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第3章 ディラン王国へ
第44話 さらばだ! ディラン!
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炊き込みご飯パワーで、エバはたちまち王様の痔を治したらしい。
そして、今私たちは「元・痔主」であった事など、なかったかのように澄ました王様の前にいる。
「息子ともども、我が精霊様が世話になった。心より感謝申し上げる。君は小さな聖女だよ」
「でへへでしゅ」
褒められるとテレテレします。もっと、もっとだ、もっと褒めろ。
なぜか他人事みたいなエバがパチパチパチと手を叩く。
「良かったですなエバ様」
「本当よ~。ところで今後は私のご飯どうなるの?」
「だから、うちの国からお前の所に何か送るって言ってるだろうが馬鹿鳥」
アールが、さも自分の取り分が減るとばかりに嫌そうな顔をした。
「はははっ、そちらの彼はなんと勇ましい事か」
「心より、スターツ王国には感謝と、今後の友好を誓います」
いやいや、むしろ忠誠を誓うがいい。
私の国スターツではなく、私個人にね! あはははははっ!
「悪い顔してるよ……まゆまゆ」
「あら、いやんでしゅ」
「ところでシュヴァルツ、なぜアリアナ王女をまゆまゆと?」
「僕の中では、命より大事な人を、まゆまゆと呼ぶのですよ父上」
「お前はたまに不思議な事を言うが……まあ、仲良くするがいい」
「はい、そこで父上にお願いがあります」
しゅーさんは、自らの父親の前で膝をついた。
「どうか僕に、世界を見るための旅に出る事をお許しください」
「いきなりどうした?」
「きっと、まゆまゆは、このスキルを使って他国にも赴くでしょう。その時に僕は傍にいたい」
「しかし、お前はまだ子供だろう」
「僕は子供でも男です。何より愛しい人を守れる立派な男でいたいのです」
しっかりと目を逸らさずに、父親にそう告げたしゅーさんに、私の胸は熱くなった。
カッコいいよしゅーさん。
余所見して、あのメイド可愛かったなーと独り言を言ってる馬鹿犬と、わざとらしくハンカチで目元を拭うエバがいた。
「感動よ! 愛よ! 燃え上がるわよ! いいわ私も一緒に行くわ!」
「いやいや精霊様、それは他国に行くという事ですか!」
慌てたしゅー父が席を立つ。うん、お尻元気だねーとても元気だねーふふふん。
燃え上がるエバは、情熱のままに国王を説得しはじめた。
うん、説得だよね?
「だからっ、チビ姫ちゃんがいれば少しは離れても大丈夫だって! ちゃんと遠くから加護も送るし、私も愛に生きたいのよっ!」
「よし逝け、とっとと天に逝け!」
アールは必死だなぁ、ざまあ。
ひたすらアールに胸を押し付けて抱き着くエバと、それを引き離すアールの阿鼻叫喚は見ものではあるが、一応精霊様とやらで、見守る誰もが止めることは出来ない。
ポップコーンないの? 食べながら見学したいなぁ。
そして、エバがキレた。
「いい事よくお聞き、私はこの子たちと共に行く。これはもう、精霊が決めた決定事項である。わらわに逆らうか!」
激しい威圧と、エバから立ち上がる炎のような影に、私たちはアールを覗いて本能で畏怖して体が動かなくなる。
「びぃっ!」
「くっ、大丈夫」
兄がビリビリと震える空気の中、必死に怯えた私を抱きしめてくれる。
私もなんとか動けるが、見ると並んでいた侍女や、しゅー兄は汗すら流して震えているが、ヤバそうに体を揺らしてる。
国王はかろうじて、大丈夫そうだという事は……スキルが関係しているのだろう。
「行くわよ、わかったわね!」
「息子を、息子を宜しくお願いしますエバ様!」
「任せなさい!」
やっと、フッと威圧が消えて、私たちは楽に息をする事ができた。
見ると、スキルのない者たちは気絶していた。
「おいおい、やり過ぎでしゅよ」
「うふっ、ともかく許可が出たから、王子付きの侍女としてお供するわね」
「というか、お前正体バラして大丈夫なの? 放火魔だってバレちゃうでしゅよ?」
「まかせて! お腹いっぱいだから力がみなぎってるのよ! あっそーれ」
私はエバの体から、何かが飛び出す気配を感じた。
これが、エバの力……感じるのは契約したからだ。
フォンと赤い光が飛び散って、キラキラと気絶した者たちへ落ちて溶けていく。
黙ってエバを引き離したアールが薄く笑った。
「記憶を消したのか」
「そうよ、この瞬間だけね。あくまで使えるのは、この国の者たちだけよ」
王はガクリと膝をついて、大きなため息をついた。
しゅーさんは、そんな父の肩を叩いて励ました。
「ただ彼女と共にいるだけです。何より精霊様がついてくれています」
「ああ、だが王である前に父として、お前も大事なのだ」
「ありがとうございます。僕も父上が大好きですよ」
ガハッと抱き合った親子愛に、私とエバはパチパチと拍手を送る。
そして冷めた男どもが言った。
「おいアール、私はアーリーを旅に出すのは認めていない。そもそもどこに行くのだ、何の為に? 美味いものの為に? ならば別にアーリーは国にいればいい。他国の精霊様には、私が外交と共に、アーリーの作った食料を届けよう」
「私もそれがいいと思うのですがね王子、ですが一つ見誤ってますよ?」
「何だ? アール」
「チビが大人しくしてる訳がない。ともかく、とっとと帰りましょうぜ。ここの用事も終わったみたいだ」
そうだ。ともかく帰宅しよう。
この国も見たし、エバも元気になった。
何より戦利品を手に入れて、私は大変ホクホクだった。
そして、今私たちは「元・痔主」であった事など、なかったかのように澄ました王様の前にいる。
「息子ともども、我が精霊様が世話になった。心より感謝申し上げる。君は小さな聖女だよ」
「でへへでしゅ」
褒められるとテレテレします。もっと、もっとだ、もっと褒めろ。
なぜか他人事みたいなエバがパチパチパチと手を叩く。
「良かったですなエバ様」
「本当よ~。ところで今後は私のご飯どうなるの?」
「だから、うちの国からお前の所に何か送るって言ってるだろうが馬鹿鳥」
アールが、さも自分の取り分が減るとばかりに嫌そうな顔をした。
「はははっ、そちらの彼はなんと勇ましい事か」
「心より、スターツ王国には感謝と、今後の友好を誓います」
いやいや、むしろ忠誠を誓うがいい。
私の国スターツではなく、私個人にね! あはははははっ!
「悪い顔してるよ……まゆまゆ」
「あら、いやんでしゅ」
「ところでシュヴァルツ、なぜアリアナ王女をまゆまゆと?」
「僕の中では、命より大事な人を、まゆまゆと呼ぶのですよ父上」
「お前はたまに不思議な事を言うが……まあ、仲良くするがいい」
「はい、そこで父上にお願いがあります」
しゅーさんは、自らの父親の前で膝をついた。
「どうか僕に、世界を見るための旅に出る事をお許しください」
「いきなりどうした?」
「きっと、まゆまゆは、このスキルを使って他国にも赴くでしょう。その時に僕は傍にいたい」
「しかし、お前はまだ子供だろう」
「僕は子供でも男です。何より愛しい人を守れる立派な男でいたいのです」
しっかりと目を逸らさずに、父親にそう告げたしゅーさんに、私の胸は熱くなった。
カッコいいよしゅーさん。
余所見して、あのメイド可愛かったなーと独り言を言ってる馬鹿犬と、わざとらしくハンカチで目元を拭うエバがいた。
「感動よ! 愛よ! 燃え上がるわよ! いいわ私も一緒に行くわ!」
「いやいや精霊様、それは他国に行くという事ですか!」
慌てたしゅー父が席を立つ。うん、お尻元気だねーとても元気だねーふふふん。
燃え上がるエバは、情熱のままに国王を説得しはじめた。
うん、説得だよね?
「だからっ、チビ姫ちゃんがいれば少しは離れても大丈夫だって! ちゃんと遠くから加護も送るし、私も愛に生きたいのよっ!」
「よし逝け、とっとと天に逝け!」
アールは必死だなぁ、ざまあ。
ひたすらアールに胸を押し付けて抱き着くエバと、それを引き離すアールの阿鼻叫喚は見ものではあるが、一応精霊様とやらで、見守る誰もが止めることは出来ない。
ポップコーンないの? 食べながら見学したいなぁ。
そして、エバがキレた。
「いい事よくお聞き、私はこの子たちと共に行く。これはもう、精霊が決めた決定事項である。わらわに逆らうか!」
激しい威圧と、エバから立ち上がる炎のような影に、私たちはアールを覗いて本能で畏怖して体が動かなくなる。
「びぃっ!」
「くっ、大丈夫」
兄がビリビリと震える空気の中、必死に怯えた私を抱きしめてくれる。
私もなんとか動けるが、見ると並んでいた侍女や、しゅー兄は汗すら流して震えているが、ヤバそうに体を揺らしてる。
国王はかろうじて、大丈夫そうだという事は……スキルが関係しているのだろう。
「行くわよ、わかったわね!」
「息子を、息子を宜しくお願いしますエバ様!」
「任せなさい!」
やっと、フッと威圧が消えて、私たちは楽に息をする事ができた。
見ると、スキルのない者たちは気絶していた。
「おいおい、やり過ぎでしゅよ」
「うふっ、ともかく許可が出たから、王子付きの侍女としてお供するわね」
「というか、お前正体バラして大丈夫なの? 放火魔だってバレちゃうでしゅよ?」
「まかせて! お腹いっぱいだから力がみなぎってるのよ! あっそーれ」
私はエバの体から、何かが飛び出す気配を感じた。
これが、エバの力……感じるのは契約したからだ。
フォンと赤い光が飛び散って、キラキラと気絶した者たちへ落ちて溶けていく。
黙ってエバを引き離したアールが薄く笑った。
「記憶を消したのか」
「そうよ、この瞬間だけね。あくまで使えるのは、この国の者たちだけよ」
王はガクリと膝をついて、大きなため息をついた。
しゅーさんは、そんな父の肩を叩いて励ました。
「ただ彼女と共にいるだけです。何より精霊様がついてくれています」
「ああ、だが王である前に父として、お前も大事なのだ」
「ありがとうございます。僕も父上が大好きですよ」
ガハッと抱き合った親子愛に、私とエバはパチパチと拍手を送る。
そして冷めた男どもが言った。
「おいアール、私はアーリーを旅に出すのは認めていない。そもそもどこに行くのだ、何の為に? 美味いものの為に? ならば別にアーリーは国にいればいい。他国の精霊様には、私が外交と共に、アーリーの作った食料を届けよう」
「私もそれがいいと思うのですがね王子、ですが一つ見誤ってますよ?」
「何だ? アール」
「チビが大人しくしてる訳がない。ともかく、とっとと帰りましょうぜ。ここの用事も終わったみたいだ」
そうだ。ともかく帰宅しよう。
この国も見たし、エバも元気になった。
何より戦利品を手に入れて、私は大変ホクホクだった。
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