上 下
235 / 381
13章

233 斥候の報告

しおりを挟む
ウラボン 視点

あまりの光景に呆然としていたが安全とわかり少し落ち着いて来た。

「おい!木のトレントが猛スピードで逃げて行ったぞ!」

「知りませんよ!初めて見ました!私達が知るトレントではないのかも知れません。」

「どうする?追うか?もう盾がボロボロで戦闘は無理だが…」

俺達はたった一体のトレントに逃げられ消耗させられたのだ。
これからどうするか考える必要がある。

「私もフレイムランスを使ったので休憩したいです。」

「仕方ない、ハルクが戻って来るまで拓けた場所で休憩する。」

俺も剣で硬い枝を斬りつけた為、手が痺れている。
休憩して少しでも回復させないとな…

「ウラボン!!なに呑気に休んでいるんだ!!」

「ハルクどうだった。」

ハルクは戻って来たが切羽詰まった表情だった。

「ブラッドベアが…しかも、俺らが戦った3倍くらいの大型がいた。
すぐに森から出るぞ!!」

ブラッドベア…俺達がAランクの昇進のきっかけになった、赤い毛の大型の熊だ。
俺達がブラッドベアを倒せたのは多くの犠牲によって倒せたものだ。
当時、10人いた仲間がブラッドベアとの戦闘で4人死亡、2人冒険者を辞める怪我を負った。

アッシュも奴の爪で左腹に大きな傷がある。
俺達にとってブラッドベアは名声を手に入れた魔物であって、トラウマの魔物でもある。

「チッ…逃げるぞ!」

俺の声に全員が頷き動き始めた。

「グォオオオオオオオー!!!」

ビリビリ…

「ひっ!?」

「い、急げ!森をでるぞ!!」

大地を揺らす程の咆哮が俺達に恐怖を刻み込んだ。
命からがら逃げ延びた俺達は満身創痍だった。

「はぁはぁ…こんな所で…」

このまま野垂れ死にかそう思っていた。

ドシドシ…

俺達の近くに二足歩行のトカゲに馬車が通った。
俺らなんて無視されると思っていた。

ピタ!

だが、馬車は止まった。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...