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7章 魔王と半仙人
第128話 天ぷらの戦い
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そのグループ全員から、濃縮された気を感じる。
なかなか鍛えられている印象だ。
「お前、気が薄くて変にゃ。」
「なんと、副長がそこまで……。警戒!」
今までの問い詰めは、本気では無かったと言うほどの身構えよう。下っ端達は猫娘を守るように壁を作り、俺を凝視している。
「実さん。なんか変なことになってますよ」
「俺もよくわからないんだけど、説明してくれる?」
今まで質問攻めされてた2人に助けを求める。
「僕達もハッキリとはわからないんですけど、たぶん気力のことを言ってるのかと」
「そうなのか? 魔力じゃなくて?」
「自分たちだけって言ってたから、気力じゃないの?僕達以外で、大人数が使ってるのは初めてだし」
なるほど、以前にも似たようなことで言われたこともあったな。
いつだっけか…。
あとで日記を読み返すか。
それも、この問題が解決出来ないと難しそうだ。
今も一挙手一投足を見逃すまいと、全身から気を漂わせている。
「話すのは良いが、それよりも……」
「それよりも何にゃ!」
「テンプーラを食べさせてくれ! 今でも脳が欲してるんだ。カラッと揚げた衣、それに包まれたジューシーな具材。サクサクとした食感からホクホクに変わる歯の心地よさ。ダメだ。これを食べずに喋れる自信がない……」
俺達の腹は限界だ。
俺の言葉が合図となって5体の怪獣が騒ぎ出す。
5体?
人壁の奥を見ると、人目も気にせずヨダレを垂らす者が1人。
ズルリ。ズルリ。
「ほ、ほぉ。そのテンプーラとやらを、食べにゃがらでも、あちきは良いと思うにゃ」
「副長!」
「こうなったらダメだぁ」
「金も男も興味ないのに!」
「いつものことです。あそこにありますよ」
補佐と思われる青年が指す先に、『テンプーラ』の看板。俺達はそこに並ぶ列の後方につこうとしたところ。
「あちき達に食わせるにゃ!」
1人突っ走った者がいる。
だが、これは許せない行動だ。
屋台を出した経験からすると、ノーグッド。
「それは、最悪の行動だ!」
「なんでにゃ! 早く食いたいにゃ!」
「気づかないのか!? 店主の困惑と若干の軽視。我々はこれから食べ人になるのだ。後ろにいる食べ人達を見ろ!」
列に並ぶ人達もずっと待っていたんだ。
「どれだけ待ち続けていたことか。先頭の彼らも、こんなに筋肉をつけて腹が減っているだろう。だが、従順に待っているんだ!」
「そうだったのかにゃ?」
「もちろんだ。それに横入りして、手を抜かれたらどうするつもりだ?仮初《かりそめ》のテンプーラで満足できるのか?」
「まさか、そんなことがあったのかにゃ。みんにゃ、すまにゃかった」
全員が納得の説明だろう。列に並んでない人達も頷いている。
「ご高説してるところ悪いが、先頭から10人は横入りしてるの見てたぜ」
振り返ると困惑した様子で話す店主。
列を見ると気まずそうな先頭組。
「バカヤロー!」
「にゃああ!」
1番前の1人をビンタすると、もう止まらない。
少女と2人で、1分かからずお眠りいただくと、かなり列がスッキリした。
「ささ、あなた方が先頭ですよ」
「あ、ありがとう」
1番後方に並ぶと、今中に入った人達で、並ぶ者はいなくなっていた。
「まさか次に順番が来るとは思ってなかった」
「うにゃ。これは日頃の行いが良いからにゃ!」
「「はっはっは」」
そこから待つこと10分程、ちょうど団体客が出ていくタイミング。これだけの9人と多いが、全員入れるということで、店主が案内してくれた。
「この揚げる音!」
「天ぷらだ!」
「やっとよ!」
3人も久しぶりの天ぷらに期待を膨らませている。
「食べる前からこんなに喜んでる客は初めてだよ。全員盛り合わせで良いのかい?」
「それで頼みます」
「それにゃ」
「盛り合わせ9にんまえー!」
厨房の中は見えてないが、渋い声で「盛り9」と返ってきていた。
「それで、気の話なんですが」
「うにゃ!」
「あいたっ!」
「飯がきてからにゃ!」
「いてー。わかりましたよ」
俺達は天ぷらが到着するのを無言で待ち続け、とうとうその時が来た。
「あとちょっとで出来るよー」
「あぁ、待ちきれない」
「もう少し、もう少し」
「ヨダレ溢れそう」
俺も、口の中から止めどなく溢れる水を、飲み込みながら我慢している。
急に外が騒がしくなり、その後、数十秒で店内まで騒がしくなる。
「ちょっと良いか、外で乱闘騒ぎがあったみたいだが」
その言葉で、店内の視線が一斉にこちらを向く。
「ん?」
「にゃ?」
「君達が何か知ってるようだな。すまないが、今から詰所まで来てもらおうか」
この兵士は何を言ってるのだろうか?今からだと?
「悪いが、天ぷらを食ってからにして欲しい」
「そうにゃ。テンプーラを食べるまで動けにゃい」
すると、その言葉で一気に気配が濃くなる。
「む。その返事はいただけないな。もしや、誰かがやったんじゃないか?」
9人の中で視線が集まるのは2人。
「おい。見てたな? この2人を連行しろ!」
「え?」
「にゃ?」
一斉に囲まれ、はがい締めにされてしまった。
「ちょ、ちょっと! 天ぷらが待って」
「あちきのテンプーラ!」
「連れてけー!」
暴れる俺達も、腹ペコ状態じゃ力が出ない。
情けなく引きずられながら、店内の様子を見ると、みんなの声が届いてくる。
「実さん」「副長」
「「ちゃんと食べておきますから!」」
なんて奴らだ。
薄情な者とはこういうことを言うのか。
「くっそぉ! 天ぷらが! 天ぷら!」
「テンプーラ! にゃぁぁぁ!」
我々の抗議も虚しく、離れた詰所まで連れて行かれてしまった。
「なんで牢屋に!」
「暴れなきゃ事情聞くだけだったんだよ。そこでちょっと冷静になりなさい」
「出すにゃ!にゃぁぁぁ!」
日も暮れると、光取りの窓から月明かりが落ちてくる。
「腹減ったにゃ。お前は大丈夫にゃのか?」
「俺は食事抜いても大丈夫かな。天ぷら食いたかったけど」
「飯のことは聞きたくにゃい!」
「自分から言ったのに!?」
理不尽な奴だ。
だけど、空腹は可哀想だ。
「果物と野草くらいしかないけど」
「くれにゃ!」
懐から取り出したブドウを引ったくられ、行き場の無い手をぶらつかせる。
「自然を感じるけど、にゃかにゃかの味。次!」
「はいはい」
次々と取り出し、雛鳥に餌を与えていく。
すると周りには種が散乱してしまった。
「あーあ。こんなに散らかして」
「あとはやってくれにゃ」
食うだけ食ったら、すぐに横になり、今は寝息を立てている。
寝てしまったら、仕方ない。
ノロノロと立ち上がり、散らばった種を回収していると、精霊が種で遊び出した。
「楽しんでるところ悪いけど、その種も回収したいんだ」
少し大きめの種を取ろうとすると、まだ取られたく無いのか、引っ張り合いになってしまった。
「そんなに欲しいならあげるけど、ちゃんと片付けておいてよ?」
様々な色の精霊達が踊り出し、喜びを表現している。
ひと通り踊りが終わると、数匹で種を担ぎ、小窓から飛び出して行った。
「あの種、桃だっけ?」
_______________
野生の猫 が現れた。
・たたかう
・ぼうぎょ
・にげる
・えづけ←
野生の猫 が略奪スキルを使用。
餌だけ奪って行った。
なかなか鍛えられている印象だ。
「お前、気が薄くて変にゃ。」
「なんと、副長がそこまで……。警戒!」
今までの問い詰めは、本気では無かったと言うほどの身構えよう。下っ端達は猫娘を守るように壁を作り、俺を凝視している。
「実さん。なんか変なことになってますよ」
「俺もよくわからないんだけど、説明してくれる?」
今まで質問攻めされてた2人に助けを求める。
「僕達もハッキリとはわからないんですけど、たぶん気力のことを言ってるのかと」
「そうなのか? 魔力じゃなくて?」
「自分たちだけって言ってたから、気力じゃないの?僕達以外で、大人数が使ってるのは初めてだし」
なるほど、以前にも似たようなことで言われたこともあったな。
いつだっけか…。
あとで日記を読み返すか。
それも、この問題が解決出来ないと難しそうだ。
今も一挙手一投足を見逃すまいと、全身から気を漂わせている。
「話すのは良いが、それよりも……」
「それよりも何にゃ!」
「テンプーラを食べさせてくれ! 今でも脳が欲してるんだ。カラッと揚げた衣、それに包まれたジューシーな具材。サクサクとした食感からホクホクに変わる歯の心地よさ。ダメだ。これを食べずに喋れる自信がない……」
俺達の腹は限界だ。
俺の言葉が合図となって5体の怪獣が騒ぎ出す。
5体?
人壁の奥を見ると、人目も気にせずヨダレを垂らす者が1人。
ズルリ。ズルリ。
「ほ、ほぉ。そのテンプーラとやらを、食べにゃがらでも、あちきは良いと思うにゃ」
「副長!」
「こうなったらダメだぁ」
「金も男も興味ないのに!」
「いつものことです。あそこにありますよ」
補佐と思われる青年が指す先に、『テンプーラ』の看板。俺達はそこに並ぶ列の後方につこうとしたところ。
「あちき達に食わせるにゃ!」
1人突っ走った者がいる。
だが、これは許せない行動だ。
屋台を出した経験からすると、ノーグッド。
「それは、最悪の行動だ!」
「なんでにゃ! 早く食いたいにゃ!」
「気づかないのか!? 店主の困惑と若干の軽視。我々はこれから食べ人になるのだ。後ろにいる食べ人達を見ろ!」
列に並ぶ人達もずっと待っていたんだ。
「どれだけ待ち続けていたことか。先頭の彼らも、こんなに筋肉をつけて腹が減っているだろう。だが、従順に待っているんだ!」
「そうだったのかにゃ?」
「もちろんだ。それに横入りして、手を抜かれたらどうするつもりだ?仮初《かりそめ》のテンプーラで満足できるのか?」
「まさか、そんなことがあったのかにゃ。みんにゃ、すまにゃかった」
全員が納得の説明だろう。列に並んでない人達も頷いている。
「ご高説してるところ悪いが、先頭から10人は横入りしてるの見てたぜ」
振り返ると困惑した様子で話す店主。
列を見ると気まずそうな先頭組。
「バカヤロー!」
「にゃああ!」
1番前の1人をビンタすると、もう止まらない。
少女と2人で、1分かからずお眠りいただくと、かなり列がスッキリした。
「ささ、あなた方が先頭ですよ」
「あ、ありがとう」
1番後方に並ぶと、今中に入った人達で、並ぶ者はいなくなっていた。
「まさか次に順番が来るとは思ってなかった」
「うにゃ。これは日頃の行いが良いからにゃ!」
「「はっはっは」」
そこから待つこと10分程、ちょうど団体客が出ていくタイミング。これだけの9人と多いが、全員入れるということで、店主が案内してくれた。
「この揚げる音!」
「天ぷらだ!」
「やっとよ!」
3人も久しぶりの天ぷらに期待を膨らませている。
「食べる前からこんなに喜んでる客は初めてだよ。全員盛り合わせで良いのかい?」
「それで頼みます」
「それにゃ」
「盛り合わせ9にんまえー!」
厨房の中は見えてないが、渋い声で「盛り9」と返ってきていた。
「それで、気の話なんですが」
「うにゃ!」
「あいたっ!」
「飯がきてからにゃ!」
「いてー。わかりましたよ」
俺達は天ぷらが到着するのを無言で待ち続け、とうとうその時が来た。
「あとちょっとで出来るよー」
「あぁ、待ちきれない」
「もう少し、もう少し」
「ヨダレ溢れそう」
俺も、口の中から止めどなく溢れる水を、飲み込みながら我慢している。
急に外が騒がしくなり、その後、数十秒で店内まで騒がしくなる。
「ちょっと良いか、外で乱闘騒ぎがあったみたいだが」
その言葉で、店内の視線が一斉にこちらを向く。
「ん?」
「にゃ?」
「君達が何か知ってるようだな。すまないが、今から詰所まで来てもらおうか」
この兵士は何を言ってるのだろうか?今からだと?
「悪いが、天ぷらを食ってからにして欲しい」
「そうにゃ。テンプーラを食べるまで動けにゃい」
すると、その言葉で一気に気配が濃くなる。
「む。その返事はいただけないな。もしや、誰かがやったんじゃないか?」
9人の中で視線が集まるのは2人。
「おい。見てたな? この2人を連行しろ!」
「え?」
「にゃ?」
一斉に囲まれ、はがい締めにされてしまった。
「ちょ、ちょっと! 天ぷらが待って」
「あちきのテンプーラ!」
「連れてけー!」
暴れる俺達も、腹ペコ状態じゃ力が出ない。
情けなく引きずられながら、店内の様子を見ると、みんなの声が届いてくる。
「実さん」「副長」
「「ちゃんと食べておきますから!」」
なんて奴らだ。
薄情な者とはこういうことを言うのか。
「くっそぉ! 天ぷらが! 天ぷら!」
「テンプーラ! にゃぁぁぁ!」
我々の抗議も虚しく、離れた詰所まで連れて行かれてしまった。
「なんで牢屋に!」
「暴れなきゃ事情聞くだけだったんだよ。そこでちょっと冷静になりなさい」
「出すにゃ!にゃぁぁぁ!」
日も暮れると、光取りの窓から月明かりが落ちてくる。
「腹減ったにゃ。お前は大丈夫にゃのか?」
「俺は食事抜いても大丈夫かな。天ぷら食いたかったけど」
「飯のことは聞きたくにゃい!」
「自分から言ったのに!?」
理不尽な奴だ。
だけど、空腹は可哀想だ。
「果物と野草くらいしかないけど」
「くれにゃ!」
懐から取り出したブドウを引ったくられ、行き場の無い手をぶらつかせる。
「自然を感じるけど、にゃかにゃかの味。次!」
「はいはい」
次々と取り出し、雛鳥に餌を与えていく。
すると周りには種が散乱してしまった。
「あーあ。こんなに散らかして」
「あとはやってくれにゃ」
食うだけ食ったら、すぐに横になり、今は寝息を立てている。
寝てしまったら、仕方ない。
ノロノロと立ち上がり、散らばった種を回収していると、精霊が種で遊び出した。
「楽しんでるところ悪いけど、その種も回収したいんだ」
少し大きめの種を取ろうとすると、まだ取られたく無いのか、引っ張り合いになってしまった。
「そんなに欲しいならあげるけど、ちゃんと片付けておいてよ?」
様々な色の精霊達が踊り出し、喜びを表現している。
ひと通り踊りが終わると、数匹で種を担ぎ、小窓から飛び出して行った。
「あの種、桃だっけ?」
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・たたかう
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