115 / 134
第9章 魔界と聖女
第116話 栄養満点プロテイン
しおりを挟む
「こ、これはっ!」
しゅ-さんも気づいたようだ。
ちなみにアールは、普通にゴクゴク飲んでいる。
「まあ魔力は感じるが、飲めない事もないな。まずいけど」
「これが美味しく感じて、初めて一人前さ兄弟」
「まてまて! お代わり注ぐなっ!」
なみなみに注がれてザマァ!
兄は、アールを見てから飲もうとしていたコップをテーブルに置いて、私の手からも取り上げた。
「こらっ、ちゃんとアールが確認してからじゃないとダメだよアーリー」
「ごめんでしゅ」
「お前らも、まてまてまて!」
何か狼が吠えているが無視だ無視。
しゅーさんがコップを口にする。
「ダメでしゅよ、ちゃんと毒見が確認してからでしゅ。つい流れで油断してしまったでしゅ」
「うん、プロテインだねコレ」
「ワイも部活の時に、飲んでたからわかるで。プロテインの味付けなしや」
「ゼンさんは部活は何してたんですか?」
「坊ちゃん、ワイはサッカー部やで」
「僕は野球部だったんですよ」
こらそこ、懐かしい青春話に花を咲かせるんじゃない。
あらためて、私は注がれたミルクのようなプロテインをみつめた。
「味が不味いでしゅ」
その一言にマッスルたちが抗議する。
「平気さ! 人も飲めるし魔物もいける!」
「やがて血となり肉となる!」
一言毎に、フンスフンスとポージングされて暑苦しい。
嫌そうに私は目を細めて、彼らに言った。
「せめて美味しくしないと続かないでしゅよ。台所はどこでしゅか?」
「飲んだら一緒さ小さなシスター、ふんっ!」
「いいからお飲みよ、大きくなるぜ? ふんふんっ!」
「うっせぇー! 小さくたっていいんでしゅ!」
「小さいからこそ……いだっ」
ゴンと私は、アールが飲み干したガラスコップを兄にぶつけた。
黙ってろロリコン疑惑者め。
「何をする気だい?」
「ちょうどいいから、この魔界の台所事情が見たいでしゅよ」
幸いにも、こいつらは人に近い生活をしているみたいだ。
ならば、チャンス!
この魔界も私のスキルが通じるかどうか、ここで試してみたいのだ。
「いいから案内して欲しいでしゅ」
「小さい体でお料理かい? シスター?」
「小さいからだでも、鍛えてるんでしゅよ」
「おおっ! 鍛錬は素晴らしいっ! いいぜベイビーさあこっちだ!」
快く彼らは家の中を案内してくれた。
「デブ、気になるんでしゅけど、外の景色が薄暗いでしゅ」
「魔界の晴天は珍しいさかいになぁ。だいたいが、こんな曇天や。今は何時やろなあ?」
窓の外から荒野が見える。ここからチラリと見る限りは、ただの荒地が続くばかり。
案内された台所も、一般的な台所だ。
家庭用のそこは、もしかしたら人間界より設備が整っているかもしれない。
文化の違いだろうか、なんと冷蔵庫もどきまであった。
「氷で保冷している感じでもないでしゅ」
「魔力で冷やしてるんや」
「魔力しゅごい」
ちょーらいと手を出したら、ソッとしゅーさんに手をつかまれて、首を横に振られた。
「魔物になっても愛してるけど、まゆまゆが使ってるのは反対の聖なる力だからね?」
「そうだぞ! 欲望まみれのお前の力は、一応は我らと同じ聖なる、むごこっ!」
新たにお代わりを追加されたアールが、マッチョ二人に無理やり一気飲みさせられていた。
いい仕事するなマッチョ。
ではではと冷蔵庫をみたが、よくわからん草と、大きな瓶詰の白い液体しかない。
「お、お話にならないでしゅ……」
「ワイもいくつか食材持ってるさかい、提供するで?」
そういえば妹に食べさせるために、無限リュックに沢山収納していたな。
デブが輝く瞬間だった。
「野菜とか果物とか、こっちの生き物が食べて大丈夫でしゅか?」
「こっちの生き物は生命力が強いさかい、逆に人の食べ物は何でも食べれるで?」
まあ魔物によって好き嫌いや、味覚の違いはあるかもと言われたが、比較的マッチョのような人に近い生き物ならば、それ程に違いはなさそうだという。
「なら遠慮なく、おいちくするでしゅ」
どうせなら、美味しく栄養を取りたいものだ。
マッチョがアールに夢中になっている隙に、私はデブに野菜と果物を出して貰う。
ほうれん草もどきと、バニャニャと木苺のクスプリ、ついでに珍しい桃もどきまで出してきた。デブは本当に便利だな。
振り返ると、マッチョに羽交い絞めにされたアールが、もう一体のマッチョにプロティンを突っ込まれていて笑う。
「アールがやられてるね、あははっ」
兄も楽しそうで何よりだ。
今のうちだと、台所で作業を始める。
鍋にプロテインをぶち込んで、しゅ-さんは果物をボウルに入れてゴリゴリと潰して貰う。
兄には携帯ナイフで、ほうれん草もどきを細かく刻んで貰った。
後ろでギャースカしているのは、聞こえないふりをして、とっとと仕込みに我々は入る。
火をつけるのはゼンがしてくれた。
どうも仕組みが違うようで、魔力を注げばつく仕組みだ。
本当に便利だな魔界。
少しだけ温めたプロテインに、急いで潰したフルーツと細かなほうれん草もどきを入れる。
「ではアタチのスキルが魔界でも使えるか、試してみるでしゅよーっ!」
腕まくりをして、私は鍋に両手をかざす。
「おいでませ魔界っ! ここでも無双のアリアナちゃんでしゅよーっ! おいちくなぁーれ!」
ピカーッといつもの金の光が輝いた。
「「うわわぁーっ! マッスルマッスル!!」」
ドタンと倒れこんだ筋肉マッチョに、あれま、もしかして君たちには有害でしたかテヘペロしつつ、鍋の中を覗き込む。
いい出来だ。トロトロに溶け込んだデラックス・スムージー風味のプロテインが完成した。
ここでも私は輝いてしまうようだ……フッ。
しゅ-さんも気づいたようだ。
ちなみにアールは、普通にゴクゴク飲んでいる。
「まあ魔力は感じるが、飲めない事もないな。まずいけど」
「これが美味しく感じて、初めて一人前さ兄弟」
「まてまて! お代わり注ぐなっ!」
なみなみに注がれてザマァ!
兄は、アールを見てから飲もうとしていたコップをテーブルに置いて、私の手からも取り上げた。
「こらっ、ちゃんとアールが確認してからじゃないとダメだよアーリー」
「ごめんでしゅ」
「お前らも、まてまてまて!」
何か狼が吠えているが無視だ無視。
しゅーさんがコップを口にする。
「ダメでしゅよ、ちゃんと毒見が確認してからでしゅ。つい流れで油断してしまったでしゅ」
「うん、プロテインだねコレ」
「ワイも部活の時に、飲んでたからわかるで。プロテインの味付けなしや」
「ゼンさんは部活は何してたんですか?」
「坊ちゃん、ワイはサッカー部やで」
「僕は野球部だったんですよ」
こらそこ、懐かしい青春話に花を咲かせるんじゃない。
あらためて、私は注がれたミルクのようなプロテインをみつめた。
「味が不味いでしゅ」
その一言にマッスルたちが抗議する。
「平気さ! 人も飲めるし魔物もいける!」
「やがて血となり肉となる!」
一言毎に、フンスフンスとポージングされて暑苦しい。
嫌そうに私は目を細めて、彼らに言った。
「せめて美味しくしないと続かないでしゅよ。台所はどこでしゅか?」
「飲んだら一緒さ小さなシスター、ふんっ!」
「いいからお飲みよ、大きくなるぜ? ふんふんっ!」
「うっせぇー! 小さくたっていいんでしゅ!」
「小さいからこそ……いだっ」
ゴンと私は、アールが飲み干したガラスコップを兄にぶつけた。
黙ってろロリコン疑惑者め。
「何をする気だい?」
「ちょうどいいから、この魔界の台所事情が見たいでしゅよ」
幸いにも、こいつらは人に近い生活をしているみたいだ。
ならば、チャンス!
この魔界も私のスキルが通じるかどうか、ここで試してみたいのだ。
「いいから案内して欲しいでしゅ」
「小さい体でお料理かい? シスター?」
「小さいからだでも、鍛えてるんでしゅよ」
「おおっ! 鍛錬は素晴らしいっ! いいぜベイビーさあこっちだ!」
快く彼らは家の中を案内してくれた。
「デブ、気になるんでしゅけど、外の景色が薄暗いでしゅ」
「魔界の晴天は珍しいさかいになぁ。だいたいが、こんな曇天や。今は何時やろなあ?」
窓の外から荒野が見える。ここからチラリと見る限りは、ただの荒地が続くばかり。
案内された台所も、一般的な台所だ。
家庭用のそこは、もしかしたら人間界より設備が整っているかもしれない。
文化の違いだろうか、なんと冷蔵庫もどきまであった。
「氷で保冷している感じでもないでしゅ」
「魔力で冷やしてるんや」
「魔力しゅごい」
ちょーらいと手を出したら、ソッとしゅーさんに手をつかまれて、首を横に振られた。
「魔物になっても愛してるけど、まゆまゆが使ってるのは反対の聖なる力だからね?」
「そうだぞ! 欲望まみれのお前の力は、一応は我らと同じ聖なる、むごこっ!」
新たにお代わりを追加されたアールが、マッチョ二人に無理やり一気飲みさせられていた。
いい仕事するなマッチョ。
ではではと冷蔵庫をみたが、よくわからん草と、大きな瓶詰の白い液体しかない。
「お、お話にならないでしゅ……」
「ワイもいくつか食材持ってるさかい、提供するで?」
そういえば妹に食べさせるために、無限リュックに沢山収納していたな。
デブが輝く瞬間だった。
「野菜とか果物とか、こっちの生き物が食べて大丈夫でしゅか?」
「こっちの生き物は生命力が強いさかい、逆に人の食べ物は何でも食べれるで?」
まあ魔物によって好き嫌いや、味覚の違いはあるかもと言われたが、比較的マッチョのような人に近い生き物ならば、それ程に違いはなさそうだという。
「なら遠慮なく、おいちくするでしゅ」
どうせなら、美味しく栄養を取りたいものだ。
マッチョがアールに夢中になっている隙に、私はデブに野菜と果物を出して貰う。
ほうれん草もどきと、バニャニャと木苺のクスプリ、ついでに珍しい桃もどきまで出してきた。デブは本当に便利だな。
振り返ると、マッチョに羽交い絞めにされたアールが、もう一体のマッチョにプロティンを突っ込まれていて笑う。
「アールがやられてるね、あははっ」
兄も楽しそうで何よりだ。
今のうちだと、台所で作業を始める。
鍋にプロテインをぶち込んで、しゅ-さんは果物をボウルに入れてゴリゴリと潰して貰う。
兄には携帯ナイフで、ほうれん草もどきを細かく刻んで貰った。
後ろでギャースカしているのは、聞こえないふりをして、とっとと仕込みに我々は入る。
火をつけるのはゼンがしてくれた。
どうも仕組みが違うようで、魔力を注げばつく仕組みだ。
本当に便利だな魔界。
少しだけ温めたプロテインに、急いで潰したフルーツと細かなほうれん草もどきを入れる。
「ではアタチのスキルが魔界でも使えるか、試してみるでしゅよーっ!」
腕まくりをして、私は鍋に両手をかざす。
「おいでませ魔界っ! ここでも無双のアリアナちゃんでしゅよーっ! おいちくなぁーれ!」
ピカーッといつもの金の光が輝いた。
「「うわわぁーっ! マッスルマッスル!!」」
ドタンと倒れこんだ筋肉マッチョに、あれま、もしかして君たちには有害でしたかテヘペロしつつ、鍋の中を覗き込む。
いい出来だ。トロトロに溶け込んだデラックス・スムージー風味のプロテインが完成した。
ここでも私は輝いてしまうようだ……フッ。
28
あなたにおすすめの小説
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
元侯爵令嬢の異世界薬膳料理~転生先はみんな食事に興味が無い世界だったので、美味しいご飯で人の身も心も癒します~
向原 行人
ファンタジー
異世界へ転生して数日。十七歳の侯爵令嬢、アリスとして目覚めた私は、早くも限界を迎えていた。
というのも、この世界……みんな食事に興味が無くて、毎食パンとハムだけとか、ハムがチーズに変わるとか、せいぜいその程度だ。
料理というより、食材を並べているだけって感じがする。
元日本人の私としては温かいご飯がたべたいので、自分で食事を作るというと、「貴族が料理など下賤なことをするのは恥だ!」と、意味不明な怒られ方をした。
わかった……だったら、私は貴族を辞める!
家には兄が二人もいるし、姉だっているから問題無いでしょ。
宛てもなく屋敷を飛び出した私は、小さな村で更に酷い食事事情を目の当たりにする。
育ち盛りの子供たちや、身体を使う冒険者たちが、それだけしか食べないなんて……よし、美味しいご飯でみんなも私も幸せになろう!
医食同源! 大食いモフモフ聖獣に、胃袋を掴んでしまった騎士隊長と一緒に、異世界で美味しくて身体に良い食材探しだ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる