転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第2章 王子と私

第21話 婚約者ができたよ、やったね

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「んでエバの飯はどうしてんの?」
「はい、うちの料理長が作った物を、僕が結界で包んで力を込めています」
「ほう……出してみ? 結界」

 アールに促されて、私はなぜか、しゅーさんにダッコされて、アールの前に連れていかれた。
 一瞬だけ、何かフォンと音が鳴り、私と、私をダッコするしゅーさんを包むように、青い膜が張り巡らされた。

「これはこれは」

 面白そうに、外から膜をコンコンと叩く。
 いつしか時間が経つにつれ、プルプルと体を震わせるしゅーさん。

「なかなかだな。この結界は精霊の力すら遮断しちまう」
「ぷはぁっ! はぁはぁ!」
「ああ、だけど惜しい、惜しいな。効率と魔力の濃度で言えば、うちのチビのが数倍上だ」
「はあっ、ぼ、僕は、まゆまゆさえ守れたら、いいんです」
「まゆまゆ?」

 私だ私と、自らを指さして教えてやった。

「ふーん、まあお前らの国では、きっと愛する者って意味なんだろうな」
「ええ、僕の世界では命より大事な人の事を、まゆまゆと言います」
「やめれ、恥ずかしい」

 三歳児を赤面させるな。
 ただのあだ名だ。
 まゆみでまゆまゆ、修造でしゅーさん。
 長い間、私たちは互いにそう呼びあっていた。
 って……。
 ほら、またあくびしてるじゃん、あの狼。

「番犬にもならないなら、やっぱり乗り物コースかな?」
「何が?」

 呑気なアールに答えてやった。

「駄犬の使い道」
「どこの犬だよ、可哀そうだからやめてやれよ」

 お前だ、お前の使い道だボケ。
 ところで、先ほどから話に入っていけない私は聞いてみた。

「エバって誰? 浮気?」
「ちちちち、違うよまゆまゆ! 女性だけど、エバ様は僕の国の守護精霊様だよ」
「へーメス狼かぁ」
「一緒にすんな、あっちは鳥だ」
「四大精霊って、生き物の種類違うんだね」

 こういう知識が欲しいんだよ。
 なのに、教育されるのは、お花がどうとか、子供おとぎ話とか。

「じゃ、その鳥さんのご飯をしゅーさんが用意してるんだ」
「あくまで、少しは足しになる程度だけどね。僕の国では、もうスキル使いが僕と父程度だから」
「鳥は何を食べるんだろう? お米とか?」
「エバ様も人型になれるから、何でも食べるよ。特に肉が好きなんだけど、別の者が作った食事を、僕の結界内に入れるんだ。そうすると食べ物に僕の魔力が移るから」
「息とめてる間だけだよね?」
「だから、何度も時間をかけて力をこめるんだ」
「非効率だなぁ」

 本当に大変そうだ。
 まあ、私が来るまでは、この国もコップ半分の水とスプーン一杯のハチミツで凌いでいたのだから、どこも似たようなものなのかも知れない。
 精霊の力の源が、こんな細々としたものなら、そりゃあ力も弱まるよな。

「ともかく、お前が最強だチビ姫様」

 アールに頭をグリグリとされたが、私はその言葉に興奮した。

「私が最強なんだな?」
「おいおい、お年頃の設定どうなったよ?」
「アタチが最強でしゅ!」

 うん、知ってた。私が一番で最強で可愛くて無双だって事!
 フンスフンスと喜んでいる私を指さして、アールは言った。

「本当にこんなのと結婚すんの?」
「はい精霊様……いえ、アール様」
「このチビと一緒で、俺も偽装してるんだ。一応は護衛騎士してるから、名は呼び捨てでいい」
「はっ、ア、アール。僕は再び彼女と結ばれるために転生してきました」
 「もの好きだな」

 おいアール、なんだそのしょっぱい顔は!
 凄いまぬけ顔で笑えるが、私のしゅーさんにそんな顔すんな! 剥製にするぞ!

「てかしゅーさん。結婚って、気が早くない?」
「は? 何言ってんだ? こいつの情報のお陰でお前が発見された代わりに、見つかったら王子と婚約って言う約束だぞ?」
「ほぇええーっ」

 三歳なんですけど? てか王家だと当たり前なのか? しらんけど。
 そういえば、兄が以前に、何かゴニョゴニョ言ってたような? しらんけど。
 私は再度、しゅーさんを見つめると、少し悲しそうな顔をして私を見つめ返した。

「ええっと、嫌なら破棄してもいいから。とりあえず婚約してくれる? でないと僕の立場だと君の傍にいれないんだ」
「どうして?」
「一応他国の王子だからだよ。でも、婚約者なら僕は君の傍にいれる。そうしたら君の助けに、少しでもなってあげられるから」
「私が、しゅーさんを嫌いになった事がある?」

 借金を作っても、私はしゅーさんへの愛は不動だったんだ。なめんなよ?
 わざとらしく、目元をハンカチで拭うフリをしたアールが、図々しく言った。

「感動だな。この流れで精霊のご飯係も宜しくね。ちなみにお腹すきました」

 大きな腹の虫がグーッと聞こえて、感動の雰囲気は破壊された。
 やっぱり剥製にしてやる。
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