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第7章 四大精霊と救世主
第95話 貰ったもの勝ちでしゅ!
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居間で焼きたてのパンをほうばりながら、私はチラリと周囲を見渡した。
アールに黒羊、その横にティナが向かいに座っている。
私を真ん中に、しゅーさんとちゃっかりデブ。うん、お前本当に馴染んでるのな?
「はい、まゆまゆバターをどうぞ」
「ありゃ? そんなのあったんでしゅか?」
「き、ききき、昨日作り方を教えて貰った。僕頑張って、つ、作った」
「その心意気や、良しでしゅよティナ」
なぜか年上の彼女にテヘヘと照れられてしまった。
しかし、一回で見て覚えるとは……。
聞けばバター自体はあるらしいが、作り方は一部の人間だけが知るものだったという。
そのせいでバターは高級品で、それに近いバターもどきで済ませていたらしい。
「商売の基本だとそうでしゅが、結局はみんなが作り方を知った方が、美味しいが一杯広がってチャンスが増えるでしゅ」
そして私が幸せになります。もっと美味しいを見つけて献上して下さい。
どうやら皆は先に食事を済ませていたらしく、私はモギュモギュと出来立てパンを堪能していた。
「ところで、この国の国民は例の病のせいで、瀕死の状態なわけだが、うちのチビ姫様はそれを治療する方法を知ってる。そこまでの認識はいいな?」
「はっ、今更救ったところで、この国は終わりですよ」
黒羊は中二病をまだ患っているらしい。あーこのパンの皮の部分のパリパリした所が好き。
うっとりと頬に手を当て噛みしめる。
麦というより、これは米粉で作ってるパンみたいだ。美味しい。
目の前では? 精霊大会が開催中だ。
「お前が勝手に滅ぶのは勝手。だが我らの内なる身に封印されしモノを忘れたか?」
「それこそ、そこの魔界の者が喜ぶでしょうね。私が消えれば一つの扉が開きます。それがどうなるものかは、女神のみぞ知る。私を見捨てた女神にはいい気味ですよ」
「本気で見捨ててるなら、治しに行けとか言わないと思うでしゅけどねぇ」
「何を知った口を、小娘はパンをちゃんと噛んで食べなさい」
「ふぁい」
羊って本当に真面目だなぁ。
アールと羊の口論は続いた。
「だから、お前が消えるのは勝手だが、後始末させられるこっちの身にもなれ」
「知りませんよ。私たちは互いに不干渉だったはずです。なのに今更どうして」
ギャースカと二匹が白熱している中で、しゅーさんは私の口元を拭き、ティナはゼンが出したオヤツの干しレーズンを、自家製ヨーグルトもどきに入れてかき混ぜて食べさせてくれた。
いやあ、朝からお腹いっぱいでしゅ。
満足した私は、ではそろそろ仕事にとりかかろうと椅子から飛び降りた。
そして白熱している二匹の前に行く。
「メリーは、消えたいんでしゅか?」
「別に消えてもいいとは、思っていますよ」
「女神が、嫌いなんでしゅか?」
私の言葉に、一瞬目を泳がせた。そして、大きな溜息をつかれた。
「女神に助けを求めるのは間違っています。それでも、人に生贄として捧げられた私を救ったあげく、人と共存しろだなんてあんまりじゃないですか」
「でも、受け入れたから精霊になったんでしゅよね?」
「ここまで人が愚かだと思わなかったのです」
「でも、ティナは傍においてるでしゅ」
「あれは私の拾い物です」
「ちゃんと引き受けたことは最後までしないと、結局は愚かな人間に文句言えないでしゅよ」
私の冷静な言葉にゼファーは息を詰まらせる。そしてアールは低く笑った。
ともかく、面倒なひねくれ羊の相手なんぞ、していられない。
ぐぬぬと悔し気な羊を煽ってあげた。
「本当に精霊なのかすら怪しいでしゅ」
「な、なんですって!」
「証拠を見せて欲しいでしゅ」
おなか一杯でポンポコリンのお腹をさすさすしつつ、私は羊の前に立ち塞がった。
「どうせ精霊の加護も、ちゃんと作れないでしゅよね? 他の精霊は綺麗な飴ちゃんだったでしゅけど?」
「は? 加護の結晶が見たいのですね。よろしい、コレです。ほら崇めなさい」
どや顔黒羊は、どうだと私に羊の前足に挟んだ、キラキラ結晶を見せびらかした。
羊の足の蹄は二本爪で、なんかピースサインしてる真ん中に挟む形で輝く小石が存在した。
「これはメリーの涙でしゅか?」
「何か勘違いをしているみたいですが、魂の涙であって、人のような目から流れる不純物とは違いますよ」
「小さくて、ちゃんと見えないでしゅ」
「ほら、これなら見えますか?」
割と面倒見がいいんだよな、メリーは。
人が嫌いとか言って、なんだかんだと面倒見がいいから、ただの天邪鬼なんだろうなぁ。
目が合うと、ニヤリと羊の笑みを浮かべられ、途端に私は涙目になる。
「ぎょぴぴっ! マトンマトン!!」
「何を言ってるかわかりませんが、何かまた食べさせてくれるなら大歓迎です」
「うぴぴっ……ううっ……」
耐えた。
私は本当に耐えた!
主に恐怖ではなく、膀胱をだ!
耐えがたきを耐え、私はチャッと羊の蹄から加護の結晶を抜き取った。
「ほら綺麗でしょう。これが私の……」
話にかぶせるように、私は叫んだ。
「これ、ちょーらいっ!!」
「はい?」
パクッ! ゴックン!
……。
その時、室内が無音になった。
……。
「あああああァァ――っ!」
「はい、ご馳走様でしゅよ」
「まゆまゆ、ちゃんと噛まないとつまるよ」
「チビ姫様、これでお前さん四大精霊制覇だぞ」
「うっしゅ」
「あああああァァ――っ! 小娘ぇええーっ!」
「アール、これで羊の力も取り入れたでしゅか?」
「それでいけるんじゃね? 自分の意思で加護の結晶出したのゼファーだし」
「あああああァァ――っ!」
「「「うるさいっ!!」」」
羊はティナを除く全員に怒鳴られて、ピタリと口を紡ぐ。
そして、バタリとその場で四つん這いになり、落ち込んだ。
「これは背中に乗れという事でしゅかね?」
「違います小娘! よく聞きなさい! たとえお前が奪った力だとしても、私の加護がなければロクに使えませんからねっ!」
「きっと、アタチにメロメロになって協力したくなるでしゅよ?」
ニッコリと私は笑ってあげた。
「さあ、病の治療薬を今から作るでしゅよ!」
アールに黒羊、その横にティナが向かいに座っている。
私を真ん中に、しゅーさんとちゃっかりデブ。うん、お前本当に馴染んでるのな?
「はい、まゆまゆバターをどうぞ」
「ありゃ? そんなのあったんでしゅか?」
「き、ききき、昨日作り方を教えて貰った。僕頑張って、つ、作った」
「その心意気や、良しでしゅよティナ」
なぜか年上の彼女にテヘヘと照れられてしまった。
しかし、一回で見て覚えるとは……。
聞けばバター自体はあるらしいが、作り方は一部の人間だけが知るものだったという。
そのせいでバターは高級品で、それに近いバターもどきで済ませていたらしい。
「商売の基本だとそうでしゅが、結局はみんなが作り方を知った方が、美味しいが一杯広がってチャンスが増えるでしゅ」
そして私が幸せになります。もっと美味しいを見つけて献上して下さい。
どうやら皆は先に食事を済ませていたらしく、私はモギュモギュと出来立てパンを堪能していた。
「ところで、この国の国民は例の病のせいで、瀕死の状態なわけだが、うちのチビ姫様はそれを治療する方法を知ってる。そこまでの認識はいいな?」
「はっ、今更救ったところで、この国は終わりですよ」
黒羊は中二病をまだ患っているらしい。あーこのパンの皮の部分のパリパリした所が好き。
うっとりと頬に手を当て噛みしめる。
麦というより、これは米粉で作ってるパンみたいだ。美味しい。
目の前では? 精霊大会が開催中だ。
「お前が勝手に滅ぶのは勝手。だが我らの内なる身に封印されしモノを忘れたか?」
「それこそ、そこの魔界の者が喜ぶでしょうね。私が消えれば一つの扉が開きます。それがどうなるものかは、女神のみぞ知る。私を見捨てた女神にはいい気味ですよ」
「本気で見捨ててるなら、治しに行けとか言わないと思うでしゅけどねぇ」
「何を知った口を、小娘はパンをちゃんと噛んで食べなさい」
「ふぁい」
羊って本当に真面目だなぁ。
アールと羊の口論は続いた。
「だから、お前が消えるのは勝手だが、後始末させられるこっちの身にもなれ」
「知りませんよ。私たちは互いに不干渉だったはずです。なのに今更どうして」
ギャースカと二匹が白熱している中で、しゅーさんは私の口元を拭き、ティナはゼンが出したオヤツの干しレーズンを、自家製ヨーグルトもどきに入れてかき混ぜて食べさせてくれた。
いやあ、朝からお腹いっぱいでしゅ。
満足した私は、ではそろそろ仕事にとりかかろうと椅子から飛び降りた。
そして白熱している二匹の前に行く。
「メリーは、消えたいんでしゅか?」
「別に消えてもいいとは、思っていますよ」
「女神が、嫌いなんでしゅか?」
私の言葉に、一瞬目を泳がせた。そして、大きな溜息をつかれた。
「女神に助けを求めるのは間違っています。それでも、人に生贄として捧げられた私を救ったあげく、人と共存しろだなんてあんまりじゃないですか」
「でも、受け入れたから精霊になったんでしゅよね?」
「ここまで人が愚かだと思わなかったのです」
「でも、ティナは傍においてるでしゅ」
「あれは私の拾い物です」
「ちゃんと引き受けたことは最後までしないと、結局は愚かな人間に文句言えないでしゅよ」
私の冷静な言葉にゼファーは息を詰まらせる。そしてアールは低く笑った。
ともかく、面倒なひねくれ羊の相手なんぞ、していられない。
ぐぬぬと悔し気な羊を煽ってあげた。
「本当に精霊なのかすら怪しいでしゅ」
「な、なんですって!」
「証拠を見せて欲しいでしゅ」
おなか一杯でポンポコリンのお腹をさすさすしつつ、私は羊の前に立ち塞がった。
「どうせ精霊の加護も、ちゃんと作れないでしゅよね? 他の精霊は綺麗な飴ちゃんだったでしゅけど?」
「は? 加護の結晶が見たいのですね。よろしい、コレです。ほら崇めなさい」
どや顔黒羊は、どうだと私に羊の前足に挟んだ、キラキラ結晶を見せびらかした。
羊の足の蹄は二本爪で、なんかピースサインしてる真ん中に挟む形で輝く小石が存在した。
「これはメリーの涙でしゅか?」
「何か勘違いをしているみたいですが、魂の涙であって、人のような目から流れる不純物とは違いますよ」
「小さくて、ちゃんと見えないでしゅ」
「ほら、これなら見えますか?」
割と面倒見がいいんだよな、メリーは。
人が嫌いとか言って、なんだかんだと面倒見がいいから、ただの天邪鬼なんだろうなぁ。
目が合うと、ニヤリと羊の笑みを浮かべられ、途端に私は涙目になる。
「ぎょぴぴっ! マトンマトン!!」
「何を言ってるかわかりませんが、何かまた食べさせてくれるなら大歓迎です」
「うぴぴっ……ううっ……」
耐えた。
私は本当に耐えた!
主に恐怖ではなく、膀胱をだ!
耐えがたきを耐え、私はチャッと羊の蹄から加護の結晶を抜き取った。
「ほら綺麗でしょう。これが私の……」
話にかぶせるように、私は叫んだ。
「これ、ちょーらいっ!!」
「はい?」
パクッ! ゴックン!
……。
その時、室内が無音になった。
……。
「あああああァァ――っ!」
「はい、ご馳走様でしゅよ」
「まゆまゆ、ちゃんと噛まないとつまるよ」
「チビ姫様、これでお前さん四大精霊制覇だぞ」
「うっしゅ」
「あああああァァ――っ! 小娘ぇええーっ!」
「アール、これで羊の力も取り入れたでしゅか?」
「それでいけるんじゃね? 自分の意思で加護の結晶出したのゼファーだし」
「あああああァァ――っ!」
「「「うるさいっ!!」」」
羊はティナを除く全員に怒鳴られて、ピタリと口を紡ぐ。
そして、バタリとその場で四つん這いになり、落ち込んだ。
「これは背中に乗れという事でしゅかね?」
「違います小娘! よく聞きなさい! たとえお前が奪った力だとしても、私の加護がなければロクに使えませんからねっ!」
「きっと、アタチにメロメロになって協力したくなるでしゅよ?」
ニッコリと私は笑ってあげた。
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