俺と彼女は入れ替わり

三毛猫

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○に入るのはご想像に任せることにする

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「全部聞こえた……」

「みーちゃん……」

オロオロするマサト。こんな時に何と声を掛ければいいのか……。思えば25年間、他人の争いには巻き込まれないように生きてきた。だから困った相手に投げかける言葉など持ち合わせてはいない!

「チ○チ○ついてるの?」

「みーちゃん!こ、こんな公園の公衆の面前でチ○チ○言わないでよ!」

「だって男の娘でしょ!チ○チ○付いてるよね!?」

「チ○チ○連呼しないで!!」

そうか!仲裁の時はこれだ!

「まぁ~まぁ~まぁ~」

「テメェは黙れよ!」

ミズキさんこえーよ。

激化する言い争い。公園にいた子どもの耳を塞ぐ保護者達。まさに平穏な日常が崩れた地獄絵図。

「私だって言いたかった……」

マサトの目が赤くなり涙が溢れる。

「ママー。大きい大人の人が泣かされてるよ」
子どもが指差して親に近寄る。そうか……他から見れば女子高校生二人かがりで大人の男を泣かしたと思われるだろう。
しかし、これは高校生同士の争いなのだ。


「みーちゃんに何度も何度も言おうと思って、言えなくて心が傷んだ」

「そんなの知らない。ずっと女子高生だと思って通学も学校でも休みの日も遊んでた日も全部嘘だったのね」

マサトは泣き崩れ、ミズキは泣き崩れたマサトを置いて公園を出た。

最悪だ……俺のせいだ……俺が入れ替わったせいで、二人の仲を割いてしまった……


「ごめん」

マサトの大きな背中を擦る。

「いいの。慣れてるから……私、帰る。連絡先だけ教えて」

お互いIDを交換し、チャット通話アプリのフレンド登録した。

マサトと公園で別れて帰り道、ずっとモヤモヤした気持ちで家に着いた。
家に帰るとアヤミの母親がいた。

「おかえり」

「ただいま」

この親は俺が、いやアヤミが男の娘であると知りつつもアヤミの心の苦しみを理解した上で育てている。

「アヤミ?何かあった?」

「ううん、なにもないよ」


俺は二階の自室に入る。クローゼットには女子の服、机の上にはメイク道具。桜色の小物入れ、ベッドには魚類?のぬいぐるみ。改めて見回してもここは女の子の部屋だ。ベッドに横になった。

「疲れた……色々あり過ぎた。きっとミズキはアヤミが男だと知って失望してるだろうな」

俺はいつの間にか寝てしまった。


「アヤミ!起きなさい!朝よ!」

うわっ!しまった。アラームかけ忘れた!

飛び起きて身支度する。

「ミズキちゃん待たせるわよ」

「もうミズキは来ない」

「何言ってるの?もう来てるわよ」

「え?」

どうゆうことだ?昨日怒って帰ったのに?
俺は身支度を整えて玄関に急いだ。
玄関にミズキがいる。何もなかったように笑顔で母親に挨拶している。
俺にも「おはよ。行こ」と笑顔だった。

一緒に外に出た。するとミズキは照れた表情を浮かべる。

「あやち……昨日は怒って酷いこと言った。ごめんなさい」

「いいから、別に。俺に謝らなくても」

「あーそうだった……入れ替わったこと忘れてたよ!テメェに謝っても仕方ないじゃん。もう、ややこしいなぁ。早く元に戻ってよ!」

やっぱり怖い。

「元に戻る方法は探ります。それから、アヤミさんのこの体は大切にします」

「うん。テメェと私の約束だから」

「わかりました……」

学校に着いた。クラスの席に着くと昨日と同じように人が集まってきた。
どう処理すれば……ミズキに目でヘルプを求める。

ミズキは「頼んな」と口パクで返した。


「これさ、借りてたノート。ありがとな」
俺の前にいきなり現れた爽やかボーイ。高身長で短髪、小さな顔に鼻筋が通る小鼻、目は二重でキリッとしている。小麦色の肌に焼けた肌に白い歯がキラリと光る。
中身が男の俺でもドキッとする格好良さだ。

「ノート貸してた?」

「ん?一昨日借りたの忘れたのかよ」

ミズキが手招きする。
小声で「アイツは気をつけろ。隣の組のアヤミ狙いのアヤミファンクラブの会長だから」と告げられた。

ファンクラブ!?俺の……いやアヤミにファンクラブが存在するのか!

ミズキの教えでは
ファンクラブの会員は40人以上で初代会長は爽やかイケメンの快斗かいとが筆頭で以下有象無象。

快斗も俺を完全に女子と思っている。というより誰一人俺が男子だとバレてない。
まぁ、バレないのも無理はない。特例で名前も変えてるし、見た目も可愛い。完全に女子だ!


快斗は俺を真っ直ぐ見つめる。
その姿に周辺の女子数人は気絶しそうな勢いでフラフラしていた。

「今日、放課後空いてるってリサーチ済みだけど空いてる?」

リサーチするなよ!

「放課後はみーちゃんと遊ぶ予定があります」

「みーちゃんみーちゃんって……分かった。気が360度変わったら教えて。迎えに行くから」

ボケたの?素なの?ツッコんでいいの?
快斗はキラキラしたオーラを振り撒きながら教室を出て行った。

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