無理です!!。乙女ゲームのヒロインからの正統派ライバル令嬢なんて務まりません! 残念JK残念令嬢に転生する

ひろくー

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モブ令嬢へサプライズなヒロインアリス

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 そして更に日は過ぎていき、皆のドレスの仮縫いを終え、休みの日には仮縫いの時に比べて太っただの痩せなきゃだのの大騒ぎになっていた。
 今日の授業は午前のみ。アリスは午後のダンスレッスン前の時間にユリアンヌ達と一緒に談話室でクリスマス舞踏会の時に男性パートナーに贈る花飾り作りの練習をしていた。
 クリスマス舞踏会ではガチペアは胸元に飾る生花の花飾りを互いに贈り合う。女性は男性パートナーに自らの手で生花で作った胸ポケットに挿す手作りの花飾りを贈る。ゲームでもパートナーに選ばれた攻略対象キャラクター達はヒロインから各キャラクター色の一輪の薔薇を贈られて胸ポケットに飾っていた。
 段取りとしては前日に花飾りを作って花瓶に差しておき、当日に切り口等を綺麗に仕上げてクリスマス舞踏会へパートナーが迎えに来た時に相手の胸ポケットに自ら飾って一緒に入場という流れだ。
 確かにキラキラなスチルだったわ~♪
 とまあ流れはゲームと同じだが、
 ゲームでは自力で手作り工程は省かれてた!
 しかも花飾りのデザインのバリエーションが広がっていた。
 大輪の花を一本でリボンを結ぶという基本の他に数本の花を彩り良くまとめてリボンを結んだり緑の針金で工作状態にしている物もあり、更に自分で余計なアイデアを足したアリスは、
「あ~~っ」
 な状態に陥っていた。
「まさかこんな形で自分に返ってくるとは…」
「四の五の言わずに何度デも作って練習でスよ、アリス」
 用意された花を前にアリスはアイシャからつきっきりで花飾りの訓練を受けていた。しかし不器用なアリスは基本の一本の花にリボンを結ぶと、
「これでは縦結びでス。これはリボンが曲がっテます。これは下の針金が見えてマーす」
 何回作ってもアイシャのダメ出しが止まらないアリス。
 男は既製品でOKなのにどうして女子は手作りマストなのよ。花飾りってスポ根並な猛特訓で出来上がっていたのね。これもミニゲームなのかしら…。どうして本筋よりミニゲームの方が難しいのよっ。この後ダンスレッスンが待ってるのに。
 しかも花飾りを作らなければならないのは自分の他はサーシャのみ。
 ガチペアで生花の花飾りを贈れる栄誉を得たのに泣き言を言うな!
 と周りの風当たりはそりゃもう強い。
 いや、要らないんだってば。
 アリスは精魂尽き果て、
 バンッ!
 そこに仮縫いのドレス合わせが終わったノーラが勢い良くドアを開けるなり宣言した。
「私、今日からパンを3口、いえ、5口分を減らすわ」
 その宣言を受け、王都にある自宅で仮縫いのドレス合わせを済ませていたユリアンヌが立ち上がり、
ノーラと固い握手を交わす。
「友よ」
「絶対にあのドレスを美しく着こなしましょう」
「ええ、お互いに頑張りましょうね」
 そしてユリアンヌとノーラはヘトヘト顔のアリスの両頬を片方づつ引っ張った。
『なのにどうして貴方はまた痩せているっしゃるの~』
「はんふひんひょうにひへほ~」
 なんやかんや言いつつも皆は一番お気に入りのドレスを遠慮なく言いたい放題で注文していた。モブとはいえ皆そこそこに裕福な家のご令嬢達だ。ドレスを新調するのを控えたサーシャもお直し用に取り寄せた色とりどりのリボンの色見本を手に、
「このリボンで花を作ってドレスのスカートに沢山付ける事にしたの。素敵よね♪」
 とニコニコしている。その時ドアがノックされメイドの一人が顔を出した。
「仮縫いのドレス合わせのお時間で御座います」
『はーい』
 アイシャや他の非公認サークルメンバー達の名が呼ばれ、
「戻ってきたらマた続きをやるデすよ、アリス」
 の言葉を残しアイシャ達はいそいそと部屋を出て行った。エリアナはまだダンス講師のレッスンから戻ってきておらず、部屋に残ったのはアリスの他にはユリアンヌとノーラ、そしてサーシャの三人になった。
 ……今だ。
 アリスは急にスッと真面目な顔になるとへにゃへにゃになった花飾りの出来損ないを置き三人に向き直る。
 ?とサーシャは首を傾げユリアンヌとノーラは、
「やだ、そんなに怒らないでよ」
「諦めたパンやオヤツは良かったら食べて」
 と笑顔で言った。
「それは有り難く戴くわ。けどそうではなくて」
 アリスはコホンと咳払いをひとつすると、
「実は私カイル様からクリスマス舞踏会用にドレスをプレゼントして戴きましたー!履き慣れた靴以外は全てセットの大盤振る舞いですっ」
『…、えーーーっ!!』
 アリスのぶっちゃけに叫んだユリアンヌとサーシャとノーラは慌てて口を押さえてとお互いを見る。
「この事はここにいる人以外にはクリスマス舞踏会当日迄は内緒で」
 アリスの言葉に三人は口を押さえたまま無言でコクコク肯きお互いの顔をしばらく見合わせていたが、
『ぷはっ』
 と同時に息を吐いた。
「すっ凄いわね。一揃え丸ごとなんて」
「手袋片方だけでも家宝になるのに」
「破格の待遇よ」
「そーなの?」
 首を傾げているアリスを三人は揃ってじーっと見つめ、
『まさか未来の王太子妃になるなんて……、事がある訳ないかー』
 自分達で言って自分達の言葉に笑うユリアンヌ達。
 ゲーム内ではあり得る展開ですが。
 アリスは心の中でだけ言い返した。笑っていたユリアンヌはふと思い出し、笑うのを止めてアリスに心配そうに聞いた。
「アリス、もうお母様には伝えているのよね?」
「うん、手紙で伝えた」
「そう」
 ユリアンヌは億劫がるアリスに代わりドレスの打ち合わせのやり取りを一切合切やってくれていた。
「万が一の事に備えて誂えたドレスは念の為に送っておくって言ってた」
 アリスの返事にユリアンヌは溜息で、
「そうね、お母様ならそうおっしゃると思うわ。でも」
「ええ、せっかく丹精込めて作ったドレスの出番がないなんてお母様は内心は寂しく思っていらっしゃるでしょうね」
 ユリアンヌの言葉に頷くサーシャ。
「じゃ、私のママドレスはサーシャが着る?」
 アリス母を気遣うサーシャにアリスはあっさり言った。
「え?」
 聞き返すサーシャにアリスはもう一度、
「私のママドレスをサーシャが着てくれない?折角作って貰ったのに箱に入れたままでそのまま家に持ち帰るのもなと思って母さんに聞いてみたら、仕舞いっぱなしやお前がコケて破いたりするよりよっぽど良いって。実はサーシャのサイズを裏から(クラリア様が)手に入れてもう母さんに送っちゃった。母伝言でドレスに付ける為に用意したリボンをこちらへ送って欲しいって。あのドレスに付けたいんだって」
 アリスの言葉にサーシャはパチパチと瞬きをして、ユリアンヌとノーラを見た。ユリアンヌは無言でポンと手を打ちガシッとサーシャの手を取った。
「一生のお願い。私のドレスは差し上げるからアリスのママドレスを着る権利を私に譲ってくれないかしら」
 目を丸くするサーシャの手からユリアンヌの手を払い除けたノーラが叫ぶ。
「ズルいわっ。私だってアリスママの楽ちんドレスを着たいのよ。私はドレスの他に小物も付けるから是非私に権利を」
「えええ~?」
 サーシャを挟んでユリアンヌとノーラはバチバチと火花を散らす。サーシャは思わぬ展開に助けを求めてアリスを見た。
「私の王太子ドレスとの交換はどう?!」
 サーシャと目があった瞬間アリスは口走っていた。
『いや、それは駄目でしょ』
 三人の冷静なツッコミに、
「…」
 アリスはガックリと肩を落とす。
 そりゃそーだ。
 サーシャは遠慮勝ちに辺りを見回すと、
「やったぁ♪」
 と小さくバンザイをした。
『……』
 どんより雲を背負ったアリスの右肩をどんより雲を背負ったユリアンヌがポンと叩く。
「美しく装うという事は苦難と共にあるのよ」
 アリスの左肩をどんより雲を背負ったノーラが叩く。
「クリスマス舞踏会へ向けて互いに高めあっていきましょう」
「…」






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