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第5章 いらっしゃい南国パナマナ
第56話 亀の寝床と生意気小僧
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少し大きい程度の集落に辿り着き、またしても、ここに住む人たちに歓迎された。
「あらまあ、サウス様可愛い子をつれて」
「こんちゃーっ! アリアナでしゅよ、よろしくでしゅ!」
「まぁ、可愛い」
よし、この国でも掴みはOKみたいだ。可愛いは万国共通で良き良き。
馬車と単身の馬は手前の広場で、何やら世話をしてくれるという男性陣に預ける事になった。なかなか筋肉質で日に焼けた、ワイルドなおっちゃん達だった。
簡単な布で作ったサリーみたいな服が基本だが、何かの木の皮をなめして作ったワンピースみたいなドレスに貝の首飾り、または腰ミノをつけていたりと、南国にきたぞって雰囲気にさせてくれる。
「これはこれは、期待できるかもでしゅよ!」
「ふぇふぇふぇ、何をじゃの?」
「おいしいご飯でしゅよ!」
「それは楽しみじゃのう」
南国の木はあれはヤシの実だろうか? ココナッツ? バナナの木とかありそうだ。
緑が豊かな奥に向かっていくと、沢山の色鮮やかな花に囲まれ、甘いにおいも立ち込める。
これはパラダイスの予感!
「ここが、いつもわしがいる寝床じゃの」
「……ジョージは引きこもりでしゅか?」
それは、小山に掘られた穴倉だった。
入口は石で彫刻された柱がついているが、小山に穴が開けられ、中に入るとすぐさま大きな藁ベッドが設置されていた。
「ずっとここにいらっしゃるんですか? 南のサウス様」
しゅーさんの質問にエバが笑う。
「相変わらず動くの嫌いよね」
「怠け者の典型だよなお前」
狼まで何て事を言うんだ。私は必死でジョージをかばった。
「亀はどんくさくても、ちゃんとコツコツ頑張ればウサギも倒すんだぞ」
「何言ってるかわからん!」
「なんだと、この駄犬! お前なんか年中発情期じゃないか!」
「何よ、さっきといい浮気しまくってたのね! アールシャンテス!」
「ふぇふぇふぇ」
私たちがギャースカすると、まあ穴倉によく響くこと響くこと。
兄がしゅーさんにコソッと聞いていた。
「どうしてアーリーは、亀とやらだけ特別なんだ?」
「前世が関係しているんですよ。彼女は本当は動物を飼いたかったんです。でも飼育できたのは、夜店で捨てられそうになっていた亀だけでした」
「夜店? 露店みたいなものか?」
「ええ、小さな手のひらサイズの亀でしたが、とても大きくなりました。餌もそれほどに負担にはならなかったので……」
「……君は前世では、アーリーの夫であり苦労させた本人だと聞いた」
「はい」
「今度こそ、幸せにすると誓えるか?」
「そのために、魂はここにあります」
「たとえ前世がどうであろうと、今は私の可愛い妹だ。けれど君もまだ自らが子供だという事を忘れないように」
「はい、シリウス王子」
そんなやり取りすら知らず、亀に戻ったジョージの甲羅によじ登っては、ツルツルと滑って私は大爆笑していた。
ちなみに、アールはエバに首絞められていた。ざまあ。
「私はスターツ王国の第一王子のシリウスと申します。今背中に乗せてあやして頂いているのが、私の妹のアリアナです。それで、この国は一体どういう状況なのですか?」
「どういうと言われてものぅ」
「サウス、お前飯は一体どうしてたんだよ?」
「わしのか? 一応はわしの世話をしてくれる一族のスキルで、生きながらえておったがの」
「それにしても、あんたもかなり弱ってるわね」
「仕方あるまい、火の鳥よ。わしらはこのまま朽ちていくかと思っておった」
「お前。面倒だから動いてなかったんだろ?」
「お前もな、狼よ。ふぇふぇふぇ……ああ、丁度いいところに、ロコや。自己紹介しておやり」
皆で一斉に洞窟の入口を見ると、小さな少年が立っていた。
黒髪に日に焼けた茶色の肌、ここの国の子だと一目でわかる顔つきは、幼いながらも警戒心を丸出しにしていた。
細い目が吊り上がり、こちらを睨んでいる時点で友好的ではなさそうだ。
「わしの力も弱ってきてな、今はあの子の力に生かされている状態じゃて」
「坊主、どんな力か見せてみろ」
アールの言葉に、彼は怒鳴り返してきた。
「うるさい! サウス様、こいつら誰ですか! どうしてここに入れたんですか!」
「わしの仲間じゃからのぅ」
「仲間って……」
アールの顔を見上げて、ロコは怪訝な顔をする。
なぜかフフンと笑ったアールが、偉そうに告げた。
「俺は風のアールシャンテス、あっちの乳デカが火の鳥エバだ」
「せ……精霊様?」
「小さくたって、いいじゃないか!」
「黙れシリウス」
突然乱入した兄が、拳を震わせて魂の叫びをあげた。
だから、兄はなぜ空気を読まない。
ジョージは、状況を楽しんでいるみたいに笑ってるし、そらいきなり精霊って言われても驚くよね。
「う、嘘だ!」
ほらね? 彼は全力で否定した。
「あらまあ、サウス様可愛い子をつれて」
「こんちゃーっ! アリアナでしゅよ、よろしくでしゅ!」
「まぁ、可愛い」
よし、この国でも掴みはOKみたいだ。可愛いは万国共通で良き良き。
馬車と単身の馬は手前の広場で、何やら世話をしてくれるという男性陣に預ける事になった。なかなか筋肉質で日に焼けた、ワイルドなおっちゃん達だった。
簡単な布で作ったサリーみたいな服が基本だが、何かの木の皮をなめして作ったワンピースみたいなドレスに貝の首飾り、または腰ミノをつけていたりと、南国にきたぞって雰囲気にさせてくれる。
「これはこれは、期待できるかもでしゅよ!」
「ふぇふぇふぇ、何をじゃの?」
「おいしいご飯でしゅよ!」
「それは楽しみじゃのう」
南国の木はあれはヤシの実だろうか? ココナッツ? バナナの木とかありそうだ。
緑が豊かな奥に向かっていくと、沢山の色鮮やかな花に囲まれ、甘いにおいも立ち込める。
これはパラダイスの予感!
「ここが、いつもわしがいる寝床じゃの」
「……ジョージは引きこもりでしゅか?」
それは、小山に掘られた穴倉だった。
入口は石で彫刻された柱がついているが、小山に穴が開けられ、中に入るとすぐさま大きな藁ベッドが設置されていた。
「ずっとここにいらっしゃるんですか? 南のサウス様」
しゅーさんの質問にエバが笑う。
「相変わらず動くの嫌いよね」
「怠け者の典型だよなお前」
狼まで何て事を言うんだ。私は必死でジョージをかばった。
「亀はどんくさくても、ちゃんとコツコツ頑張ればウサギも倒すんだぞ」
「何言ってるかわからん!」
「なんだと、この駄犬! お前なんか年中発情期じゃないか!」
「何よ、さっきといい浮気しまくってたのね! アールシャンテス!」
「ふぇふぇふぇ」
私たちがギャースカすると、まあ穴倉によく響くこと響くこと。
兄がしゅーさんにコソッと聞いていた。
「どうしてアーリーは、亀とやらだけ特別なんだ?」
「前世が関係しているんですよ。彼女は本当は動物を飼いたかったんです。でも飼育できたのは、夜店で捨てられそうになっていた亀だけでした」
「夜店? 露店みたいなものか?」
「ええ、小さな手のひらサイズの亀でしたが、とても大きくなりました。餌もそれほどに負担にはならなかったので……」
「……君は前世では、アーリーの夫であり苦労させた本人だと聞いた」
「はい」
「今度こそ、幸せにすると誓えるか?」
「そのために、魂はここにあります」
「たとえ前世がどうであろうと、今は私の可愛い妹だ。けれど君もまだ自らが子供だという事を忘れないように」
「はい、シリウス王子」
そんなやり取りすら知らず、亀に戻ったジョージの甲羅によじ登っては、ツルツルと滑って私は大爆笑していた。
ちなみに、アールはエバに首絞められていた。ざまあ。
「私はスターツ王国の第一王子のシリウスと申します。今背中に乗せてあやして頂いているのが、私の妹のアリアナです。それで、この国は一体どういう状況なのですか?」
「どういうと言われてものぅ」
「サウス、お前飯は一体どうしてたんだよ?」
「わしのか? 一応はわしの世話をしてくれる一族のスキルで、生きながらえておったがの」
「それにしても、あんたもかなり弱ってるわね」
「仕方あるまい、火の鳥よ。わしらはこのまま朽ちていくかと思っておった」
「お前。面倒だから動いてなかったんだろ?」
「お前もな、狼よ。ふぇふぇふぇ……ああ、丁度いいところに、ロコや。自己紹介しておやり」
皆で一斉に洞窟の入口を見ると、小さな少年が立っていた。
黒髪に日に焼けた茶色の肌、ここの国の子だと一目でわかる顔つきは、幼いながらも警戒心を丸出しにしていた。
細い目が吊り上がり、こちらを睨んでいる時点で友好的ではなさそうだ。
「わしの力も弱ってきてな、今はあの子の力に生かされている状態じゃて」
「坊主、どんな力か見せてみろ」
アールの言葉に、彼は怒鳴り返してきた。
「うるさい! サウス様、こいつら誰ですか! どうしてここに入れたんですか!」
「わしの仲間じゃからのぅ」
「仲間って……」
アールの顔を見上げて、ロコは怪訝な顔をする。
なぜかフフンと笑ったアールが、偉そうに告げた。
「俺は風のアールシャンテス、あっちの乳デカが火の鳥エバだ」
「せ……精霊様?」
「小さくたって、いいじゃないか!」
「黙れシリウス」
突然乱入した兄が、拳を震わせて魂の叫びをあげた。
だから、兄はなぜ空気を読まない。
ジョージは、状況を楽しんでいるみたいに笑ってるし、そらいきなり精霊って言われても驚くよね。
「う、嘘だ!」
ほらね? 彼は全力で否定した。
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