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CHAPTER 5
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星岬技術研究所 南研究棟2F 開発主任室
「星岬がピンチだと?」
邦哉は、一瞬で落ち着きを取り戻すとサーディアに聞き直した。
「“開かずの間”に異常を検知したわ! 臭気センサーが強い臭いを検出してる。」
「つまりこういう事か?
所長がガス漏れに遭っていてピンチ・・・と」
「えっと・・・そう! そういう事!」
ちょっと待て と誰に云うでもなく呟くと“開かずの間”の内線を呼び出した。
やはり出ないかと受話器を下ろすとPCをシャットダウンして席を離れる。退室しようとドアに手をかけたところで思い出したように先程まで温めていた事務机に戻ると、くわえていた煙草を灰皿で消火して踵を返した。
星岬技術研究所 東研究棟にて
時刻は午後6時30分を回ったところである。
今、残っている者たちは残業組である。
ご苦労な事である。
邦哉はすれ違う所員に手を挙げて挨拶を返しながら開かずの間を目指す。
結構な人数が居残りもとい、残業している様子ではないか。皆、熱心に実験に打ち込んでいる。
さすが東研究棟、別名を実験棟というだけの事はある。
開かずの間の前まで来た。
何やら賑やかな感じである。
来客中ということも想定して、邦哉はノックしてから一呼吸置いて入室した。
「所長、入るぞ。」
入室してすぐに臭気が邦哉を襲った。
「なんだコレは!? ガス臭ではないぞ! それに入室前に感じていた人気は?」
星岬は邦哉に気付く様子はない。
「星岬!」
邦哉ははっきりと聞こえるように声をかけるが、星岬には届いていない様子だ。
どうやら星岬は何らかの理由によって、どこかへトリップしているようだ。
邦哉はフッと星岬が熱心に話しかけている壁のような大きな装置を見た。
星岬の足元に水が垂れている。
「フフフ次は、次で実験は20件目! まだまだ先は長いぞ」
星岬が言うと、壁のような大きな装置から獣が低く唸るような不気味な音が聞こえてきた。
「調子出てきたじゃないか! サクサク行くぞ。」
くぐもった咆哮が壁のような機械から発せられたように聞こえると、機械背面から蒸気が勢いよく噴出した。
「!」
邦哉は星岬に近づいていた事でようやく気が付いた。
星岬技術研究所 南研究棟2F 開発主任室
邦哉が席を離れて間もなくのこと。
照明が落とされた薄暗い室内で窓際の特等席に設置されたタワータイプのPCが、勝手に起動する。
女性キャラのアイコンが両手いっぱいの書類を運びながらモニター画面の中で右往左往している。
画面の中央にゲージが出ているが、見た感じなかなか進まない様子である。
ときどき汗をハンケチで拭くアニメーションを入れるこだわりを見せながら、サーディアは黙々と書類を運び続けた。
なかなか作業が進まない原因は実に分かり易いものだった。
邪魔が入るのである。
三角形のシルエットを持つ謎の存在がちょっかいを掛けてくる。
それをかわしながら作業を進める。
故に、遅くなる。
時間は過ぎて、気付けば窓の向こうに薄明かりが拡がり始めていた。
それでもサーディアはフリーズすることなく作業を進めて、書類を運び終えた。
背後で三角形のシルエットがすごすごとフレームアウトしていく。
モニター画面の中でサーディアは握りしめた拳を高らかに突き上げた。
この時、邦哉は一晩通して戻ることはなかった。
「星岬がピンチだと?」
邦哉は、一瞬で落ち着きを取り戻すとサーディアに聞き直した。
「“開かずの間”に異常を検知したわ! 臭気センサーが強い臭いを検出してる。」
「つまりこういう事か?
所長がガス漏れに遭っていてピンチ・・・と」
「えっと・・・そう! そういう事!」
ちょっと待て と誰に云うでもなく呟くと“開かずの間”の内線を呼び出した。
やはり出ないかと受話器を下ろすとPCをシャットダウンして席を離れる。退室しようとドアに手をかけたところで思い出したように先程まで温めていた事務机に戻ると、くわえていた煙草を灰皿で消火して踵を返した。
星岬技術研究所 東研究棟にて
時刻は午後6時30分を回ったところである。
今、残っている者たちは残業組である。
ご苦労な事である。
邦哉はすれ違う所員に手を挙げて挨拶を返しながら開かずの間を目指す。
結構な人数が居残りもとい、残業している様子ではないか。皆、熱心に実験に打ち込んでいる。
さすが東研究棟、別名を実験棟というだけの事はある。
開かずの間の前まで来た。
何やら賑やかな感じである。
来客中ということも想定して、邦哉はノックしてから一呼吸置いて入室した。
「所長、入るぞ。」
入室してすぐに臭気が邦哉を襲った。
「なんだコレは!? ガス臭ではないぞ! それに入室前に感じていた人気は?」
星岬は邦哉に気付く様子はない。
「星岬!」
邦哉ははっきりと聞こえるように声をかけるが、星岬には届いていない様子だ。
どうやら星岬は何らかの理由によって、どこかへトリップしているようだ。
邦哉はフッと星岬が熱心に話しかけている壁のような大きな装置を見た。
星岬の足元に水が垂れている。
「フフフ次は、次で実験は20件目! まだまだ先は長いぞ」
星岬が言うと、壁のような大きな装置から獣が低く唸るような不気味な音が聞こえてきた。
「調子出てきたじゃないか! サクサク行くぞ。」
くぐもった咆哮が壁のような機械から発せられたように聞こえると、機械背面から蒸気が勢いよく噴出した。
「!」
邦哉は星岬に近づいていた事でようやく気が付いた。
星岬技術研究所 南研究棟2F 開発主任室
邦哉が席を離れて間もなくのこと。
照明が落とされた薄暗い室内で窓際の特等席に設置されたタワータイプのPCが、勝手に起動する。
女性キャラのアイコンが両手いっぱいの書類を運びながらモニター画面の中で右往左往している。
画面の中央にゲージが出ているが、見た感じなかなか進まない様子である。
ときどき汗をハンケチで拭くアニメーションを入れるこだわりを見せながら、サーディアは黙々と書類を運び続けた。
なかなか作業が進まない原因は実に分かり易いものだった。
邪魔が入るのである。
三角形のシルエットを持つ謎の存在がちょっかいを掛けてくる。
それをかわしながら作業を進める。
故に、遅くなる。
時間は過ぎて、気付けば窓の向こうに薄明かりが拡がり始めていた。
それでもサーディアはフリーズすることなく作業を進めて、書類を運び終えた。
背後で三角形のシルエットがすごすごとフレームアウトしていく。
モニター画面の中でサーディアは握りしめた拳を高らかに突き上げた。
この時、邦哉は一晩通して戻ることはなかった。
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