異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

始めては熱い夜

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 リンカはボーっとする頭でクロトの愛撫を受け続けていた。

 何度となく喘がされて、既に羞恥を感じる感覚も麻痺してしまっている。

 初めこそ声を抑えようとしていたが、今はそんな気も起らない。


 体中に手を這わされ、キスをされ、喘がされる。

 そんなどうしようもなく甘美なひと時に、溺れてしまった。


 リンカは間違いなく、最高級の幸福を体験していた。










「リンカ、愛してる・・・。」

「んっ・・・ああっ・・・あんっ・・・!」


 クロトは耳元で愛を囁きながら、その胸に手を這わせる。

 甘い痺れに、喘ぎ声を漏らしながら、服を脱がされたことに気づいた。


 リンカは平均よりも小さい自分の胸に、僅かにコンプレックスがあった。

 だが今は、そんなことは欠片も気にならなかった。

 クロトが自分で興奮してくれていると分かっているからだ。


「んんっ・・・んぅ・・・んあっ・・・!」


 クロトがキスをすれば、それに必死で答える。

 快感に溺れながらも、クロトも気持ちよくしてあげたいという想い。

 それが、クロトにも伝わる。


「リンカ、いいかな・・・?」

「はい・・・!クロトさんの、気が済むまで・・・!」


 甲斐甲斐しく自分を癒し、求めてくれるリンカ。

 クロトは、助けを求めるように、リンカを抱いた。


 リンカは、不慣れながらも、クロトのために頑張った。

 辛い記憶を薄れさせようと。

 気持ちよくなってもらおうと。

 それは、リンカ以外の誰にも出来ない事。


 クロトはリンカのおかげで、精神的に弱った部分が回復した。

 放っておけば修復に数週間かかっていた傷を、瞬く間に癒された。


 自分の感情を叩きつけるような荒い行為だったが、リンカは喜んでくれた。

 だから今度は、自分がリンカを喜ばせようと、激しさを残しつつ優しく抱いた。


「リンカ、もう大丈夫だから。後は・・・任せて?」

「んっ・・・!?ああっ・・・!」


 耳元でそう囁かれた瞬間、リンカはクロトの為という考えを捨てた。

 クロトの声から辛さが消えていたのだ。


 そして、考える間もなく、快楽の波にさらされた。

 先程までの乱暴なクロトも良いが、今の方が、より快感であった。


 クロトは自分のことは二の次で、リンカを感じさせることに全神経を注いだ。

 この上ない程に、リンカへ愛を注いだ。


 雨の音が聴こえる中、一晩中、二人は荒い息遣いで絡み合っていたのだった。

 もしその光景をクロトの恋人が見たら、嫉妬してしまうかもしれない程。

 それくらいに、二人は愛し合った。


 二人が初めて結ばれた日は、かつてなく熱い夜になった。












 朝の木漏れ日が窓から入り込む。

 雨は上がっており、晴天の模様。


 クロトは清々しい気分で目を覚ました。

 数時間前に眠ったばかりだが、リンカを起こさなければならない。

 うっかりしていたが、リンカは今日も仕事があるのだ。


「リンカ、起きて?もう朝だよ?」

「んぅ・・・ぁん・・・。」

「っ・・・。」


 リンカの艶がある声に、ドキリとさせられるクロト。

 リンカのことが愛しくて堪らないようだ。

 再び高まりそうになる興奮を押さえつけて、リンカを揺する。


「リンカ、そろそろ朝の業務が始まるよ・・・?」

「ん・・・・・・えっ?あっ・・・大変っ・・・っ!?」


 リンカは直ぐに立ち上がろうとするが、二つの理由でそれは叶わなかった。


 一つは、リンカが全裸であること。

 このまま立ち上がるのは、流石に恥ずかしいし、はしたないと思ったのだろう。


 もう一つは、昨夜の激しい行為で、腰砕けになってしまっていること。

 あれだけ激しく責められた後で、優しく溶かされたら、そうなるのも当然か。


 クロトはリンカの体調を理解して、とある提案をした。


「もしよかったら、今日は休みにして、一緒に過ごさない?」

「えっ、でもそれは、宿屋に迷惑が・・・。」

「・・・それならたった今、女将さんから休日をずらす許可を取ったよ。」


 クロトは話している間に、分身を女将さんの元へ派遣していたのだ。

 女将さんは話を聞いて全てを理解したようで、嬉しそうに微笑んだ。

 そして現在、ニヤニヤとクロトを見始めたところだ。


「だからまあ、後でリンカも女将さんに揶揄われるかもね?」

「・・・・・・!!」


 リンカは無言でベッドの中に潜り込んだ。

 クロトはそんなリンカを追いかけて、抱き締める。


「クロトさん・・・!?」

「今日一日、リンカは僕の貸し切りでいいかな・・・?」


 クロトが妖艶に微笑むと、リンカは暗い中でも分かるくらいに赤くなった。

 そして・・・


「はぃ・・・!私は、クロトさんのものです・・・!」


 そう告げて、クロトの胸に顔をうずめた。

 クロトはリンカを、ギュッと抱き締めたのだった。

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