転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第5章 いらっしゃい南国パナマナ

第58話 歓迎パーティー会場はこちらでしゅ

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 案内された集落の食糧庫には、沢山の食材が保管されていた。

「ふぉおおーっ!」
「ここのはサウス様専用の食材なんだけど、特別だからな」
「いつもは、どうやってご飯あげていたでしゅか?」
「俺の出した塩を、ふりかけて出していた」
「年寄りに塩分は危険でしゅ」
「何言ってるんだ! 俺のスキルが命を救うんだろうが」

 ダンダンと足踏みするロコは無視して、一通り倉庫の中を確認した。
 基本的に、日持ちの良い穀物と乾燥肉がメイン。
 あとは、魚の干物がわずかだがあって感動したが、メザシやサンマ程度の大きさしかなかった。

「もっと大きい魚は、ないでしゅか?」
「今は海も荒れやすくって、何より魔物が沸いて小さいのしかいねーよ」
「ガッテム!」

 なんたる事か、とっととジョージに力をつけて貰って追い払って貰わないと!
 土で作った、弥生式土器みたいなのを発見して覗き込む。
 中には、細長い米が大量に入ってあった。

「はわわわわっ、発見!」
「ああ、それはうちの島で作ってる米だ」
「この集落は、何人位いるでしゅか?」
「ざっと、三十人程度だな」
「意外と少ないでしゅね」
「ここは聖地だからな」

 よくわからないが、その程度の人数ならば、なんとかなるだろうか?

「一番大きな鍋と、フライパンを用意して欲しいでしゅ、あと人手が欲しいでしゅ」
「ん? ともかく鍋とフライパンだな」

 用意された鍋とフライパンを見て、私は首を横に振る。
 小さすぎるのだ。人数分は無理そうだ。
 ならば仕方ない、数で勝負作戦しかあるまい。

「この米に水をいれて、横に並べるでしゅ!」

 一列に並んだ鍋を、それぞれに焚火を作って炊いていく。

「各自、米が炊きあがったら、もってくるでしゅ」

 集落の女性達は、楽し気に手伝ってくれる。
 男性陣は、頼んでいた大きな平らな石を、テーブルのようにセットしてくれた。
 台座のように両脇に、別の石で土台を作って高さを作り、下には木をくべて火を起こす。
 次は、材料の仕込みだ。いでよ! 我が下僕!

「ほれっ、アール切り刻め!」
「本当に、精霊使い荒いのなお前!」

 用意した乾燥肉を、細かく風で切り刻む。周囲の者たちの驚きの声が上がる。
 しゅーさんは、兄と共に野菜を切る役目を引き受けてくれた。

 私? そら現場監督さ。ふふん。

「エバ、石テーブルを熱くして欲しいでしゅ!」
「思う存分やっていいわけね! 任せてっ!」

 生き生きと炎で、石をカンカンに熱くしてくれた。
 またもや周囲のどよめきが凄い……まあ手品だと思ったくれたら……って無理だよね。
 なんとかなるでしょ。

「皆の者は、口が堅いから心配いらんよ。ふぇふぇふぇ」
「流石は、ジョージの手下だね!」
「だからジョージじゃなくて、サウス様だろ!」

 この少年は、いちいちうるさいな。
 お前も花壇の花をもぐタイプだろ? わかるんだよ。

 具材を石テーブルに乗せると、ジュワーっと煙があがり炒められていく。
 はい、みんな火傷しないように、周囲から各自焦がさないように、そう炒めて炒めて。

 次は……っと、炊きあがった米を投入! さあここからが勝負だ。
 具材と米が混ぜられていく。このままでも美味しそうだけど、ってアールヨダレふけ。

「お塩出して欲しいでしゅ」
「は? なんで?」
「あのご飯を、ジョージに食べさせるからでしゅよ」
「ふふん、やっぱり俺の力が必要なんじゃねーか」
「タダのお塩を、出して欲しいでしゅ。みんなが元気になりますようにで、お願いするでしゅ」
「わかった、このお椀一杯が限界だ。それでいいな?」
「はいでしゅ!」

 さあ、魅惑のスキル発動観戦だ! ワクワクと私が見つめると、お椀を持ったロコはコホンと咳払いした。

「あーあーん、塩がありゃーあははん、元気になりゃーあっそーれー」
「は?」

 いきなり何コレ? 奇妙な歌を歌いだしたロコに私達は固まった。
 だがロコと共に、周囲の集落の人たちも手拍子を始めた。

「あーほいほい、お塩っ、お塩っ、おれの塩ーっ! パンパン」

 兄が楽し気に一緒に手を叩き始めた。うん、この人は他人事で楽しむ事にしたようだ。
 楽し気な歌と共に、白い光がお椀に注がれ、サラサラと何かが溜まっていく。
 そして、差し出されたのは間違いなく塩だった。

「っあ、はぁはぁ」

 息切れして死にそうな少年に、私は告げた。

「ご苦労調味料! あとは任せるでしゅ」
「だっ、誰が……調味料だ」

 塩をひとなめして、極上品だと私は確信した。
 そして、次は私のスキルを使う時だ。

 別の小型の土器に米と野菜くず、そして麦とトウモロコシ、そしてジョージの祭壇に捧げられていた果物をいくつか、かっぱらってきた。

「まゆまゆ、それ全てぶち込んで何を作るの?」
「これは、今までになく難しい調味料を作るでしゅ」
「材料からして、まったくわからないんだけど」
「年寄りの健康第一を考えたでしゅよ、ではいきましゅ」

 私は土器に手をかざす。

「混ざって発酵して、なんやかんやで、酸っぱいの、おいちくなぁーれ!」

 思い切り力を全力で注ぎ込む。
 金色の光の眩しさに、周囲が目をつぶる。
 金色の光の渦が、ぐるぐると土器の中に吸い込まれ、私はグッとイメージを逸らさぬように力を注ぎ続けた。

 今、中はいい感じに発酵して、そして混ざって、再度の発酵と攪拌、そして混ぜられて溶けて、そして一つになって……あと少し。
 ふわりと浮かんできた手ごたえを、私はガッシリと掴み込んだ。

「出来たでしゅーっ! おっすおっすで、お酢でしゅよーっ! ビネガービネガー!」

 とうとう、お酢まで作り上げてしまったよ。やったねアタチ!
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