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39話 ※フェ

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 笑美が翠に付き添って城まで行けるには理由が有る。
 勿論、毎日ちゃんと水晶玉に力を宿して出掛けているのだ。
 力の源は翠と一緒に居る事ともう一つ。

「ァァン、おちんちんキモチイイれす。ンァン!」
「もっと私の口の中に出して下さいね」
「ハァん、ァァァ!」

 四日に一回の翠からの精液を貰っているからである。
 初めのうちはまるで翠を餌にしている様で嫌であったが、翠が、
「もう、笑美さんのお口でしかイけません」
 とか、
「笑美さんが飲んでくれないのなら俺も笑美さんの入れてれたホットココアもう飲みません」
 とか、
 しまいには
「おちんちんが腫れて痛いので舐めて下さい」
 と、懇願してくる等され、四日に一回はフェラチオして翠から精液を貰うのが日課になった。
 一番良い状態の精液を貰ううちに笑美は力が有り余る程になり、もう元気過ぎる。
 肌艶も良くなり、髪はより艷やかに、瞳は輝く様だと褒められる。
 それは嬉しいし、気分も良いし、この頃若返った様に身が軽くなった気がして良い事尽くめなのだ。
 でも、やっぱりもっと欲しくなってしまう。
 フェラだけじゃ物足りない。
 笑美だって男であるし、勃起するのだ。
 フェラチオだけで達せるような事も無く、翠に気づかれない様に自慰したりして発散するしかない。
 終わった後は凄く虚しくなってしまう。
 これは何だろう。
 セフレでは無いし、フェフレだろうか。



「魔王さぁ。また街で喫茶店でもしたら?」

 そう提案してきたのはハーワドだった。

「喫茶店してたんですか?」

 翠に勉強を教えていたジュノも驚く。
 ハーワドは暇だったらしく、ソファーに腰掛け笑美の入れた紅茶を飲んでいた。
 最近の笑美はいつの間にか紅茶を入れる係である。

「ここまで来れるんだから魔王城に居なくても大丈夫なんだろ?」
「そうですね。翠さんのお陰で割と身軽に行き来出来ますけど……」

 喫茶店かぁ。
 考えて無かったが、確かに今なら出来るかもしれない。

「良いじゃないですか。翠さんと二人でしたら翠さんの社会勉強になります」

 ジュノも絶賛している。

「開店資金なら俺が出してやるぞ?」

 気前のいいハワード。
 二人にそこまで後押しされたら笑美もヤル気になる。
 悪い話しじゃなかった。
 
「ですが…… 私、魔王として面が割れてますよね。怖がられませんか?」

 でも良く考えたら国民にも多分顔を知られてしまった。
 魔王が喫茶店とか、ちょっと無理なんじゃないだろうか。

「大丈夫だろう。国民の中に魔物に恨みを持つ者は確かに居るが、魔王は救ってくれたと皆知っているし、何なら英雄視されている程だ。まるで天使の様な歌声の美人だと盛り上がってる」
「そうなんですか?」

 天使の様な歌声の美人と言われているのか。
 笑美は知らなかった。
 ハードルが高すぎる気もする。
 言うほど美人じゃないとか声普通じゃんとか思われても何か嫌である。

「逆に人気者過ぎてマズイかもな。俺より支持を集められても困る 」

 うーんと、考えてしまうハワード。

「話題性は有るんじゃないですか? 元魔王の喫茶店、協力者は元勇者の王ハワード様とか平和的で良いのでは」
「とても良いと思います」

 ジュノは凄く押してくるし、翠も期待した様な表情をしている。
 翠に期待されてしまったら笑美の答えは『やろう!』しかなくなる。

「期間限定でも良いかもな。それで良い感じならそのまま続けたら良い」
「そうですね。やってみます」

 ハワードは直ぐに着手すると、部屋を出て行った。
 笑美も折角自分の喫茶店が出来るのだ、メニューを考えなければと、ノートを取り出す。
 それに集中しだしたので、ジュノと翠も勉強の続きを再開するのだった。
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