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両足八足大足二足

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<タイトル>

両足八足大足二足りょうあしはっそくおおあしにそく

<解説>

 山梨県に伝わる昔話で、タイトルは「蟹」のことを指しています。

 あらすじはある夜、お寺で和尚さんが経を読んでいると、謎の大入道が現れ、和尚さんに問答をしかけたあげく、答えられない彼の首をちょんぱしてしまうという衝撃的なものです。

 生還した小僧から話を聞いた村の名主さまが、高名な僧侶たちを次々に寺へと送りこむのですが、みな一様に首をはねられてしまうのです。

 そこにあるとき、旅の雲水が杖を休めにやってきます。

 名主さまの話を聞いた雲水がさっそく寺へ向かうと、くだんの入道が出現し、やはり問答をしかけます。

入道「横這い自在や、いかに?」

雲水「泡を吹いては子だくさん」

入道「両眼天を指すとはいかに?」

雲水「湯につかれば赤くなる」

入道「両足八足大足二足とはいかに?」

雲水「水に潜れば地にも這う」

 こんな具合で、雲水は入道の問いに次々と答えていき、入道は泡を吐きながら大蟹の正体を現します。

 雲水は最終的に、物理力でこの蟹を退治するのです。

 先の問答はいったいなんだったんだ……

 昔話では、淵の主といえばたいてい蟹が登場し、この話も蟹が人間に問答をしかけるという内容から、子ども心に好奇心がくすぐられました。

 ちなみにこの話は、拙作「朽木九区の由来」の中の「蛮頭寺の由来」にアレンジさせてもらっておりますので、興味がおありの方はよろしければ。

 なんだか宣伝になってしまいましたが、あやかし系の作品もたくさんあり、個人的にはどれも大好きですね。

 また気が向いたら投稿しますので、よろしくお願いいたします。
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