異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

レストランで食事

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「ふーん?クロトとヴィオラは太陽の花畑にね・・・。」

「・・・花畑の事、知っている?」

「そうね、名前は知っているわよ?殆ど行かなかったけど。」


 近くにあったレストランに入った、クロトたち四人。

 注文した料理を待つ時間で、情報交換をしていた。


 ちなみに、クロトたちの入ったレストラン。

 やはりミカゲ財閥の系列だったりする。


「それで、お花畑にどういったご用件なんですか・・・?」

「・・・私が、花を摘みに行く。」

「僕は、その付き添いと、花畑の調査、かな?」

「調査、ですか・・・?」


 アイシアは不思議そうな顔をしている。

 確かに、花畑で調査というのは、ピンとこないかもしれない。


「ディアナは知っていると思うけど、太陽の花畑は、一年中花が咲いていてね。」

「そうね。どんな花も、一年中咲き続けるわ。」


 ディアナもその話は知っていたようで、頷きながら答えている。


「そうなんですか・・・。でも、それと調査に、どんな関係が・・・?」

「普通ではない現象が起きているなら、原因を探りたくなるのが当然だよね?」


 クロトは当たり前のように話した。

 だが、ディアナとアイシアは、いまいち理解できないようで首を傾げている。


 その辺りは、その人の性格にもよるのだろう。

 研究者タイプであれば、興味を持ってもおかしくない。

 だがこの世界、そういう人間は殆ど存在していないのだ。


 なお、クロトも研究者タイプとは少し違うのだが、それは横に置いておく。


「いつも思うけど、クロトって変わってるわよね・・・。」

「えっ?変わってる、かな・・・?」

「・・・クロトが変わっていることは、今更。」


 ヴィオラもクロトをずっと見て来たので、否定はしない。

 アイシアは、失礼にならないよう、無反応を決め込んでいるが。


「死者の迷宮で始めて会った時も、変わった人だと思ったわよ?」

「それって、ディアナが騙されて、下衆に襲われていた時のこと?」

「・・・まあ、そうね。そう言えばあの後、クロトは姿を現さなかったわね。」


 ディアナは懐かしむような表情で、その当時のことを話している。


「そして、ディアナが一人で帰れずに行き倒れる、と。」

「ちょっ、それは言わなくてもいいでしょっ!?」

「僕も、一人で帰ることも出来ないなんて、予想の埒外だったよ・・・。」

「もういいでしょ!その話はここまでよ!」


 ディアナが必死になって話をやめさせようとするが、クロトに気にしない。


「そして、興奮したディアナが僕を押し倒した、という訳だね。」

「・・・!?・・・過程を省き過ぎ!誤解される言い方をしないでよっ!?」


 おおよそ正しい事を言っていることはすぐに理解した。

 だが、途中の重要な要素がポッカリ抜けているせいで、妙な表現になっている。

 慌てて訂正するように求めたが、話し終えたクロトは我関せずの姿勢に。


 そうなると当然、アイシアの視線はディアナに向く。

 クロトの方に聞こえないような小声で、ディアナに確認をした。


「ディアナ先輩、その頃はクロトさんのことが好きだったんですか?」

「今のは間違いなく誤解よっ・・・!」

「分かってます。聞いてるのは、その頃クロトさんをどう思っていたか、です。」


 ディアナは言いにくそうにしていたが、正直に話す。


「・・・その頃から、クロトに惹かれていたのは否定しないわ。」

「やっぱりそうなんですか・・・。」

「でも、今は本当に何とも思っていないわよ?」


 アイシアは、クロトと始めて会った時、二人を恋人と称した。

 ディアナにクロトへの恋心が芽生え始めているのにも気づいた。


 だが、いつの間にか、その感情は欠片も見られなくなる。


 人の想いは、そう簡単には変わらない。

 だからこそ、アイシアはディアナに違和感を感じた。


 それ故に、こうして何度も、確認しているのである。


「本当、なんですね?」

「ええ、本当よ。」


 じっとディアナの瞳を見つめるも、やはり嘘は無いとしか見えないアイシア。


 そうしている間に料理が運ばれて来たので、会話を切り上げて、頂く一同。


「ねぇ、アイシア。料理を少し交換しない?」

「えっ?・・・ああ、良いですよ・・・って、口にソースが付いてます。」


 アイシアは、ディアナの口を丁寧に拭いた。


「あっ・・・ありがとう、アイシア。」

「どういたしまして、ディアナ先輩。」


 百合百合しさが溢れるが、二人にその手の趣味は無い。


 ヴィオラは、無言でハンバーグを味わっている。




 クロトは三人を微笑ましく見守りながら、自分の料理に手を付けたのだった。

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