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第8章 魔界の決戦
第112話 伝説の真実
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「ところで、魔界いいとこ一度はおいででしゅか?」
私は、魔界の元住人を尋問していた。
「まあワイらのラノベでイメージする魔界と、この世界が混ざったような感じや」
「魔物は怖いでしゅか?」
「まんまファンタジー世界やから、話が通じるんもいれば、知能なくて襲ってくるやつもいるで」
「人もいるんですよね?」
ひょっこり、しゅーさんも参加してきた。
ゼンはご機嫌で色々と教えてくれる。
「昔に魔界とここが接近しすぎて、魔物と人が争った事があってなぁ。まあ、それも鎮圧されたんやけど。そん時に魔界に攫われた人間が、なんとか順応して生きてる集落とかもあるんや」
「なら、美味しいご飯もあるでしゅか?」
せめて、それ位のご褒美をくれ。
だが、ゼンは首をゆっくりと横に振った。
「まあゼロやないけど、食材も乏しいで。あと人が魔素で進化してたり、魔物と交じり合ってハイプリット化してたりと、まあ色々ごった煮な場所やけど、ワイは魔界も旅して回ったから役に立つとは思う」
「お前を頼りにする。だから、この小さき者たちを裏切るなよ?」
アールがひと睨みすると、ゼンは鼻で笑った。
「ワイはあんさんらと違って、ちゃんと人情ってもんを知ってるんでな」
のそりと黙っていたゼファーが、ゼンの前に袋を差し出した。
「これは私のとっておきの米です。慰め程度ですが受け取りなさい」
「……ふん。慰謝料かいな」
羊とゼンは視線すら交わさない。だが、ゼンは黙って袋を受け取り、とっとと背負っていたリュックに収納した。
「よし、では頼みます」
「はーい、任せて」
アールと女神の声で、私たちは「ああ、いたな」と思い出して視線を向けた。
途端に女神が光を放ち、黄金色の扉を出現させた。
「おいでませ~狼ちゃんの愛し子よ~」
「なんでしゅか?」
女神の呑気な呼びかけと同時に、扉がガチャリと開かれた。
そして、見覚えのある典型的な金髪碧眼の王子様が現れた。
うん、良く言い過ぎた。うちのシスコン兄だ。
「なんで、うちの保護者を呼んだでしゅかぁぁぁーっ!」
どうやらアールが頼んだらしい。
「いや、こいつ騎士として最低限使えるし、私より弱いですけどね」
「アーリー、女神様より全て聞いたよ! 大丈夫! ちゃんと国でも会議を開いて了承済みだ!」
「面倒なの増やさないで欲しいでしゅ……」
「我が国だけでなく、他国からも世界の為に、皆で祈りを捧げ協力する体制に入っている。ていうか、みんなアーリーと一緒に、命を捨ててでも共に行くと言って聞かなくって……」
「これ以上、重荷を背負わせるなでしゅーっ!」
簡単に命捨てるな。
今まで届いていなかった、漏れた分の祈りや精霊への力。それを補うために、世界は一つになって祈りを捧げる。
兄曰く、突然世界に金の光が広がって、それは七色になって降り注いだそうだ。
「私にはわかったよ。ああ、私の自慢の妹だってね」
届けられた鍋の汁を一口すすり、世界の心が一つになった事を知る。
そんな矢先に、女神が会議室に現れて、国王である父を含む重臣たちに事情を説明した。
「女神様は、命の危険があれば即座にこの世界に引き戻すというしね。ならば、私もスキル持ちとして魔素とやらに耐性があるはずだから、連れて行ってくれと言ったんだ」
「とーたんは反対しなかったでしゅか? にーたんは跡取りでしゅよ?」
「むしろアーリーのために行ってこいと、背中を押してくれたよ」
何を行っても無駄そうだ。既に私の知らないところで話がついていたらしい。
面倒な監視……もとい、過保護な保護者が復活したが仕方ない。
兄は自信満々に自らを指さした。
「騎士の力だけで言えば、私はアールより強い。任せなさい」
「いやまて王子、あなた私から三本に一本しか取れないじゃないですか」
「いいや、それは木刀の話であって、真剣の時は私の方が……」
いつものように二人が喧嘩し始めたのを、女神は嬉し気にクスクスと笑う。
「本当に、狼ちゃんは彼が好きなんですね」
「女神様、少しお伺いしていいですか?」
しゅーさんが、恐る恐る問いかけると、女神はニッコリ頷いた。
「聖女様が、召喚された理由はなんですか?」
「この世界の人が、私の代わりに崇拝できる存在を求めていてね、そこにあなたの世界の消える寸前の魂を見つけたの」
「消える……寸前?」
「碇あかりは、まもなく死んで消える存在だったのよ、そのまま輪廻に入っても良かったのだけど、あかり曰く『聖女最高! それって逆ハー! やるやる!』って、まあ聖女って聖なる存在までは理解したんだけど、逆ハー? みんなに好かれる?」
ええっと、と小首を傾げた女神を見て、理解したしゅーさんは頭痛を抑えた。
「なんとなく、うちのまゆまゆと似た何かを……いや、うちのまゆまゆは金でしか動かないな。じゃなくって、確かに乙女ゲームが好きとかゼンさんも言ってましたよね」
「凄く熱心に語ってくれたけど、あまり良くわからなくって……」
「僕もラノベとかよくわかんないんで……ただ気になったのは、魔物を聖女と勇者が浄化したと聞いたんです。つまり聖女が呼ばれるより先に魔界からの危機があったのか、その後なのかが知りたかったんです」
うん? と私とゼンは後ろを振り返り、女神としゅーさんを見つめた。
うん、私たちはそうこの世界では伝えられている。
人々の願いにより、女神より選ばれし聖女が召喚された。
その聖女は、この世界の勇者と共に魔界を退け、世界を統一して新たなる国を作った。
それがこの世界初の全ての国の礎となった。
だが、女神の返答はなかなか衝撃だった。
「あの子を召喚した途端に、世界の力が乱れてしまって、魔界の距離が近づいちゃったのよ」
「人の願いを叶えるの力を使って、信仰の対象の聖女召喚のせいで、魔界が近づいたという事ですよね?」
「そんな感じよ。だから私も、せめてこの世界を去るついでに魔界を封印しようとしたら、止められちゃって」
「と、止められた?」
は?
私は、魔界の元住人を尋問していた。
「まあワイらのラノベでイメージする魔界と、この世界が混ざったような感じや」
「魔物は怖いでしゅか?」
「まんまファンタジー世界やから、話が通じるんもいれば、知能なくて襲ってくるやつもいるで」
「人もいるんですよね?」
ひょっこり、しゅーさんも参加してきた。
ゼンはご機嫌で色々と教えてくれる。
「昔に魔界とここが接近しすぎて、魔物と人が争った事があってなぁ。まあ、それも鎮圧されたんやけど。そん時に魔界に攫われた人間が、なんとか順応して生きてる集落とかもあるんや」
「なら、美味しいご飯もあるでしゅか?」
せめて、それ位のご褒美をくれ。
だが、ゼンは首をゆっくりと横に振った。
「まあゼロやないけど、食材も乏しいで。あと人が魔素で進化してたり、魔物と交じり合ってハイプリット化してたりと、まあ色々ごった煮な場所やけど、ワイは魔界も旅して回ったから役に立つとは思う」
「お前を頼りにする。だから、この小さき者たちを裏切るなよ?」
アールがひと睨みすると、ゼンは鼻で笑った。
「ワイはあんさんらと違って、ちゃんと人情ってもんを知ってるんでな」
のそりと黙っていたゼファーが、ゼンの前に袋を差し出した。
「これは私のとっておきの米です。慰め程度ですが受け取りなさい」
「……ふん。慰謝料かいな」
羊とゼンは視線すら交わさない。だが、ゼンは黙って袋を受け取り、とっとと背負っていたリュックに収納した。
「よし、では頼みます」
「はーい、任せて」
アールと女神の声で、私たちは「ああ、いたな」と思い出して視線を向けた。
途端に女神が光を放ち、黄金色の扉を出現させた。
「おいでませ~狼ちゃんの愛し子よ~」
「なんでしゅか?」
女神の呑気な呼びかけと同時に、扉がガチャリと開かれた。
そして、見覚えのある典型的な金髪碧眼の王子様が現れた。
うん、良く言い過ぎた。うちのシスコン兄だ。
「なんで、うちの保護者を呼んだでしゅかぁぁぁーっ!」
どうやらアールが頼んだらしい。
「いや、こいつ騎士として最低限使えるし、私より弱いですけどね」
「アーリー、女神様より全て聞いたよ! 大丈夫! ちゃんと国でも会議を開いて了承済みだ!」
「面倒なの増やさないで欲しいでしゅ……」
「我が国だけでなく、他国からも世界の為に、皆で祈りを捧げ協力する体制に入っている。ていうか、みんなアーリーと一緒に、命を捨ててでも共に行くと言って聞かなくって……」
「これ以上、重荷を背負わせるなでしゅーっ!」
簡単に命捨てるな。
今まで届いていなかった、漏れた分の祈りや精霊への力。それを補うために、世界は一つになって祈りを捧げる。
兄曰く、突然世界に金の光が広がって、それは七色になって降り注いだそうだ。
「私にはわかったよ。ああ、私の自慢の妹だってね」
届けられた鍋の汁を一口すすり、世界の心が一つになった事を知る。
そんな矢先に、女神が会議室に現れて、国王である父を含む重臣たちに事情を説明した。
「女神様は、命の危険があれば即座にこの世界に引き戻すというしね。ならば、私もスキル持ちとして魔素とやらに耐性があるはずだから、連れて行ってくれと言ったんだ」
「とーたんは反対しなかったでしゅか? にーたんは跡取りでしゅよ?」
「むしろアーリーのために行ってこいと、背中を押してくれたよ」
何を行っても無駄そうだ。既に私の知らないところで話がついていたらしい。
面倒な監視……もとい、過保護な保護者が復活したが仕方ない。
兄は自信満々に自らを指さした。
「騎士の力だけで言えば、私はアールより強い。任せなさい」
「いやまて王子、あなた私から三本に一本しか取れないじゃないですか」
「いいや、それは木刀の話であって、真剣の時は私の方が……」
いつものように二人が喧嘩し始めたのを、女神は嬉し気にクスクスと笑う。
「本当に、狼ちゃんは彼が好きなんですね」
「女神様、少しお伺いしていいですか?」
しゅーさんが、恐る恐る問いかけると、女神はニッコリ頷いた。
「聖女様が、召喚された理由はなんですか?」
「この世界の人が、私の代わりに崇拝できる存在を求めていてね、そこにあなたの世界の消える寸前の魂を見つけたの」
「消える……寸前?」
「碇あかりは、まもなく死んで消える存在だったのよ、そのまま輪廻に入っても良かったのだけど、あかり曰く『聖女最高! それって逆ハー! やるやる!』って、まあ聖女って聖なる存在までは理解したんだけど、逆ハー? みんなに好かれる?」
ええっと、と小首を傾げた女神を見て、理解したしゅーさんは頭痛を抑えた。
「なんとなく、うちのまゆまゆと似た何かを……いや、うちのまゆまゆは金でしか動かないな。じゃなくって、確かに乙女ゲームが好きとかゼンさんも言ってましたよね」
「凄く熱心に語ってくれたけど、あまり良くわからなくって……」
「僕もラノベとかよくわかんないんで……ただ気になったのは、魔物を聖女と勇者が浄化したと聞いたんです。つまり聖女が呼ばれるより先に魔界からの危機があったのか、その後なのかが知りたかったんです」
うん? と私とゼンは後ろを振り返り、女神としゅーさんを見つめた。
うん、私たちはそうこの世界では伝えられている。
人々の願いにより、女神より選ばれし聖女が召喚された。
その聖女は、この世界の勇者と共に魔界を退け、世界を統一して新たなる国を作った。
それがこの世界初の全ての国の礎となった。
だが、女神の返答はなかなか衝撃だった。
「あの子を召喚した途端に、世界の力が乱れてしまって、魔界の距離が近づいちゃったのよ」
「人の願いを叶えるの力を使って、信仰の対象の聖女召喚のせいで、魔界が近づいたという事ですよね?」
「そんな感じよ。だから私も、せめてこの世界を去るついでに魔界を封印しようとしたら、止められちゃって」
「と、止められた?」
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