転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第7章 四大精霊と救世主

第104話 いい湯だな~ビバビバ

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 狭い風呂場に石造りの風呂がポツリとある。
 浴室にはシャワーもついていて、屋根にたまった雪を暖炉の循環した熱気で溶かして、ここに注ぎ込まれるらしい。
 ただ温度調節も水量も、天気と外気温に左右されるらしいので、いつもは洗濯や掃除の水場としての使用がメインだそうだ。

「ちゃんと沸かせたから、ね? スッキリしよう」

 女同士、互いにスッポン・スッポンポン!
 柔らかい布を渡されて、なんと石鹸まであった。
 しかも、牛乳石鹸だ!

「しゅごいでしゅ。良い石鹸でしゅ! アタチの国では、草木を粉にしたので泡を作って洗うでしゅよ」

 苛性ソーダーがあればなぁ……と、以前にしゅーさんが私をチラリと見ていたが、私は発酵専門で、石鹸づくりは料理じゃないので不可能だと伝えると、ガックリしていた。
 ……私の夫は、私をなんだと思っていたのか、今になって疑問だ。

「こ、これは……動物の油とミルクで作ってる」
「すべすべでしゅよー」

 うぇーい! と泡を両手にとって、ブブーッと拭き散らかすと、モコモコが飛び散った。
 ああ、愉快!

「お尻かぶれてない? 柔らかい肌だから、か、かぶれると大変」

 ティナの心配は、成程……チッチかぶれか。
 そこを指摘すると私がキレるのも理解して、遠回しに気遣いしてくる。
 危険察知能力も高いな。
 しかも、しかもだ。

「はい、こ、こっち向いて。前は自分で洗う?」
「できるでしゅ。ティナも自分で洗うでしゅ」
「うんうん」

 そう、乳デカ属脂肪系の女どもではなく、なんとティナの慎ましい事か!
 これだよ、ムダに主張せず、それでいて、こうきちんと女の子って言う……。

「小っちゃくて、いいんでしゅ!」
「え、え、何の話」

 トポンと抱っこされ、二人で風呂に入る。
 お湯が贅沢にドバーっと流れる様に、私は無邪気にキャツキャとはしゃいだ。

 ―― うん、やっぱり幼児退行が進んでるな ――

「気持ちいいでしゅーっ」
「そ、そうだね。いい気持ちだね」
 
 濡れたおかっぱの私の髪を手で絞り、指で梳く。

「綺麗な金髪だね、の、伸ばさないの?」
「伸ばしてたけど、ここに来る前に切ったでしゅ」

 そして、国の奴ら(特に元ヒゲ国王)を先頭に大騒ぎになって、大変だったのも遠い昔みたいだ。
 ティナは赤毛の髪を降ろすと、なかなか色気のある美少女だ。

「妹がいたら、こ、こんな感じかな?」
「でしゅ? そういえば以前にメリーが拾ったって言ってたでしゅね」
「主様の事?」
「奴隷でしゅよね?」
「奴隷というか、使用人というか……ともかく、ぼ、僕は精霊様に救って頂いた命だから、精霊様に仕えるんだよ」
「救われた?」
「僕の一族は皆が病で死んでいった。て、帝国は精霊である主様の意思を無視して、他国への侵攻を企てたから、か、か、加護を失ったんだ」
「でしゅ?」
「ぼ、僕の一族は王家に連なる名門だったらしいけど色々あって、この辺境に、と、飛ばされて、そして僕以外は病で亡くなった」
「でしゅ……」

 武力を尊ぶクラナド帝国は、過去に女神が去ったその時に、聖女と勇者によって、初めての主国として君臨していた歴史があった。
 四大精霊は各地の縄張りを受け持つものの、女神は異世界より聖女を召喚した。
 それこそが、人が最後に女神に願った奇跡の力。

『女神がいなくなった後に、我々が尊ぶ女神の代わりとなる存在を』

 女神が去った後に訪れた魔界の脅威……。
 聖女と帝国の先祖の王子によって、隙間のあった魔界の扉は精霊の体内に完全に封印され、この世界の魔物の脅威は消え去った。
 残るは人でも対応可能な、魔界からすれば数にも入らぬ微小な生物だけ。

 この世界が作られ、女神の召喚した聖女の下に、人と精霊たちの全てが一つになったのだ。その主役の舞台が、ここクラナドだった。
 人の世に統一された国ができ、聖女と王子は結ばれて、その四人の子たちが各地の土地を支配するようになる。
 ただし、クラナドは何度も王族が争い、合い落ち着かない国だったらしい。

 あの羊がうんざりして静観するのも、仕方ないのかな?

「まだ小さいから、こんな歴史は知らないわよね」
「教会のステンドグラスに、そんな絵があった気がするでしゅ」

 そういえば、空から羽の生えた乳デカ女が、膝をついて祈る女の首根っこ掴んでいたのは、カツアゲの図ではなかったらしい。

「聖女でしゅか……」
「そう、人と全ての精霊様を従えた、尊い存在だったそうよ」
「へー」

 ……ん?
 全ての人と精霊を従える……?
 何か引っかかったが、お湯の心地よさに忘れてしまった。

 風呂から上がり、体をモフモフと拭かれる。
 心地よいサッパリとホコホコした感覚に身を任せ、ティナにされるがままに着替えさせてもらう。

「ティナも早く拭くでしゅよ」

 自らを後回しにしているティナに、私はスキルを発動してやる。

「アタチとついでに、僕っ娘も乾かせぇーいでしゅ」

 ほわわ~と温風が私たちの体を一周して消えた頃には、髪も体も乾いていた。

「チビちゃん、あ、ありがとう。でも、スキルを使ったら、この後疲れるんじゃ……」
「大丈夫でしゅよ。この後のご褒美が待ってるでしゅ」

 私は着替え終わって気づく。

「う、かーたんの首飾り忘れてるでしゅ」

 ピーマンの銀の首輪をかけて貰い、これで出来上がり。
 本日のモコモコ冬コーディネートはこーでねーとは、パステル黄色がメインとなっています。

 火に近づくかもの危険性を配慮して、厚みのある生地とセーターですが、フワフワのファーとか燃えやすい素材は避けています。

 何着ても可愛すぎる自分が怖い……とかやってたら、脳内に精霊たちの声が一斉に届いた。

『おいこら、聞け』
『ちょっとー、待ってるのよチビちゃーん』
『ふぇふぇふぇ……ぐーっ……』

 ダメだ。ラストのジョージがねんねのカウントダウンに入っている。
 マジで冬眠五秒前だ!
 私は急いで、襖を繋げた。
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