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2章 不老者、浮浪者になりました。
第19話 閑話 探索者ギルドの1幕
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高橋がギルドに到着する直前まで戻ります。
ここはギルドの2階、中級探索者になった者が2階で依頼を探すことができる。
そんな場所で昇級が決まったパーティーが書類待ちをしていた。
「へへ。2階から見下ろしてると面白いよな」
斥候の彪人族の男、オーバ。
「趣味が悪いぞ。俺らも最初は1階だったろ?」
軽戦士の狼人族の男、ケイン。
「やっと6級になったんだから、下手なことしてランク下げないでよね!?」
狩人の虎人族の女、アルマ。
「まぁまぁ、今日はお祝いなんだから良いじゃないかー」
重戦士の熊人族の男、ルイン。
6級になったばかりの4人組パーティー『獣士隊』が集まっていた。
「カウンターの列のところ、やりそうじゃないか?」
「罵《ののし》り合ってるわね」
「文句言いながら見てるじゃねーか。あそこのカウンターは……ピピンちゃんか。人気だからいつも並ぶんだよな」
◆
「口喧嘩だけかと思ったがやっとか……。ふん」
「体つきだけでお互いパンチがヘボい。長くなりそうだな」
「ねぇ。ねぇってば!」
「っんだよ! これからなのに!」
「あそこよ! セルジオのカウンターに行ってる奴がいるの! 知らない顔だけど誰か知ってる?」
「「「知らないな」」」
「あっ。あそこで登録したわ。よほどのバカなのね」
「天才の可能性はー?」
「探索者の天才ならあそこに行く必要ないわよ」
「育て屋担当なら、凡才でもそこそこ育ちそうだ。皆んなも一応覚えておいてね」
「そうね」
「それよりー。お祝い行こうよー」
「ふん。あいつが入ってきた時わからなかった。チェックするか」ボソッ
_______________
私の名前はセルジオ・アスール。男爵家の4男だが、事務仕事の方が馴染むので、ギルドで働いている。探索者からは『育て屋』などと呼ばれている。そんな者になろうと思ったわけでは無いのだが、私のスキルがそうさせたのだ。
スキルを平民で知る者は少ないが、洗礼後に少しばかりの喜捨をすると、教えてくれるのだ。
私のスキルは人物観察と言って、相手の性格の傾向、現在の能力の有無がわかる。成長力の高さ等はわからない為、上級に行くような人は性格面で合わないのか、他の職員が担当してたりする。
依頼者との関わりもあるので、担当の探索者との相性も見たり、その依頼達成の能力があるかを見ている。そして中級になった祝いとして、他言しない念書を書かせた上で、人族にはスキルのことを伝える。他種族には上街の武器屋の紹介状を書いてやる。そんなことを続けていたせいか、大当てしないがベテランを多く出す職員として『育て屋』となった。
女性職員の方が人気もあるので、一度は奥で事務処理をしようかと思ったが……。
ギルド長からも「まだベテラン足りないんだ! 受付は続けてくれ」と言われては続けるしか無い。
基本的に担当になれるのは、登録の担当者か本人から変更を言われた時だけとなっている。私が担当すると小言が多いと噂する輩《やから》もいるので、勤続5年目で指名率も最低だ。私のカウンターに来る者は、だいたい世間知らずか田舎者だ。
そして、今日も人が来ないカウンターで、無能なギルド長の事務手伝い|《しりぬぐい》をしている。
「すみません。探索者の登録をしたいんですけど」
いつの間に来たのだろうか。たまにしか来ないと言っても、今までは気づいていたのだが。疲れているのか。
「ふむ。身分証は?」
「えっと、持ってないので門でもらったのです」
そう言って木板を渡してきた。
内容は名無しの村から仕事探しと観光ね。名前は珍しいが、田舎ならそういうこともあるだろう。
さて、私のスキルの出番だ。慣れたもので、スキルで観察しながら、初心者用の説明を続ける。ただいつまでたっても見通せない。話が通じるタイプで温和そうなことは、今話した感想でしかない。ただ草の香りが強く悪い印象は受けなかった。
ノール氏は変わっていることに、共通語は書けずにグルマン語じゃダメなのか聞いてきた。この街もそうだが、人族の多い国では共通語が一般的だ。むしろ獣人族でもグルマン語は書けない者は多い。およそ人族としては変人レベルだろうが、スキルを得た当初のように心が踊る。
説明が終わり帰ろうとするノール氏を引き止める。
私が能力を見切れなかった者は初めてだ。ノール氏に良い依頼とサポートを渡そう。
「まず1年間、私がノール氏を担当します。依頼を受けギルドに関する事を行う時は、必ず私のところに来てください。いない時はあらかじめ担当を用意するので聞くように。ではノール氏に良き探索を」
いつも評価する側だが、氏が成長していれば、1年後は氏が私を評価する番だ。
ここはギルドの2階、中級探索者になった者が2階で依頼を探すことができる。
そんな場所で昇級が決まったパーティーが書類待ちをしていた。
「へへ。2階から見下ろしてると面白いよな」
斥候の彪人族の男、オーバ。
「趣味が悪いぞ。俺らも最初は1階だったろ?」
軽戦士の狼人族の男、ケイン。
「やっと6級になったんだから、下手なことしてランク下げないでよね!?」
狩人の虎人族の女、アルマ。
「まぁまぁ、今日はお祝いなんだから良いじゃないかー」
重戦士の熊人族の男、ルイン。
6級になったばかりの4人組パーティー『獣士隊』が集まっていた。
「カウンターの列のところ、やりそうじゃないか?」
「罵《ののし》り合ってるわね」
「文句言いながら見てるじゃねーか。あそこのカウンターは……ピピンちゃんか。人気だからいつも並ぶんだよな」
◆
「口喧嘩だけかと思ったがやっとか……。ふん」
「体つきだけでお互いパンチがヘボい。長くなりそうだな」
「ねぇ。ねぇってば!」
「っんだよ! これからなのに!」
「あそこよ! セルジオのカウンターに行ってる奴がいるの! 知らない顔だけど誰か知ってる?」
「「「知らないな」」」
「あっ。あそこで登録したわ。よほどのバカなのね」
「天才の可能性はー?」
「探索者の天才ならあそこに行く必要ないわよ」
「育て屋担当なら、凡才でもそこそこ育ちそうだ。皆んなも一応覚えておいてね」
「そうね」
「それよりー。お祝い行こうよー」
「ふん。あいつが入ってきた時わからなかった。チェックするか」ボソッ
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私の名前はセルジオ・アスール。男爵家の4男だが、事務仕事の方が馴染むので、ギルドで働いている。探索者からは『育て屋』などと呼ばれている。そんな者になろうと思ったわけでは無いのだが、私のスキルがそうさせたのだ。
スキルを平民で知る者は少ないが、洗礼後に少しばかりの喜捨をすると、教えてくれるのだ。
私のスキルは人物観察と言って、相手の性格の傾向、現在の能力の有無がわかる。成長力の高さ等はわからない為、上級に行くような人は性格面で合わないのか、他の職員が担当してたりする。
依頼者との関わりもあるので、担当の探索者との相性も見たり、その依頼達成の能力があるかを見ている。そして中級になった祝いとして、他言しない念書を書かせた上で、人族にはスキルのことを伝える。他種族には上街の武器屋の紹介状を書いてやる。そんなことを続けていたせいか、大当てしないがベテランを多く出す職員として『育て屋』となった。
女性職員の方が人気もあるので、一度は奥で事務処理をしようかと思ったが……。
ギルド長からも「まだベテラン足りないんだ! 受付は続けてくれ」と言われては続けるしか無い。
基本的に担当になれるのは、登録の担当者か本人から変更を言われた時だけとなっている。私が担当すると小言が多いと噂する輩《やから》もいるので、勤続5年目で指名率も最低だ。私のカウンターに来る者は、だいたい世間知らずか田舎者だ。
そして、今日も人が来ないカウンターで、無能なギルド長の事務手伝い|《しりぬぐい》をしている。
「すみません。探索者の登録をしたいんですけど」
いつの間に来たのだろうか。たまにしか来ないと言っても、今までは気づいていたのだが。疲れているのか。
「ふむ。身分証は?」
「えっと、持ってないので門でもらったのです」
そう言って木板を渡してきた。
内容は名無しの村から仕事探しと観光ね。名前は珍しいが、田舎ならそういうこともあるだろう。
さて、私のスキルの出番だ。慣れたもので、スキルで観察しながら、初心者用の説明を続ける。ただいつまでたっても見通せない。話が通じるタイプで温和そうなことは、今話した感想でしかない。ただ草の香りが強く悪い印象は受けなかった。
ノール氏は変わっていることに、共通語は書けずにグルマン語じゃダメなのか聞いてきた。この街もそうだが、人族の多い国では共通語が一般的だ。むしろ獣人族でもグルマン語は書けない者は多い。およそ人族としては変人レベルだろうが、スキルを得た当初のように心が踊る。
説明が終わり帰ろうとするノール氏を引き止める。
私が能力を見切れなかった者は初めてだ。ノール氏に良い依頼とサポートを渡そう。
「まず1年間、私がノール氏を担当します。依頼を受けギルドに関する事を行う時は、必ず私のところに来てください。いない時はあらかじめ担当を用意するので聞くように。ではノール氏に良き探索を」
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