転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第7章 四大精霊と救世主

第106話 大好物のバニラシェィクでしゅ

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「なんですか小娘、この偉大なる私に何を…」
「小さいから手伝って欲しいでしゅ」
「あ、主様、私が!」
「ティナはそこで、ケーキの仕分けと配膳を頼むでしゅ」
「ほなワイが……」
「デブはアイスを取ってくるでしゅ。その後にしゅーさん達が風呂から上がったら、交代で風呂入ってこいでしゅ」
「風呂があるんかいな!」

 そりゃ私と同じ日本人なら、風呂が恋しいよな。
 こっちの世界にもあるにはあるが、金持ちか特定地域限定で、普段は水浴びや湯で体を拭く、もしくはシャワーだったりするもん。

「魔界にいた頃は、よく温泉に入ってたから懐かしいで」
「魔界に温泉があるでしゅか!」

 なんだそれは! 魔界いいとこ、一度はおいで~は~こりゃりこりゃ。
 私が魔界に興味を注がれていると、羊が大きくため息をついて私の手を握る。
 いつの間にか、人の姿の執事風味のおっさんに変化していたメリーことゼファー。

「ほら、子供が魔界なんて危険な事に首を突っ込むんじゃありません」
「ふぁーい」

 つい父親に怒られた気持ちで、反射的に返事をした。
 二人で台所に行くと、早速ゼンが外からアイスを持ってきた。

「ほな、ワイは風呂の順番待ちしてくるさかい、ワイの分はちゃんと確保しといてや」
「楽しみに待ってるでしゅよ」
「ほんま生きてて良かったわ、お嬢ちゃんおおきに」

 無邪気に去っていくデブを見て、毒気を抜かれたゼファーが呟いた。

「あんな呑気な男が、魔界の住人なのですからねぇ」
「なんとか、魔界に返してあげたいでしゅよ」
「それは難しいかも知れないですね」
「どうしてでしゅか? メリーが隙間開けたから転がり出たらしいでしゅよ?」
「メリーではなくゼファーです。そうですね、私一人では本来は無理です」
「なら、他の奴らの力があればいいんでしゅね」
「素直に協力するとは思えませんし、魔界の扉が開く危険を考えても、必要性は認められません。ほら、子供が変な事を考えず何をするんですか? 私は料理なんてできないですよ」

 執事風味なんだから、何か食器磨くとか色々芸できないの?

「やっぱり魔界に返してあげたいでしゅ。妹さんに会いたいみたいでしゅ」

 呟く私の頭を、ナデナデと撫でられた。

「お前は生意気ですが良い子ですね。私自身も気がおかしくなっていたので、あのような暴走はもうできないんですが、なんとか方法があれば協力致しましょう」

 どれだけ人を信じても、人は争いをやめなかった。
 羊は嘆き絶望し、それでも人は人を傷つける。
 我慢の限界を迎えた羊は、我を忘れて絶叫した。

『なぜ、お前たちはこうも愚かなのか! 以後のお前たちへ加護はないものと思ええ!』

 敬う心も、祈りの言葉も消え失せて、残り少ない精霊の力を狂う心と共に解き放つ。その瞬間に、開いてはいけない扉が開きかけたのだ。

「……もうメリーは、みんなが嫌いじゃないでしゅか?」
「そうですね。少しお腹も満ちれば、また信じる力を取り戻す事に致しましょう」

 メェメェ手紙……じゃなくて、美味しいの食べさせてやっから改心しろよ?
 私はメリーに容器の蓋を開けて貰い、中で凍ったアイスを大きなフォークでザクザクと細かくして貰う。

「溶けてきました。これはいけない」

 ブォッと氷の気を発生させようとした羊を止めた。

「これでいいんでしゅ。次はトロけたアイスに、牛乳を入れるでしゅ」
「ん? 追加ですね」

 羊はアイスに、ヤギミルクを追加してくれた。
 そして、蓋をして私の出番だ。
 四大精霊の力を得てから、私の力はカンストしてるんだよね。

「ではいきま~しゅ! シャカシャカ省略、おいちくなぁーれ!」

 疲れたとしても、また昼寝して補えばいい。
 卵も手に入り、これこそが究極のアイスから作られた……。

「バニラシェイク完成でしゅ――っ!!」

 あはははーっ、もうクーポンの広告を握りしめて列に並ばなくていいんだぜ?
 ソフトクリームの機械と一緒なんで、よくうちの近所の店は故障して販売停止してたよね。
 てか、あのオモチャ目当てで、子がよく欲しがったけど、キリがなくって息子三人で一つだけって決めていた位に贅沢品だったよ。
 ポテトなんか自分で作った方が、大量にできて美味しくって……。

「このドロドロは何ですか?」
「はっ! これはシェイクでしゅ」
「シェイク?」
「飲み物でしゅ、あっ馬鹿狼が来たでしゅ」

 気配でわかる。私がそう言った途端に、アールが飛び込んできた。

「おい! デブが風呂に飛び込んできたせいで、目と心が死にそうだ! 何か力を使ってただろ、美味い物食わせてくれチビ姫様!」

 デブ乱入したんだな……ナイス。
 人手が欲しかったので、私はメリーとアールをこきつかい、シェイクを銀のポットに入れて、コップを数の分だけ居間に運ばせた。

 そこには、暖炉の前に固定されたエバが、必死で年寄姿になったジョージの肩を揺さぶり起こしていた。

「寝たら死ぬわよ! はい息吐いてー吐いて-もっと吐いてー」

 いや……吸わせてあげて? 遊んでるな鳥。
 しゅ-さんが配膳をティナと共に手伝い、八人分のケーキとコップが準備された。
 各自にフォークも持っていく。

「では食べるでしゅよー」

 一つだけまだ空席のままだが、シェイクは鮮度が命!

「また新しいのが食べられるのね! 楽しみ」

 エバの言葉を合図に、皆で一斉に頂きました。
 パウンドケーキは甘くバニラの香りが豊かで、メレンゲ効果でフワフワだった。
 口の中でホロホロと溶けていき、皆が夢中で貪っている。

 文句たれのアールですら、甘い物が得意じゃないのに笑顔で必死に食べていた。
 しゅーさんも、こんなに美味しいのは初めてとベタ褒めで誇らしい。
 私も、ちょっぴり自分の発酵スキルが誇らしかった。
 時間は既に昼を回っていて、ちょうどいい昼食の時間帯だ。

 初めてのバニラシェイクも絶賛で、急いで風呂から飛び出てきたゼンすら、懐かしすぎると泣いて食べていた。
 ジョージですら、シェイクが気に入った様子で、目をシャッキリさせておかわりをしている。
 こうして、私たちは体力も気力も回復したのだった。
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