転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第8章 魔界の決戦

第113話 鉄拳制裁乳タプリーナ

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「アカリが、それは聖女の出番だーって、盛り上がっちゃって」

 馬鹿だろ! 聖女!

 いや、確かに乙女方面は専門外だが、それでも無料で読めるからと、たまには読んだよ?
 何で無条件にモテてんだよ、逆ハーって何? はっ! と鼻で笑っていた。
 まあ、人生の浅い小娘が好みそうな内容だなと、本当にごく稀にだが読むたびに笑ってた。

 みんなイケメンの世界って何だよ、うちの兄もアールも、見た目だけなら整ってるけど、中身は国宝級に残念賞なんだけど?
 何人も旦那がいてハッピーって、それ男がハーレム万歳と何が違うのさ?
 何人も愛人いたら怒るのに、自分は欲しいんかーいっ!
 と病室で吠えていたら、ハヤトに冷静に

「ばぁちゃん、それファンタジーな?」

 と諭された。
 なんでもありの妄想の世界、それがラノベなのだ!

「でも、そのラノベの世界で生きる今、妄想展開はやめてくれでしゅよ!」
「まゆまゆ、もう大昔の事になってるから」
「ムカツクでしゅ! その聖女をコンコンと説教してやりたいでしゅ!」

 何が世界を救っただ。真実は女神の申し出を断って、自ら楽しく勇者と聖女ゴッコしてただけじゃねーか。
 グルンと隣にいたゼンを睨みつける。
 少し目を伏せたゼンは、それでも言った。

「死にかけていたのを、助けて貰ったんは感謝しとるで。でも、呼んだんは女神はんやし、何より聖女と勇者は魔界を実際に引き離したはずや。あの子は一人で長い事苦しんでたんや」
「最初は我らの力で協力して、扉を封印したのだ」

 黙っていた精霊たちが静かに伝えた。

「人に魔物の害が及ばぬように、我らはその時は協力した。従え精霊どもと奴隷扱いされてもな。なぜ女神様の申し出を拒否してまで、自らの力で解決しようとしたのか、何度も我らは聖女に問うた。その度に、人は自らの力で物語を紡ぐべきだと言われ、それが人の意思かと同意したのだ」
「私とサウスは亀と羊で見た目が良くないからと、いつも後ろにいろという屈辱も耐えましたよ? それでも力は求められましたけど、聖女からすれば、なぜか我らが従って当然だという認識でしたね」
「なかなか人の言う事を聞かないお嬢ちゃんじゃったの、ふぇふぇふぇ」
「だけど、最後の最後に勇者君とやらに言ったのよね。やったーこれこそが私の目指したナントカ・エンディングだーゲーム万歳って。え? ゲームって何? 遊戯の一つだって言ってたわよ」

 ヘナヘナと私の力が抜けていく。

「それってハッピーエンディング? ベストエンディング? そんな感じでしゅか?」
「何やら、いくつも未来はあって、その中で自分がイケメンとやらと幸せになれるとか言ってたのう」
「ゲーム感覚だったんだね、まゆまゆ」

 そら精霊たちも、最後はそっぽ向く態度の浮かれ具合だったらしい。
 あこがれの世界に、転生ではなく、新たな体と共に転移したのだ。
 きっと記憶もそのままに、ましてや死にかけていたなら健康な体に浮かれたのもあるだろう。
 彼女にとって、見えるこの世界は、全てがゲームの疑似世界のままだったのかも知れない。

 わからないでもない、けれど転生者として生まれた私にとって、ここは故郷となり生きる世界だ。
 何より、今まで出会った私の信者たちの姿が浮かぶ。
 どいつも、こいつも、笑って泣いて、私に興奮して元気に生きていた。

 ――ゲームじゃない、この世界に生きる者たちにとっては、私たちの地球と同じ生きる世界なんだ――

 痛みも苦しみも、幸せも涙も、命はここにあり心もあって必死に生きている。
 兄が私の前に膝をついて、正面から私を包み込んだ。

「また眉間に皺を寄せて……可愛い顔が台無しだアーリー」
「……あの世界を代表して申し訳ないでしゅよ」
「アーリーが悪いんじゃない。ほら、一人で悩まず、私たちがいるから頼りなさいと言っただろ?」

 見回すと、精霊たちとしゅーさんやティナまで私を見守ってくれていた。
 なんだよコレ、こういう友情物展開は苦手なんだってば!
 特に、今はもう心も感情も幼いアリアナの純粋な気持ちと同化して、涙もろくなってるんだから。

 泣かないぞと歯を食いしばり、チッチを耐えるよりより強く、小さな拳を握りしめた。
 ゼンが言う。

「うちの妹も悪いのは本当はわかっとる。それでも、妹は勇者と何かあったらしく、今でも魔界で苦しんでるねん。ワイが出会った時は……もう……」
「引きこもりで、病んでるって言ってたでしゅよね?」
「聖女の力が変換されて、魔素の影響で異形になろうとしててな……見てられへん。だからワイは……せめて美味しい物を食べて慰めてやりたかってん」
「それが魔王です」

 女神が言う。

「私は何度も彼女を説得しました。けれど、私の声は心を閉ざされたら届かない」
「我らも、扉を封印した後の、勇者と聖女のもめ事は静観していた」

 これでなんとなく流れはわかった。
 とりあえず、するべき事はわかった。

 私は兄に小さな声で伝えた。

「行ってもいいでしゅか?」

 どこへとは言わない。兄は即座に理解して笑ってくれた。これが答えだ。
 兄から身を離して、女神の所へ行く。
 静かにソッと膝をおとして、私を抱き上げる姿勢に女神はなった。
 両手を広げて、微笑みながら私を待っている。

 その腕の中に私はトテチテと入って行き、そして……。

 グワシッ!!

「あらっ!」
「おらおらおらおら!」

 掴んだ大きな脂肪、大きすぎて、下から突っ込んだ私の小さな手は肉に埋もれた。
 だが、そのまま勢いをつけて、揉みしだく!

「おらおらおらおら!!」

 タプタプタプタプ……。

「あんあんあんっ、あらん?」
「ちょっと! 女神様に何してんのよ」
「うるしゃい! お前の乳もこうしてやろうか!」

 黙れ焼き鳥、私は全ての原因の罪を罰しているのだ!
 皆が唖然とする中で、私は職人のごとく激しい速さで乳を揺さぶった。




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