サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太

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6章 不老者とクラス召喚

第114話 スキル訓練2

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 一日の終わりに、お互いの成果を教え合っている。3日目になると、カオルやトモエも着実に成長していることがわかる。
 その証拠に、2人の隣には見慣れない奴が付いている。

「私の描いたピーちゃんだよ。かなり上手くなったせいか、動きが良くなってるんだよね。まだまだ精度を上げられそうだから、もっと動ける子になりそう」
「私は新しく鉄トカゲを使役しました。かなり手強くて、みんなに助けてもらってようやく。だけど、力も強くて頼りになる子です!」

 鉄トカゲはどこかで見たことある気がするな。
 そんな風にしげしげと眺めていると、ピースが説明してくれた。鉄トカゲは岩石トカゲの一種で、岩より鉄を好んで食べていた偏食家がそう呼ばれている。同種だけど、パワーが段違いなので、区別するようになったとか。

「ところで浮きくらげは?」

 俺が尋ねると、3人は困った顔をしている。

「鉄トカゲを使役したら、どこかへ行っちゃったんです。捕まえる時一番協力してくれたのに」
「強かったんだけどね。フヨフヨと本当に掴みどころがない奴だわ」

 どこの浮きくらげも似たようなものなのかな?

「俺が使役してたのと似てるなら」
「なら?」
「考えるだけ無駄だね。あいつは、毒集めとニンニクしか興味無かったし。食い物無くてもしばらく生きてられるよ」
「ほえぇ」

 試しに毒草でも撒いてみるか?もしかしたら釣られてやってくるかも。
 近くの枝に強めの毒草を吊っておく。これで明日どうなってるか。



 早朝にカオルと仕掛けを見に行く。
 枝がガサガサ鳴っているので何かしら掛かっているようだ。

「実さん。あれは、ちょっと丸くないですか?というか魚?」
「なんだろうな。フグっぽく見えるけど…」

 俺達が思案していると、後ろから声がかかる。

「ありゃー。スカイパッファーが掛かったか」
「ピースも来たのか」
「それは気になるさ。それよりあいつも強力な毒を飛ばしてくるぞ」
「やっぱり神経毒か?」

 皮膚に当たっても掛かるタイプみたい。

「どうしましょう?」
「そんな時間は無いな。こっち見てるぞ!」

 カオルを抱えて飛び下がると、俺達がいた場所に液体がかかっている。
 せっかくなので、カオルに対処させてみることにした。

「従魔は先に下げておいてね。他にどうすれば良いと思う?」
「えっと、遠距離で戦うか、餌で気をそらすかな」
「じゃあ、パッと見で餌になりそうなのはあるか?」

 見つけられないのか首を振っている。その間にも、空中を泳ぎながら、フグが毒を飛ばして会話を邪魔する。

「それなら遠距離攻撃!」

 おもむろに掴んだ石を投げるが、全く見当違いの方向へ飛んでいく。一瞬気を逸らすが、すぐにこちらへ向き直り、液体を飛ばしてくる。

「戦いは教えてこなかったからね。投擲だけでも覚えさせた方が良かったかな?」
「わわ! 実さん! そんなこと言ってる場合じゃ」

 ピースも俺も、危ない時は動けるようにしているが、遅めのフグは丁度良い相手なんだ。お互いわかっているから、手を出していない。

「あたし達が見てるから、とりあえずやってみなよ。ミノールは薬も強いぞ」

 そろそろ呼び方慣れないかな…。それか難しいならノールでも良いのに。

「避けるだけでいっぱいいっぱい!」
「一旦隠れてみなよ」
「そうでした!」

 カオルが木陰に隠れると、狙いを俺たちに向ける。本能でわかっていたのか弱い奴を狙っていたな。

「30秒あげるから、何か探してみなよ」
「はい!」

 木陰から周りを見渡し、何か無いかと探している。

「直接攻撃してきたぞ。毒が尽きたのか?」
「いや、そいつは毒が半分程になると噛みつきに変えてくる。油断してると、また飛ばしてくるよ」
「やっぱり魔物は頭が良くて面倒だ」

 今の俺は、他人から見たら相当口がひん曲がってるだろう。
 それよりもそろそろ30秒経つ。
 カオルを見ると、毒キノコを見つけている。問題はそれを食べるかどうか。ギリギリ攻撃してないから、ヘイトは低いと思うんだけどなぁ。

「えい!」

 お? 止まったぞ。

「気が散ってる間にゆっくり引くぞ」

 小さめの声と手で合図する。
 俺たちがジリジリと後退するのを見つつ、キノコに集中している。

「ふぅ。何とかひと段落着いたか。ゆっくり離れよう」
「あ!」

 ピースが上空を見ると、空飛ぶイカがフグに突撃していった。
 餌に集中してたフグは、あえなく捕獲され、体にクチバシを突き立てられる。
 これも弱肉強食の世界だと思っていると、更に飛んでくる物体。

「あ、私のくらげ!」

 飛びかかった浮きくらげが、イカに一撃ビンタを入れると痙攣《けいれん》する。更に、捕まえてたフグも横取りして食ってしまった。
 俺たちは、只々《ただただ》その様子を遠巻きに見ているしか出来ない。最終的に、イカはくらげに捕まえられ、海に引きずられて行った。

「世知辛いですなぁ」
「おい! 浮きくらげってあれが普通なのか!?」
「俺の知ってる奴はこんな感じだ。そうだ、ちょっとは成長したなら使役できるか?」

 カオルは数秒考えると、「やってみる」とだけ言って海辺へ向かう。
 到着した時、浮きくらげがイカを海に投げ入れるタイミングだった。

「よし! やります!」

 明らかに魔力量が増えている。更に魔力の練り込みが多いのか、凝縮されている風にも見える。その凝縮した魔力を手に、くらげに触れると浸透していくように見えた。

「やった! 成功した!」
「おめでとう!」
「やったな。それで何か変わったか?」

 カオルとくらげが動かないので、しばらく様子を見ることにした。そのまま5分程も立ったまま、魔力のやりとりをしている。

「わかりました」
「どうだ?」
「何も変わってません」
「おい!」

 カオルの話だと、魔力の繋がりは持てたが、支配出来ていない。鉄トカゲは問題なかったが、浮きくらげは魔力の使役が嫌いだと言う。今回はなんとなく受け入れてやった程度のこと。今後の従魔も、餌をくれるなら着いてやっても良い。そのくらいしか思っていないようだ。

「まぁ、そうだろうな」
「一度戻ろうや。たぶん、みんなも待ってるよ」

 ピースの一言で拠点に戻ることにした。
 残った人たちで朝食の準備を終わらせてくれたようだ。

「どこ行ってたんですか?」

 気になってただろうと思い、朝の経緯を伝える。

「くらげちゃんね。あの子は、葉っぱあげると高いところの採取を手伝ってくれるのよ」

 トモエの爆弾発言。使役の意味が無いとわかってしまった。

「カオル。こいつを飼うなら、常に毒を持ってる必要があるみたいだ」
「逃そうかな……」
「従魔ギルドには報告しておくか。餌の調教可能と使役困難」

 朝から疲れてしまったが、今日もスキルの訓練だ。
 ところで、俺のスキルはいつになったら使えるようになるんだ?
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