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25話

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 客人と話していた春岳は、伊吹がこっそり見に来ている事に気づいていた。
 心配して様子を見に来たのだろう。
 だいぶ調子が戻った様だなと、安心した。
 直ぐ千代が迎えに来たらしく、連れて行かれてしまったが。

 その後、千代は直ぐに戻って来て客人に酒を注ぐなど、接待してくれていた。

「山向の城では戦の準備をしています。田方殿もお気をつけください」

 客人は情報をくれ、そう注意を促してくれる。

「ほう、戦況はどの様になりそうですか?」

 更に情報を求める春岳。

「味方の城の勢力の方が弱いですね。恐らく援軍を要求されるでしょうな」
「ふむ……」

 酔った客人は色んな話を春岳に知らせてくれた。
 何処と何処が戦中だとか、何処が軍勢を広げているとか、主に血なまぐさい話である。
 里の仲間に聞けば、それなりに情報をくれそうである。
 しかし、もう里の者では無くなった身。
 勿論、金銭等を要求されるだろう。
 元仲間割をしてもらっても払える額じゃなくなる可能性がある。
 我が城は金欠である。
 里と敵対したくは無いが、あまり頼む事も出来ないな。
 本当に窮地になれば、何とか掻き集めて依頼しようとは思うが、まだその時じゃないだろう。
 先日手伝って貰ったのだって、いつ請求書が矢文で飛んでくるかとヒヤヒヤしてる所だ。
 ちょっと忍務を手伝ってチャラにしてくれたら良いのだけど。

 そんな事を考えながら客人と話していたが、酔った客人はウトウトしだした。

「お休みになられますか? 千代」

 千代に客人を寝所に案内させ、閨の相手しろと命令する。
 千代は頷くと、客人を連れて隣の部屋に向かった。  
 襖を開ければ直ぐに布団が二組敷かれている。 

「よいではないかよいではないか」
「あ~れ~ 乱暴はお止めになって~」

 なんて声が直ぐ聞こえて来た。
 春岳は、そのまま客人へ接待を千代に任せ、サッサと宴席の片付けを始めるのだった。
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