ハロウィンの吸血鬼

甘塩ます☆

文字の大きさ
10 / 27

10

しおりを挟む
「それで、何で貴臣なの?」

 マッチングで取り敢えず見つけた餌を紹介してねと言われていたので神村さんを紫雨さんの前に連れて行く。
 当たり前なのだが物凄く御立腹だ。

「すみません、他に居なかったんです。コウモリさんは嫌だと言うし……」

 困った表情をして見せる。
 コウモリさんはトバッチリを受けそうだと、どっかに飛んで行ってしまった。

「まぁ、別に良いだろう。紫雨と契約を交わしてる訳じゃ無いし。と、言うか俺は紫雨のパートナーになる予定は無いんだが」
「なにその言い方、じゃあ山田薫くんとパートナーになるって言うわけ!?」
「誰もそんな事言ってないだろう」

 神村さんに詰め寄る紫雨さんに困った表情になる神村さん。

「そもそも吸血鬼は自分の餌を他の吸血鬼と共有したりしないの!」
「紫雨の餌扱いするの止めてくれ」
「兎に角、私がお前を餌だと認識してるんだから私の餌なんだよ!」
「仕方ないから飲ませてやってると言うのに、もう紫雨には血をやらん!」
「はぁ!? 私が飲んであげているの!」

 二人の言い合いはヒートアップしてしまう。

「喧嘩はやめてください!」

 見かねて間に割って入る。

「元はと言えば君が横から入って来て何なんだ。長の餌を新入りが横取りするって何なの!?」

 キッと、紫雨さんに睨まれる。

「山田くんは悪く無い。たまたま俺の血が口に合っただけだ。そもそも彼はウチの社員だ。社員の体調管理は俺の務めだろう」

 僕を庇う神村さん。
 雲行きが余計に悪くなった。

「そんな訳ないだろ! ただの下っ端になんでそこまで肩入れするの!」
「俺の社員に何て事を言うんだ。もうお前とは絶交するぞ」
「ただの狼の癖に!」
「ああ、解ったよ。もう知らないからな!」

 見かねて僕が間に入ったばっかりに、より話が拗れてしまった。 
 どうしよう。
 神村さんと紫雨さんの間を裂くつもりなんて無かったのに。

「帰ろう!」

 神村さんは僕の腕を掴む。

「えっ、あの……」

 このまま本当に帰る気だろうか。
 紫雨さん泣きそうに見える。
 売り言葉に買い言葉なだけで、絶交したりしたくないだろう。

「泣かないでくださーい!」

 何とかしたいと思ったが、神村さんの力が強いので腕を引かれればもう引っ張られるだけだ。
 紫雨さんが心配で声を投げかけたが、凄く睨まれた。
 余計な事を言ってしまったらしい。
 やっぱり僕のコミュ障は筋金入りだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ずっと一緒にいたいから

隅枝 輝羽
BL
榛名はあまり目立ったところはないものの、真面目な縁の下の力持ちとして仕事に貢献していた。そんな榛名の人に言えないお楽しみは、お気に入りのおもちゃで後ろをいじること。社員旅行の前日もア○ニーですっきりさせて、気の進まないまま旅行に出発したのだが……。 J庭57のために書き下ろしたお話。 同人誌は両視点両A面だったのだけど、どこまで載せようか。全部載せることにしましたー!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

イロ、芽吹く

たがわリウ
BL
組の若頭×ワケあり美青年 借金を払わずに逃げた父に代わり、みつきは、ある組の若頭の世話をするよう命じられる。 若頭は冷たい雰囲気だが、誰にも媚びず、カリスマ性のある男だった。 ぎこちなかったふたりは、次第にお互いに気持ちを膨らませていく。 若頭として抱えた大きな仕事の日、妨害する他の組にみつきが拐われてしまい──。 受が女性のフリをしています。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

情けない男を知っている

makase
BL
一見接点のない同僚二人は週末に飲みに行く仲である。

亡国の王弟は女好きの騎士に溺愛される

コムギ
BL
アラバンド国の王弟ルカーシュは、騎士のシモンによって地下牢から救い出された。 その時、肌に触れたシモンに、やけどのような怪我を負わせてしまう。 ルカーシュは北の魔女の末裔であり、魔力を持っていた。 魔力を持たない者に触れると、怪我をさせてしまうという。 騎士団長からの命令で、シモンはルカーシュの護衛につくことになった。 ※他サイトにも掲載しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

彼はオタサーの姫

穂祥 舞
BL
東京の芸術大学の大学院声楽専攻科に合格した片山三喜雄は、初めて故郷の北海道から出て、東京に引っ越して来た。 高校生の頃からつき合いのある塚山天音を筆頭に、ちょっと癖のある音楽家の卵たちとの学生生活が始まる……。 魅力的な声を持つバリトン歌手と、彼の周りの音楽男子大学院生たちの、たまに距離感がおかしいあれこれを描いた連作短編(中編もあり)。音楽もてんこ盛りです。 ☆表紙はtwnkiさま https://coconala.com/users/4287942 にお願いしました! BLというよりは、ブロマンスに近いです(ラブシーン皆無です)。登場人物のほとんどが自覚としては異性愛者なので、女性との関係を匂わせる描写があります。 大学・大学院は実在します(舞台が2013年のため、一部過去の学部名を使っています)が、物語はフィクションであり、各学校と登場人物は何ら関係ございません。また、筆者は音楽系の大学・大学院卒ではありませんので、事実とかけ離れた表現もあると思います。 高校生の三喜雄の物語『あいみるのときはなかろう』もよろしければどうぞ。もちろん、お読みでなくても楽しんでいただけます。

処理中です...