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第9章 魔界と聖女
第115話 魔界でマッスル!
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ブルブルと震える私を押しのけて、アールが扉を開く。
「だから私に任せろと……っ!!」
中を確認したアールも、即座に扉をバタンと閉めた。
だろ? お前も見ただろ?
「お、恐ろしい……魔界パネェ」
「おい、お前まで、一体何があるんだ」
兄がアールの肩を揺さぶり、しゅ-さんは震える私を抱きしめてくれた。
「やっぱり、やめようでしゅ」
「だな、もっかい封印して、それでなかった事にしようぜ」
狼と私の意見は一致した。
周囲にも動揺が走る中で、ゼンだけは引き下がらない。
「ならワイが行くで!」
「待てでしゅデブ!」
止める言葉も無視して、ゼンは扉を勢いよく全開放した。
バーンと開け放たれた扉から見えた光景に、皆の目が大きく見開かれた。
「フンフンフンフンっ!」
「はい、マッスルマッスル!」
油をテカテカに塗ったような、上半身ハダカの筋肉マッチョが、ボディビルでポージングを決めていた。
なんという恐ろしい光景だ。
こちらの視線に気づいたのか、向こうから声をかけられた。
「ダメでしゅ!」
目を合わせたら話しかけられるだろうが!
「おや、どこと繋がったんだ? こんにちマッスルー」
「ああ、こんにちわやで」
和やかに挨拶を交わすデブ……ああ、気づかれた。
私たちは、渋々と魔界の扉を通ってマッチョの空間に向かう事にした。
扉が閉まる寸前に、居残り組の安堵の溜息を私は忘れない。
あっさりと閉まる扉のバタンという音、それと同時に扉が消失した。
私とアールは遠い目をしたままに、部屋に導かれた。
鏡張りの部屋は、私たち四人が入っても、まだ余裕のあるトレーニングルームのようだった。
テレビで見たことのある、スポーツジムみたいな感じである。
そして、なぜか歓迎している紺と黒のビキニパンツのみ身に着けた、茶色の肌のテカテカマッチョと私たちは向き合っている。
どうやら、ここは奴らの縄張りだったようだ。
というか、こいつら魔界の住人だよな?
白い歯をキラッとさせながら、笑顔で話しかけてくる。
「はいはい、マッスル! こんちには兄弟」
「何用だ? 鍛えたい? 鍛えたいなら大歓迎!」
「いえ、あのですね」
なんとか親善大使のしゅーさんが対応しようとしたのだが、なぜか二人に肩を抱かれて、何か手渡された。
「お、重いっ……」
「男だったら、それ位持てなきゃダメたぜ、モテないぜ」
「イケてるイケてる、はいはいはいはい」
何かノリノリで、重い砂が入った袋を手渡されていた。
次のターゲットは、アールだったっぽいが、奴は危険を察知して、即座に足元の鉄の棒を手にもって、鍛錬しているフリをした。
「おー兄さん、鍛えてるね!」
「最高だぜ兄弟!」
いやよく見て? そいつフリしてるだけで、しかも足蹴でうちの兄を奴らに差し出した。
背中をけられた勢いで、兄がマッチョの前に飛び出した。
「おいこらアール!」
怒鳴られても無視して、アールは忙しいフリをする。
うん、あいつ一応私の国の守護精霊だったはずだけどな。
兄はなぜか縄を渡されている。
縛られるのか? BL展開なのか? そういう用途もあったんだな、にーたん。
「アーリー、どうしてそんな目で私を見るんだい?」
「いっぱい苦しんで、痛めつけられてね。大好物でしゅよ」
「まってまって、何を興奮してるんだいっ! ああ、はい、これで飛べばいいんですね?」
マッチョに丁寧に指導されて、なぜか縄跳びを始めた兄は微笑ましい。
ヤバイ、残数がなくなった。生贄はデブしか残っていない。
私の意図に気づいたデブは、私をヒョイと抱き上げた。
「ああいう連中には、とりあえず息を合わせて仲間やと思わせたらええんやで」
「あいつらは魔物でしゅか?」
「まあ、そんな感じやろうなぁ。人型のもいるさかい」
危険やないかいっ! 釣られて関西弁でツッこんだ。
抱き上げられた私は、高い高い~からの、低い低い~を繰り返される。
「わーいっ! キャッキャ!」
「はふはふ、よっしゃよっしゃ」
「へいブラザー、それは鍛錬かい?」
「上下運動最高だぜ! マッスル!」
「せやで、マッスルマッスル」
ノリを合わせるのは、流石は元関西人だ。うまいな。
ともかく私は遊んで貰って、脳内幼児のアドレナリンがドパドパだ。
いい汗かいてるデブと、ヨダレをたらす私。
遠い目で私たちをチラリと見たアールと、意地になって砂袋でスクワットに励むしゅーさん。
二重とびに進化した兄のフォームは完璧だった。
「いい汗かいたかブラザー」
「素晴らしい客人だ兄弟!」
満足したらしいマッスルに、奥の部屋を案内された。
そこは家庭的な居間と遜色なく、私たちは汗を拭きつつソファーに座る。
大きなソファーセットは、彼らの体格に合わせたものなのか、しっかりした木製だ。
「飲むかい栄養抜群ドリンクさ」
「お疲れブラザー、さあ休んでくれ。仲間は歓迎さ」
どうやら抵抗せずに頑張った姿を認められ、仲間認定されたみたいだ。
相手は正体不明のマッチョ魔物だ。
私たちは素直に、なすがままに彼らに任せた。
並べられた大きなガラスコップには白い液体がある。
魔界代表としてデブが確認してくれた。
「これは人が飲んでも大丈夫かいな?」
奴らは白い歯をみせて、OKだと指を立てた。
ジッと見つめられながら、仕方ないと私たちは一口飲んで……。
プバァァァアア――――!!
噴いた。
「だから私に任せろと……っ!!」
中を確認したアールも、即座に扉をバタンと閉めた。
だろ? お前も見ただろ?
「お、恐ろしい……魔界パネェ」
「おい、お前まで、一体何があるんだ」
兄がアールの肩を揺さぶり、しゅ-さんは震える私を抱きしめてくれた。
「やっぱり、やめようでしゅ」
「だな、もっかい封印して、それでなかった事にしようぜ」
狼と私の意見は一致した。
周囲にも動揺が走る中で、ゼンだけは引き下がらない。
「ならワイが行くで!」
「待てでしゅデブ!」
止める言葉も無視して、ゼンは扉を勢いよく全開放した。
バーンと開け放たれた扉から見えた光景に、皆の目が大きく見開かれた。
「フンフンフンフンっ!」
「はい、マッスルマッスル!」
油をテカテカに塗ったような、上半身ハダカの筋肉マッチョが、ボディビルでポージングを決めていた。
なんという恐ろしい光景だ。
こちらの視線に気づいたのか、向こうから声をかけられた。
「ダメでしゅ!」
目を合わせたら話しかけられるだろうが!
「おや、どこと繋がったんだ? こんにちマッスルー」
「ああ、こんにちわやで」
和やかに挨拶を交わすデブ……ああ、気づかれた。
私たちは、渋々と魔界の扉を通ってマッチョの空間に向かう事にした。
扉が閉まる寸前に、居残り組の安堵の溜息を私は忘れない。
あっさりと閉まる扉のバタンという音、それと同時に扉が消失した。
私とアールは遠い目をしたままに、部屋に導かれた。
鏡張りの部屋は、私たち四人が入っても、まだ余裕のあるトレーニングルームのようだった。
テレビで見たことのある、スポーツジムみたいな感じである。
そして、なぜか歓迎している紺と黒のビキニパンツのみ身に着けた、茶色の肌のテカテカマッチョと私たちは向き合っている。
どうやら、ここは奴らの縄張りだったようだ。
というか、こいつら魔界の住人だよな?
白い歯をキラッとさせながら、笑顔で話しかけてくる。
「はいはい、マッスル! こんちには兄弟」
「何用だ? 鍛えたい? 鍛えたいなら大歓迎!」
「いえ、あのですね」
なんとか親善大使のしゅーさんが対応しようとしたのだが、なぜか二人に肩を抱かれて、何か手渡された。
「お、重いっ……」
「男だったら、それ位持てなきゃダメたぜ、モテないぜ」
「イケてるイケてる、はいはいはいはい」
何かノリノリで、重い砂が入った袋を手渡されていた。
次のターゲットは、アールだったっぽいが、奴は危険を察知して、即座に足元の鉄の棒を手にもって、鍛錬しているフリをした。
「おー兄さん、鍛えてるね!」
「最高だぜ兄弟!」
いやよく見て? そいつフリしてるだけで、しかも足蹴でうちの兄を奴らに差し出した。
背中をけられた勢いで、兄がマッチョの前に飛び出した。
「おいこらアール!」
怒鳴られても無視して、アールは忙しいフリをする。
うん、あいつ一応私の国の守護精霊だったはずだけどな。
兄はなぜか縄を渡されている。
縛られるのか? BL展開なのか? そういう用途もあったんだな、にーたん。
「アーリー、どうしてそんな目で私を見るんだい?」
「いっぱい苦しんで、痛めつけられてね。大好物でしゅよ」
「まってまって、何を興奮してるんだいっ! ああ、はい、これで飛べばいいんですね?」
マッチョに丁寧に指導されて、なぜか縄跳びを始めた兄は微笑ましい。
ヤバイ、残数がなくなった。生贄はデブしか残っていない。
私の意図に気づいたデブは、私をヒョイと抱き上げた。
「ああいう連中には、とりあえず息を合わせて仲間やと思わせたらええんやで」
「あいつらは魔物でしゅか?」
「まあ、そんな感じやろうなぁ。人型のもいるさかい」
危険やないかいっ! 釣られて関西弁でツッこんだ。
抱き上げられた私は、高い高い~からの、低い低い~を繰り返される。
「わーいっ! キャッキャ!」
「はふはふ、よっしゃよっしゃ」
「へいブラザー、それは鍛錬かい?」
「上下運動最高だぜ! マッスル!」
「せやで、マッスルマッスル」
ノリを合わせるのは、流石は元関西人だ。うまいな。
ともかく私は遊んで貰って、脳内幼児のアドレナリンがドパドパだ。
いい汗かいてるデブと、ヨダレをたらす私。
遠い目で私たちをチラリと見たアールと、意地になって砂袋でスクワットに励むしゅーさん。
二重とびに進化した兄のフォームは完璧だった。
「いい汗かいたかブラザー」
「素晴らしい客人だ兄弟!」
満足したらしいマッスルに、奥の部屋を案内された。
そこは家庭的な居間と遜色なく、私たちは汗を拭きつつソファーに座る。
大きなソファーセットは、彼らの体格に合わせたものなのか、しっかりした木製だ。
「飲むかい栄養抜群ドリンクさ」
「お疲れブラザー、さあ休んでくれ。仲間は歓迎さ」
どうやら抵抗せずに頑張った姿を認められ、仲間認定されたみたいだ。
相手は正体不明のマッチョ魔物だ。
私たちは素直に、なすがままに彼らに任せた。
並べられた大きなガラスコップには白い液体がある。
魔界代表としてデブが確認してくれた。
「これは人が飲んでも大丈夫かいな?」
奴らは白い歯をみせて、OKだと指を立てた。
ジッと見つめられながら、仕方ないと私たちは一口飲んで……。
プバァァァアア――――!!
噴いた。
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