転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第2章 王子と私

第22話 駄犬のご飯準備でしゅ

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 お腹が減ったと、うるさいアールの為に、私は調理室に向かって行く。
 庭園を出るときに父が現れて、私と手をつなぐ王子を見て驚いていた。

「あ、あ、ア~ちゃん。もう仲良くなったんでちゅか?」
「でしゅ! 結婚するでしゅ!」
「お父さんは認めません! まだ早い!」

 何かギャースカ言ってたけど、丁度、大臣が仕事溜まってるからと引っ張っていってくれて助かった。
 そういえば、もう一人の過保護なのがいないなあ?

「あ、王子? どっかでまた迷子なんじゃない?」
「ちゃんと警護しろよ馬鹿犬」
「まあ城内にいるでしょ。どうせチビ姫様がスキル使えば、虫が蜜に群がるごとく走ってくるよ」
「そんなスキルの使い方嫌だなあ」

 そう、私の兄は天才的な方向音痴で、生まれ育った城の中ですら迷子になる。
 なので、わざわざ壁に青い印を付けているのに、それすら見落とすと、もう迷子だ。

「私の苦労もわかってよ。あの王子と国中回って守護結界張って回ったんだよ?」
「それについては同情する」
「途中で捨ててやろうと思ったら、そういう時だけきっちりついてきやんの」

 あはははっ! と笑うこいつは建前上は護衛騎士だ。しかも王子付きの。
 信じられないだろ? 本当なんだぞ?

 まあ兄ちゃんはどうでもいいや、私としゅーさんだけ幸せだったらそれでいい。
 そういうしゅーさんも、ニコニコしながらついてきている。
 ちゃんと手を握っている姿は、なかなか微笑ましいものらしく、通路を歩いていても周囲がホッコリしているのがわかる。

「まゆまゆは、みんなに愛されているんだね」
「そうでしゅ。だってアタチは最強でしゅ」
「うん、まゆまゆは世界一可愛いよ」

 昔から平気で甘い言葉を吐く人だったが、中身は相変わらずらしい。
 赤くなった顔を隠すように、私はしゅーさんの手を引いてズンズンと歩き目的地に到着した。

「たのもー!」

 必死で大きな声で私は叫んだ。

「おおっ、姫様だ! みんな手を止めろ」
「俺たちの姫様だ! ようこそ!」
「丁度いい所に、おーい、あれ持ってこい!」

 既に顔なじみの皆が、私を歓迎しつつ何やらドタバタとしている。

「どうしたでしゅか?」
「これを見て下さい」

 料理長より差し出されたのは、以前に作ったヨーグルトの種の慣れの果てだ。
 手のひらサイズのお椀の中は、確かに色合いが変化して、少し危険な香りを放っていた。

「これは……ヤババでしゅ」
「あまりに美味しいので、回数を重ねて酷使してしまいました。あと、そちらの騎士がガバガバ食べるので追い付かなくて」
「……アールぅぅぅ」

 本人は口笛を吹いてそっぽ向いた。本当にロクな事しないな、この精霊。
 ともかく困ったみんなを見過ごすことはできない。
 なぜなら、ここは私の重要拠点であるからだ。
 こいつらに恩を売って支配しておくのも大事な事だ。

「ともかく、これはもうダメでしゅ、でも別の使い方はできるでしゅよ」
「ど、どんな?」
「ちょっとだけスキルを使うでしゅ」

 ヨーグルトにするには、液体の牛乳を大量に使う。
 だから腐りやすいのだ。
 既に発酵食品ではあるのだが、菌の繁殖でバランスが狂いやすくなってしまう。
 ならば、この種は別の水分をあまり必要としない使い方にすればいい。

「バナナの菌も入ってるから、丁度いいでしゅ、はい皆さんご一緒に!」

 私は掛け声をかけた。

「バーニャーニャー、バーニャーニャー、バーニャーニャーはむーてーきー」

 おおっと雄叫びがあがった後、おっさん達が揃って続く。

「バーニャーニャー、バーニャーニャー、バーニャーニャーはむーてーきー」
「うむうむ」
「むーてーきーにーかーわーいーいー、うーちーのー姫!」
「でしゅ!」

 新たなる私の親衛隊を結成してしまった。
 よかろう皆の者、期待に答えてやろうではないか。

「秘儀! おいちくなーれっ!」

 バシュッと一瞬だけの輝きで十分だ。
 私の手の中の種は、元の色合いを取り戻した。

 周囲から拍手喝采を受けた私は、政治家のように手を振ってあげた。
 そんな私を驚きの目で見つめるしゅーさんと、腕組してはよ作れという顔をした駄犬。もといアール。

 私はお椀をコトンと台に置いた。
 ここによく来るので、私専用の足場用台座に私は立っている。
 そして、いつものように、彼らは私の指示を待つ。
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