転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第5章 いらっしゃい南国パナマナ

第61話 奴の名はG

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 洞窟あるあるだが、中に入ると内部はほのかに明るかった。

「また、いい仕事しゅるね光ゴケ!」
「ジメジメした所が繁殖地だし、明るくて助かったよね、まゆまゆ」

 しゅーさんと手を繋いで、アールを前に、後ろを兄に挟まれて進んでいく。
 先頭は、歩きなれたロコがスイスイと進む。

 褐色の肌と黒髪は、この国の住人の特色だ。
 年齢は十歳になったばかりの、背丈もそこそこあるヒョロリとした体躯のロコは、身のこなしも素早く、道途中の岩をヒョイヒョイと軽く飛び越えていく。

「おい待て、後ろをちゃんと見て前に進め」
「あんたらが、ドン臭いのが悪い」
「なら、一人で進んで一人で死ね」

 アールは容赦ないなあ……だが同意だ。
 一緒に洞窟に入ったからには、私たちは同じ探検チームのはずだ。

「このまま一本道だと助かるんだけど、壁を見ると無理そうだな」

 兄がフゥと溜息をつくので、壁? と見て納得した。
 先ほどまでは、自然の岩肌だったのに、少し奥に進むとレンガが埋め込まれた人工の跡がある。
 つまり、意図的に作られた迷宮で間違いない。

「入口から糸をつけて置くべきだったでしゅ」
「どうするんだいアーリー?」
「迷子になったら、糸をたどると帰れるでしゅよ」
「なんて私の妹は賢いんだ!」

 ふふっ、マッピングなんぞできないのなら、こういう方法があるのだよ。
 だが、簡単に狼とロコに却下された。

「いや、俺案内してるし、道知ってるし」
「精霊の力は使えなくても、鼻がきいてるから出口の風を辿る程度はできるぞ」

 小僧はとっとと先に行こうとするし、馬鹿犬はやる気なさそうだし、だからこそ糸作戦だったんだが……。

「はっ! まさか蜘蛛の糸……」
「何があっても、僕はまゆまゆを手放さないから、変な想像して遊んでないで進もうね」

 しゅーさんに手を繋がれて、スタスタと歩行を促された。
 ある程度進んだところで、分かれ道になる。

 ロコは迷いなく、右に行こうとするがアールが止めた。

「待て、嫌な匂いがする」
「嫌なって、魔物か?」

 兄が剣に手を当ててアールに尋ねた。
 だが、アールは眉間にシワを寄せて否定した。

「魔物かも知れんし、面倒そうな匂いがする。もう片方からもするが、まだマシだ。おい小僧、結局ゴールはどこなんだ」
「最終的に、どの道を通っても最奥の祭壇につくようになっている。そこに、色んな変わったものがあって、魚を呼び寄せるやつもそこにあるんだ」
「近道になるか、遠回りになるかの違いか?」
「そうだよ、そしてスキルがないやつは、入口に戻されるんだ」
「……その点に関しては大丈夫だな」

 アールが頷くと、兄は気づいたようで警告する。

「逆に、これだけスキル持ちがいるんだ。特にアーリーのスキルの強さに惹かれて魔物が現れるとしたら、遭遇率は高くなるのは必須だろう」
「なら、四の五の言わずに、切り捨てるしかないですよね王子」

 護衛らしい口調で、アールは自信満々に剣を抜いた。
 アールは腐っても精霊だ。その勘に従って、私たちは左に進むと、すぐさま魔物とぶち当たった。

「ぎょぴぃーっ!」

 ナメクジのような、軟体の魔物の気持ち悪さに、私は悲鳴をあげる。

「お塩かけるでしゅー! 砂糖でも溶けるでしゅー!」
「わ、わ、わかった! こうだな!」

 ロコが早口で、変な歌を歌うと、手のひらからシュバッと塩が撒かれた。
 だが溶ける所か、その塩を目当てにナメクジが集合する。

「舐めてるね、ただの塩じゃないからだ」

 私たちは、各自背負ってるリュックに荷物をつめている。
 しゅーさんは自らのリュックから、海の塩を取り出して、えいやとナメクジに振りかけた。

 すると中型犬の大きさだったナメクジは、子犬程度の大きさに震えながら縮んでいった。
 やっぱ塩効くじゃねーか、そしてロコのスキル塩は別物なんだな。

 剣が溶けるのを回避する為に、皆で塩だけでなく砂糖も振りまいた。

「砂糖で溶けやがる、ひゃひゃひゃ!」
「こらアール! アーリーが泣くから無駄遣いするな!」

 兄ちゃんナイス! そして馬鹿犬は砂糖漬けにしてやろうか?
 女神の最大のミスは、こいつを精霊にした事ではないだろうか?

 その後も、奥に進む度に分岐点があった。

「あ、王子そっちじゃねーよ。てか、こんな所でまで迷子になるな面倒臭い」
「ち、ちょっとアチラを確認しただけだ!」

 しゅーさんは分岐点がある度に、ガリガリと壁に石で何か書き込んでいた。

「まあ、念の為にね」

 来た方向を、拾った白い石を使って印をつけていた。
 本当に昔から慎重な人なのに、優しすぎるのが欠点だ。
 それさえなけりゃ、借金を背負うこともなかったのにと考えて、すぐさま私と釣り合いとれて丁度いいやと、笑ってしまった。
 
 何度かの魔物との戦闘をくり返し、その度にコウモリやネズミ、ともかく気持ち悪い系ばかりの出没に、私の悲鳴が響き渡る。

「次のぎょえーレベルは3だな」
「ちげぇよ、ぎょぴぴレベルは5だよきっと」
「アーリーは、悲鳴すら可愛いな」

 うっせえ。黙って剣を振って戦え。
 塩まいて、引きつけろ。
 最後のシスコンは、迷子になるな。

 足元に、カサカサと何かが来た感覚があり、反射的に踏みつけた。

「あ、黒いGでしゅね」
「まゆまゆ、そいつらには強いよね?」

 周囲の時が停止する中で、しゅーさんは丁寧に、水筒から水を出して、靴を綺麗にしてくれた。

「新聞紙があれば、無敵だったんだけどね」
「あははっ、台所無双だっけ? まゆまゆがいつも退治の度に叫んでたやつ」

 あははと笑い合う私たちを、信じられないと、見つめる馬鹿達がいた。
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