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日本初イベント大会

辿り着いた2陣たち

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 竹を買ってから7日。
 足りない小物類を集めて作り上げた釣竿は、昨日納品することができた。
 素材集めはテッケンさんも混ざって洞窟に行ったりもしたけど、なぜかモウカさんだけは一向に見かけないな。
 例の配達が大変なのか、ログインできていないだけなのかわからないけど、多少でも力の差を縮めておきたい。



 今居るのは魔法工房の書庫。
 魔法関連の本が並んでいる。
 といっても俺が本を開けないから表紙のタイトルしか読めてない。
『火属性魔法の入門書』という本を見つけたんだが、開くことができなかった。
 他の属性の本も同様で、土属性だけ見ることができたんだ。
 持ってる属性しか見れませんよってことなんだろうな。

 _______________

 <戦闘スキル>
『鉈術:LV13』
『投擲:LV22』→アーツ:ダブルスロー
『スリング:LV20』
 <魔法スキル>
『大地魔法:LV16』(クリエイトストーン、土弾、土壁)
 <生産スキル>
『採掘+:LV25』→アーツ:フォーカス
『鍛冶+:LV23』→アーツ:鍛造(叩法《こほう》)、特殊アーツ:装備破壊
『木工:LV18』『釣り:LV3』
 <強化スキル>
『力:LV25』『器用:LV20』『敏捷:LV15』『魔力:LV12』
 <補助スキル>
『魔力操作:LV13』『糸術:LV8』『鉱物探知:LV25』『耐久:LV22』『自然回復:LV20』
 <耐性スキル>
『臭気耐性:LV10』『熱耐性:LV19』『土耐性:LV2』『打耐性:LV25』『水耐性:LV1』new
 <言語スキル>
『精霊言語』『機械言語』

 _______________


 これが現在のスキル。
 レベルだけはジワジワと上がっているんだけど、水耐性を新しく手に入れたくらいかな。

 さて、パッドの依頼を完了したことで、さらに忙しくなってきた。
 魔法工房の研究が進み始めたことと、釣竿をもっと作れと頼まれたこと。
 そして今日、新たに一つ忙しくなる要素が増えた。



「やっと着きましたー!」
「ここがアルフヘイムですか。あ、ハッチさん撮ってますのでよろしくです」

 20名もやってきたかと思えば、後から続々とやってくると言う。
 それにポックルが多いな。

「生ハッチさんだ!」
「ほんとだ」
「ここの紹介動画見てきました」
「僕も!」

「お、おう」

 なんというか、こんなチヤホヤされることないからビビる。

「はいはい。ハッチさんはガチ配信者じゃないから程々にねー」

 テロップの介入で助かったわ。
 あとで新素材一個だけ融通してやろう。

「えー、それでですね」
「ん?」
「これから沢山やってきて何度も聞かれると思うんですよ」
「うん」
「なので、公開しても良い範囲で先に教えてもらっても良いですか?」

 何を教えりゃ良いんだ?

「テロップ君。そういうのは私が言いましょう」
「あ、グスタフさん助かります」

 何かわからないが解決したな。
 ひとつ気になることがある。

「ところでぶち猫さん。獣耳装備は作ったの?」
「そそ。と言っても私じゃないんです。友達が皮職人なので頼みました。それが……サビちゃーん」

 とことこやってきたポックルも同じような獣耳をつけている。

「皮職人のサビ猫ちゃんです」
「よろしくです」
「サビちゃんは毛皮レシピが得意なんです」
「ネズミ皮を加工したんです。ブイ」

 だから毛がついたままで作れるのか。

「ハッチ! 釣り竿出来たかにゃ?」
「まだだって言ってるでしょ」
「待ちきれにゃー!」

 こいつはパッド以外の同居人で、右爪《みぎつめ》という名前。

「そんなに急かすならパッドと竹取ってきてよ」
「まだ、パッドとか呼ばせてるのか? 肉球で良いのにゃ」

 カッコイイという理由でパッドと名乗ってるらしいけど、俺にとってはパッドの方が慣れてるんだ。

「ハッチさんその子は……」
「ケットシー族の右爪で、工房の同居人だね」

「「猫キター!」」

 気づけば、2人からもみくちゃにされている叫んでいた。

「すごい! 毛並みがサラサラだよ」
「この耳も良い感じ」
「はなせー! やめろー! ネズミ臭い耳なんか押し付けやがってー!」

 嫌がってるけど、俺も少し撫でてみたいな。
 と止めるのを躊躇《ちゅうちょ》してたら、パッドたちが騒ぎを聞きつけてやってきた。

「わわ! 右爪が襲われてる! 助け出せー!」
「「「やー!」」」

 新たにやってきた4匹……人も混ざってわちゃわちゃしている。

「おい! ハッチも見てないで手伝え」
「え? 手伝うって」
「二尾《ふたつお》! 合体だ!」
「やー!」

 名前の通りふたつ尻尾があるケットシーが飛び上がり、俺の肩に着地。
 髪を掴まれたら、体が動かなくなってしまった。

「発進! GOGO!」
「みんなも奴に続けー!」

 右へ左へ髪を引っ張られると、勝手に体が動き右爪を掴む。

「よくやった! そのまま引っ張れー!」
「「「オーエス! オーエス!」」」

「「ああー!」」

 ぶち&サビの残念がる声とは反対に、ケットシーたちの声は明るい。

「ケットシーの団結力は世界一!」
「「「「やー!」」」」

 達成感を味わっているのはよくわかる。

「体が動かないんだけど、そろそろ解放してくれない?」

 頼んでみたけど、頭にしがみついてなかなか離れない。

「えー。乗り心地良いんだけどなーん」
「二尾。そいつは釣り竿職人だから離してあげて」
「それなら仕方ない。早く竿作ってくれなぁぁぁん」

 釣り竿の作り手とわかって素直に降りてくれたけど、代わりにポックル2人から睨《にら》まれている。

「ハッチさんズルくない?」
「一人だけ仲良くなってるし」

 そうは言っても、ケットシーとは顔見知りだからな。

「2人も釣り竿作れば仲良くなれるんじゃない?」
「「それだ!」」


 _______________

 テロップ:うーん。どうしたものか。
 ぶち猫:どうかした?
 テロップ:さっきケットシーとおしくらまんじゅうしてた時の動画なんだけどさ。
 サビ猫:私も見たい。
 ぶち猫:あー。やっぱりかわいいわー。
 テロップ:そこじゃなくてハッチさんがさ。
 ぶち猫:ハッチさんがどうか……。この顔はダメね。
 サビ猫:モザイク必要。
 テロップ:だよねー。顔がトロけすぎている。
 ぶち猫:使えなくて残念ね。
 サビ猫:それでも私は欲しい。
 ぶち猫:私も!
 テロップ:ほんとネタは尽きないんだけどなぁ。
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