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悪役令嬢のお墨付き
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「るんたったー♪るんたった~♪」
とある休日前の放課後、ダンスレッスンに向かうアリスは鼻歌まじりに誰もいない廊下で一人スキップしていた。
あいも変わらずアリスのダンスレベルの向上は見る影もなくマリア先生の眉間のシワは深くなりケビン先生の髪には白いモノがチラホラ見えてきたりしているのだが今日のアリスは御機嫌だった。
その為、背後の廊下に黒い影が差し込んだ事に気付かなかった。
「るんたった、るんたった♪」
「あ~ら、ご機嫌ねぇ」
背中から聞こえた嫌味な声に、
ギグッ。
アリスのスキップが止まる。
恐る恐る振り返るそこにはアナベル&セシルを両脇に従えたクラリアが唇の端を吊り上げて立っていた。
「…クラリア様」
『ダンスレッスンがスキップするほど楽しいなんて喜ばしい事ですわね、お姉様』
「ええ、喜ばしい事ですわ。楽しいのがダンスレッスンなら」
クラリアと双子姉妹が笑顔でアリスに向かって歩いてくる。
逃げなきゃ。
しかしアリスの足は床に根が生えた様に動かない。そしてクラリアとアナベル&セシルの三人に囲まれたアリスは、
「その、あの、いえ…」
としどろもどろで口ごもる。ニヤリと笑ったアナベル&セシルは代わる代わるアリスの顔を覗き込んだ。
「週末の外出許可が下りたそうね。お家の御用かしら?」
「こんな時に商家のご友人方とクリスマス舞踏会用の花飾りで使う小物を買う為にお出掛けなんてなさいませんよね?」
『それはサクッと済ませて街へ繰り出して遊ぶぞー♪なんて考えは微塵も御座いませんよね?』
アナベル&セシルの言葉とクラリアの刺すような視線に、
「…」
返す言葉が無いアリス。アリスはガックリと肩を落とした。
…終わった。
アナベル&セシルの指摘通りアリスは今週末の休日にユリアンヌ達と以前に話題にしていたクリスマス舞踏会の花飾りを飾る小物を買いに街へ出掛ける予定を立てていた。
一年生時は家の用事などでないと外出許可は基本的に下りない。しかしクリスマス舞踏会に関しては比較的私的用件でも下りやすくなっていた。アリスのダンスレッスンが休息日に合わせて皆で花飾り作りの小物を買いに出掛けるという申請をして許可が下りたのだ。移動手段はユリアンヌが家の馬車を調達済。
皆で楽しく可愛い小物をショッピング♪は建前。アリスの真の目的はクリラブ2の聖地巡礼だった。
ユリアンヌの家は魔法省等が軒を連ねる官庁街にあった。
…、折角王都にいながら前学期は勉強三昧で巡礼出来ず、後学期こそはと思っていたら発表会や鬼のダンスレッスンで学園外に出る事すら叶わず。魔法省門前に学期間の休みにチョロっと覗けただけなんてあんまりだぁっ。
リアルアレク様を拝みたいなんて贅沢言いません。探し回ったり出待ちとかしないから聖地巡礼したい。クリラブ2のゲーム世界を味わいたい。
いつまで待てばいいの?どんだけお預けかますのよっ。せめてのアレク様ぬいとご一緒に聖地巡礼、いつになったら出来るのよ~っ。
アリス心の叫び。
絶対行く!
しかし今それを口にする度胸はアリスには無かった。
自らを取り囲む6つの目、取り分けクラリアの心の内を通せない瞳の奥が怖すぎた。
…、命には変えられない。やっぱり聖地巡礼は断腸の思いでも諦めるしか。クリスマス舞踏会のミニゲーム、鬼ムズが過ぎる。朝から踊りまくってやっとクリア出来るかどうかなんてリアル乙女ゲームミニゲーム達マジでシンドい。
そういえば赤い靴を履いて踊り続ける女の子の童話があったなぁ。呪いの朱い靴。気付かぬ内に間に悪役令嬢に履かされてたのね。いや正統派令嬢もノリノリで用意していた気がする。
涙目のアリスはクラリアを見上げて、それをクラリアは見返し、
「宜しいのではなくて」
「はい、止めま…え?」
クラリアの思い掛けない言葉にアリスは目を丸くした。クラリアはニッコリと優しい笑みを浮かべていた。
「折角の外出許可ですもの、花飾りを彩る小物の用意も大切な事です。気晴らしにもなりますしね。お友達と楽しんでいらっしゃい」
「ま、マジで?!」
微笑むクラリアに後光を見たアリスは、
『お姉様に向かってなんて口のきき方なの?!』
と激怒するアナベル&セシルは全く目に入らず、履いていた?赤い靴を(心の中で)脱ぎ捨てると空高く放り投げた。
「ありがとうございますっ」
アリスは歓喜の声を上げるとひしっとクラリアの手を取ろうとして、アナベル&セシルのチョップで阻まれる。アリスは代わりに右手にアナベル、左手にセシルの手を取ると、
「わーい、わーいっ」
そのままピョンピョンとジャンプした。
『ひゃあぁ、お、お姉様ぁ~』
アナベル&セシルはアリスの狂喜乱舞の巻き添えで目を白黒させるがアリスはお構いなしに飛び跳ねていた。
「魔法省裏門~、郵便局~、北の街灯の下~、公園のベンチ~♪」
アリスの脳内をクリラブ2のスチルが高速で流れる。
あ~、楽しみ♪
街の地図はバッチリ頭に入れた。聖地全部は無理でも3分の2は巡りたいなぁ♪
ぴょんぴょんアリスととばっちりで目を回しそうになっているアナベル&セシル。それを見てクラリアは、
「…」
はぁと溜息をついた。
「アリス」
「はい、クラリア様♪お土産は何がいいですか?」
「いらないわ。代わりに約束なさい。アリス」
「はーいっ」
「…、(クリラブ2を)知らない人にとってそれは、用が無ければ行かない役所、ただの道端、ありふれた公園よ」
ピタッとアリスの動きが止まる。その隙にアナベル&セシルを救出したクラリアにアリスは真剣な表情で頷いた。
「肝に銘じます」
「まったく手が掛かる事。予備がいるかしら。いい事、アリス。程々でお友達の言う事をしっかりと聞いてキチンと選ぶのよ」
「ハイ、クラリア様」
「色々と段取りがあるからね。ふふふ」
「?」
とある休日前の放課後、ダンスレッスンに向かうアリスは鼻歌まじりに誰もいない廊下で一人スキップしていた。
あいも変わらずアリスのダンスレベルの向上は見る影もなくマリア先生の眉間のシワは深くなりケビン先生の髪には白いモノがチラホラ見えてきたりしているのだが今日のアリスは御機嫌だった。
その為、背後の廊下に黒い影が差し込んだ事に気付かなかった。
「るんたった、るんたった♪」
「あ~ら、ご機嫌ねぇ」
背中から聞こえた嫌味な声に、
ギグッ。
アリスのスキップが止まる。
恐る恐る振り返るそこにはアナベル&セシルを両脇に従えたクラリアが唇の端を吊り上げて立っていた。
「…クラリア様」
『ダンスレッスンがスキップするほど楽しいなんて喜ばしい事ですわね、お姉様』
「ええ、喜ばしい事ですわ。楽しいのがダンスレッスンなら」
クラリアと双子姉妹が笑顔でアリスに向かって歩いてくる。
逃げなきゃ。
しかしアリスの足は床に根が生えた様に動かない。そしてクラリアとアナベル&セシルの三人に囲まれたアリスは、
「その、あの、いえ…」
としどろもどろで口ごもる。ニヤリと笑ったアナベル&セシルは代わる代わるアリスの顔を覗き込んだ。
「週末の外出許可が下りたそうね。お家の御用かしら?」
「こんな時に商家のご友人方とクリスマス舞踏会用の花飾りで使う小物を買う為にお出掛けなんてなさいませんよね?」
『それはサクッと済ませて街へ繰り出して遊ぶぞー♪なんて考えは微塵も御座いませんよね?』
アナベル&セシルの言葉とクラリアの刺すような視線に、
「…」
返す言葉が無いアリス。アリスはガックリと肩を落とした。
…終わった。
アナベル&セシルの指摘通りアリスは今週末の休日にユリアンヌ達と以前に話題にしていたクリスマス舞踏会の花飾りを飾る小物を買いに街へ出掛ける予定を立てていた。
一年生時は家の用事などでないと外出許可は基本的に下りない。しかしクリスマス舞踏会に関しては比較的私的用件でも下りやすくなっていた。アリスのダンスレッスンが休息日に合わせて皆で花飾り作りの小物を買いに出掛けるという申請をして許可が下りたのだ。移動手段はユリアンヌが家の馬車を調達済。
皆で楽しく可愛い小物をショッピング♪は建前。アリスの真の目的はクリラブ2の聖地巡礼だった。
ユリアンヌの家は魔法省等が軒を連ねる官庁街にあった。
…、折角王都にいながら前学期は勉強三昧で巡礼出来ず、後学期こそはと思っていたら発表会や鬼のダンスレッスンで学園外に出る事すら叶わず。魔法省門前に学期間の休みにチョロっと覗けただけなんてあんまりだぁっ。
リアルアレク様を拝みたいなんて贅沢言いません。探し回ったり出待ちとかしないから聖地巡礼したい。クリラブ2のゲーム世界を味わいたい。
いつまで待てばいいの?どんだけお預けかますのよっ。せめてのアレク様ぬいとご一緒に聖地巡礼、いつになったら出来るのよ~っ。
アリス心の叫び。
絶対行く!
しかし今それを口にする度胸はアリスには無かった。
自らを取り囲む6つの目、取り分けクラリアの心の内を通せない瞳の奥が怖すぎた。
…、命には変えられない。やっぱり聖地巡礼は断腸の思いでも諦めるしか。クリスマス舞踏会のミニゲーム、鬼ムズが過ぎる。朝から踊りまくってやっとクリア出来るかどうかなんてリアル乙女ゲームミニゲーム達マジでシンドい。
そういえば赤い靴を履いて踊り続ける女の子の童話があったなぁ。呪いの朱い靴。気付かぬ内に間に悪役令嬢に履かされてたのね。いや正統派令嬢もノリノリで用意していた気がする。
涙目のアリスはクラリアを見上げて、それをクラリアは見返し、
「宜しいのではなくて」
「はい、止めま…え?」
クラリアの思い掛けない言葉にアリスは目を丸くした。クラリアはニッコリと優しい笑みを浮かべていた。
「折角の外出許可ですもの、花飾りを彩る小物の用意も大切な事です。気晴らしにもなりますしね。お友達と楽しんでいらっしゃい」
「ま、マジで?!」
微笑むクラリアに後光を見たアリスは、
『お姉様に向かってなんて口のきき方なの?!』
と激怒するアナベル&セシルは全く目に入らず、履いていた?赤い靴を(心の中で)脱ぎ捨てると空高く放り投げた。
「ありがとうございますっ」
アリスは歓喜の声を上げるとひしっとクラリアの手を取ろうとして、アナベル&セシルのチョップで阻まれる。アリスは代わりに右手にアナベル、左手にセシルの手を取ると、
「わーい、わーいっ」
そのままピョンピョンとジャンプした。
『ひゃあぁ、お、お姉様ぁ~』
アナベル&セシルはアリスの狂喜乱舞の巻き添えで目を白黒させるがアリスはお構いなしに飛び跳ねていた。
「魔法省裏門~、郵便局~、北の街灯の下~、公園のベンチ~♪」
アリスの脳内をクリラブ2のスチルが高速で流れる。
あ~、楽しみ♪
街の地図はバッチリ頭に入れた。聖地全部は無理でも3分の2は巡りたいなぁ♪
ぴょんぴょんアリスととばっちりで目を回しそうになっているアナベル&セシル。それを見てクラリアは、
「…」
はぁと溜息をついた。
「アリス」
「はい、クラリア様♪お土産は何がいいですか?」
「いらないわ。代わりに約束なさい。アリス」
「はーいっ」
「…、(クリラブ2を)知らない人にとってそれは、用が無ければ行かない役所、ただの道端、ありふれた公園よ」
ピタッとアリスの動きが止まる。その隙にアナベル&セシルを救出したクラリアにアリスは真剣な表情で頷いた。
「肝に銘じます」
「まったく手が掛かる事。予備がいるかしら。いい事、アリス。程々でお友達の言う事をしっかりと聞いてキチンと選ぶのよ」
「ハイ、クラリア様」
「色々と段取りがあるからね。ふふふ」
「?」
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