってれば」

「よし! さっそく作りに行こう!」

 早く装備揃えなければいかんな!

「ウーゴ! 早く行こう!」

「わかったわかった」



 魔法工房へ戻り炉を探したけれど、見つからなかった。

「まさか、鍛冶できないパティーン?」

 そこに教授がやってきた。

「聞こえたぞ。鍛冶だったら2軒隣りの工房使わせてもらいなよ。紹介状見せれば大丈夫なはずさ」

「そんな近くにあったのか。ありがとうございます!」

 息巻いて言われた工房に行くと、武具と雑貨が併設された工房だった。

「よし。入るか」

「待て待て! 素材だけでもと待ってたけど、時間かかりそうじゃないか?」

 ウーゴに荷物持たせたままだった。

「ごめんごめん。すぐ整理してくる」




 馬小屋に荷物を置いて戻ってくると、テッケンさんとウーゴが談話していた。

「戻ったよ。というかテッケンさん?」

「ハッチさんが駆け出すところは見えてたんだけど、声が間に合わなかった。それで彼と話してたんだよ」

 なるほど。
 テッケンさん……皮!

「そうだ! ウーゴ。このテッケンさんは皮加工できるんだよ」

「そうなのか?」

「だから、剥ぎ取った皮で防具作ってもらおう」

 だけどウーゴは難色を示していた。

「いやー、金無いし」

 あぁ。そんなことだろうと思った。
 テッケンさんも想定していたみたいで、すぐに返事してくれる。

「別に現金じゃなくても良いさ。素材集めも大変だし、来たばかりだから情報でも助かるよ」

「おぉ! それならできるぞ!」

 報酬に関してはお互いに相談して決めて欲しい。
 そのまま交渉に入りそうになったので、ウーゴから先に荷物を受け取って、鍛冶工房へ向かった。

「お主《ぬし》はドーリンのところか」

 お、親方の再来か!
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