異世界隠密冒険記

第二部「創世神降臨」編

ヴォルケーノ大火山５

「「「グルァァァァァッ！」」」


　ケルベロスは本能的に危険を察知したのか、神炎壁をエメラとの間に生成。

　半物質のその壁を、クロトの分身が総出で破壊する。


「「「「創世十六夜連閃・神断！」」」」


　ドガァァァァン！！


　物凄い轟音と共に、神炎壁が粉々に破壊され、エメラが迫る。

　ケルベロスは最後の手段とばかりに、能力を三倍にして、尻尾での迎撃を選択。


　エメラの剣が己に触れる前に、エメラに尾を叩きつけた。


「・・・んっ！ぐっ、あっ・・・！」


　エメラは弾き飛ばされて、壁に激突。

　そのHPは半分を割り込んでいる。

　直前で限界突破を使用していなかったら、死んでいたかもしれない。


　ケルベロスは、近くに居たクロトにも、ほぼ同時に攻撃。

　尻尾がクロトに迫る。


「っ、翼魔闘法・純白の翼壁！」


　神炎を纏った一撃の前に、翼壁は破壊されるが、既にもう一枚の翼壁を生成済み。


「翼魔闘法・黒白の翼神！」


　攻防一体の技である、全属性を纏った、黒白の翼神。

　敵の尾を弾き、その翼で右側の首を切り裂く。


「グルルルルッ！」


　一割にも届かないが確かなダメージが入った。

　エメラの万断が決まれば、それで良かったのだが、そうでない時も考えていた。

　少しずつダメージを積んでいけば勝てるのだから、これでも問題はない。


　一度ケルベロスから距離をとるクロト。

　周囲を見渡すと、序盤に吹き飛ばされたマリアは戻って来ていた。


　腹部に尻尾の一撃を受けて、壁に激突したエメラは、口から血を流していた。

　それでも、眠そうな瞳のままなのだから凄い。

　回復薬を使用しているので、戦闘継続は問題無さそうだ。


　リュノアとフェニアも問題なし。


「「「グルァァァァァァァァァァッ！！！」」」


　そこまで把握したところで、ケルベロスが大きな雄叫びをあげた。


　先程リュノアのレーザーブレスを相殺した神炎ブレスを三体同時に発動。

　更に、そのブレスを一つに合成した、「極神炎ブレス」を辺り一帯に放つ。


　まともに喰らったら、この場に居る誰も生き延びられないだろう。


　クロトは光輪を生成し、星天装と橙の瞳の効果を発動。

　少しでも負荷を減らす為、分身を消す。

　平均５００００近くなったステータスで紫の翼を生成し、壁を生成。

　エメラたちも状況を理解して、転移でクロトの周辺へ集まる。


「「「グルァァァァァァッ！」」」


　再度の方向と共に放たれたブレスを、クロトが防ぐ。


「神毒の守護者サマエライズ・ガーディアン！！」


　使用禁止となった神毒の羽を防御に転用した技、神毒の守護者。

　焼けるような熱気の中、その技は極神炎ブレスを防ぎ切った。


　多大なる負荷のせいで、クロトは数秒間まともに動けない。

　だが、残りの者は平気なので、大技後で隙の大きいケルベロスへ攻勢に出る。


　リュノアが右側の首を、「漆黒竜の戒め」で完全に抑え込む。

　エメラがフェニアの力も借りて、左側の首を、風で抑え込む。

　マリアは、中央の首へ接近し、剣技を放つ。


「天魔神剣・天魔乙女演舞！」

「グルアッ！？」


　十六連撃を受けて首が上方向に弾かれた中央の首。

　そして、本命の攻撃が始まる。


「ゴッドアイ・アクセラレーション！」


　負荷から立ち直っていたクロトが神瞳加速を発動。

　十倍に加速して、ケルベロスへ急接近。

　神天魔のブーツによる急加速も忘れない。


　マリアとは少しずれた方向から接近し、跳ね上げられた中央の首元。

　そこを狙った剣技が発動。


「神天龍十六夜連閃・二極！」


　極毒と極星の三十二連撃を全く同じ場所へ集中して喰らったケルベロス。

　中央の首は切り落とされる寸前にまでなった。


「グラァァッ！？」


　痛みから悲鳴を上げる真ん中の首だが、まだ攻撃は終わっていない。


「翼魔闘法・漆黒の翼神！」


　全属性を纏った漆黒十二翼が、超高速で襲い掛かり、真ん中の首を完全に切断。


「「グルァァァッ！？！？」」


　残り二つの首は、その事態を認識し、激しく動揺しているようだ。



　その隙を逃すはずもなく、右の首へ一斉攻撃。


「天魔神剣・天魔神演舞！」

「風雷神剣・嵐天六十四連！」

「キュオオオオッ！」

「ピュイィィ！」


　マリアの剣技が首を跳ね上げる。

　神炎の薄い部分をエメラの瞳で確認し、その剣技で傷を作り、糸口を作った。

　そこへ、限界まで圧縮された「極黒星滅息」がピンポイントで炸裂。

　レーザーカッターの如く、右側の首を切断した。


「「「「創世十六夜連閃・神断！」」」」


　クロトの分身体が、左側の首へ殺到し、一斉に絶対遮断を纏った剣技を放つ。

　左側の首も切断されたケルベロスは、それでもまだ、ギリギリ生きていた。


　止めを刺すのは、クロト。


「天地邂逅！」


　模倣の鏡も用いた最大火力の天神法術で、ケルベロスは圧殺された。