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第9章 魔界と聖女
第117話 マッスル進化……しーらないっ!
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ホカホカと出来上がった鍋を、小さなスプーンで一口味見した。
「はい、フーフーね」
「ありがとでしゅよ」
しゅ-さんの過保護も働き、フーフーで冷めた味見一口で成功を悟った。
やはり私は天才だ。
同じく、再度すくって今度は私がフーフーして、しゅーさんに食べさせてあげた。
「仲睦まじくて微笑ましいなぁ」
デブがホッコリしている。
「ちょっと温かいのが辛いかも」
「なら、シャーベットみたいにするでしゅよ」
よっこいしょと、再度鍋に向かって手をかざす。
脳内に精霊の力をイメージして、スキルを発動させた。
「メリーさんは羊でしゅ! 冷や冷やシャーベットよきたれでしゅーっ!」
コォォォッ! と冷気と細かなミゾレが鍋に注がれる。
一瞬にして湯気は消えて、鍋の外側に霜がついた。
覗き込むと、きちんと冷えたスムージープロテインが出来上がりだ。
コップに注いで、楽しんでいる三人に差し出した。
「どうぞでしゅよ?」
「おい、もう我はいらぬ……って、ん?」
アールはバッと奪い取り、ゴクゴクと飲み干した。
唖然とするマッチョを他所に、アールはこれどもかと美味しそうに飲み干した。
「うまいっ! これだ、これだよこれ!」
お前は、仕事終わりのビールにありついたお父さんか。
ゴクリと生唾を飲んだマッチョにも差し出した。
「アタチの力が体に悪いなら、無理して飲まなくてもいいでしゅよ?」
あとで健康被害を理由に、慰謝料請求されたらかなわん。
だが後ろで兄が、うちの妹は魔界でも慈愛に満ちてと感動していた。
マッチョは受け取ったコップを持ちつつ、互いに顔を見合わせた。
そして……。
ゴクゴクゴクゴク……!
「凄い勢いだな」
「躊躇すらしなかったのは、凄いですね」
「まあ魔界の生き物は、わりと深く考えへんで?」
飲みしたマッチョは、恍惚の顔で大きな溜息をついた。
「こんなに美味しいものがあろうとは……」
「開眼しました兄弟……いや、兄様」
「私もだ弟よ、これは新たなる世界の始まりだな」
言葉遣いも変わってるけど、変な作用した?
……しーらねっ。
「新しい世界が始まったって、良かったねまゆまゆ」
「割と簡単に開く世界でんな」
「あ、アタチは悪くないでしゅ。よい子でしゅ」
「まあ幸せそうで良かったよ。流石はアーリーだ」
私たちも自分のコップをゴクゴクと飲んだ。
ああ、おいちぃ。
果物のフルーティーさと、少し健康に良さそうな野菜の味がマイルドに混ざっている。
それがまた味があり良いのだ。
マッチョが小指を立てながら、お代わりをよそっていた。
「あらお兄様、私にも注いで下さいな」
「もちろんよ弟よ」
アールがオェッと舌を出している。
気持ちはわかるが、何かやっぱり変な作用をしているのか?
「トレビアーンですわ」
「今までが恥ずかしい位ですわ」
……てか、今も……何もいうまい。
こうして、お姉化したマッチョは、大鍋プロテインを全て平らげたのだった。
二人は腰をクネクネさせながら、私に感謝を述べてきた。
「ありがとうね、あなたは私たちに新しい世界を見せてくれたわん」
「私たちで出来ることなら、なんでも言ってねん」
「とりあえずは、それ以上近づくなでしゅシャァァーッ!」
威嚇した私をヨシヨシと慰めるしゅーさん。
兄が彼らに質問した。
「この魔界に聖女がいると聞いたのだが、どこにいるのか教えてくれないか?」
「あらん、よく見ればいい男」
「ひぃっ!」
うんうん、BL展開ね。本格腐女子じゃないけれど、苦しむ男の顔は大好物です。
「薄笑いしても、私の妹が可愛いっ」
「苦しめ、もっと苦しめ……」
「まるで魔王みたいだから、ダメだよまゆまゆ」
魔王という言葉に、マッチョ達が反応した。
「あっ! もしかしてあれかしら?」
「そうよお兄様、あの人間界からきて居座ってる、あの女よ」
いや、指先でほっぺチョンチョンじゃねーよ。
キモイんだわ……と、さりげなく視線をそらす。
どうも私以外の皆も、同じように横目で視線をそらしていた。
だよな?
ビキニパンツ一丁のおっさんマッチョが、テカテカヌメヌメにクネクネウフンが加算されたら、災害レベルだと痛感しています。
「ともかく、明日にしなさいよ。もう夜だし外は危険よ」
「でしゅ?」
窓のカーテンの向こうは薄暗く、気味悪い赤い月だけがギラギラと存在を放っていた。
「この辺りは、これで夜なのよ。お外は危険だし、できれば新たなドリンクの作り方も教えて欲しいわん」
「お願いよ、チューしてあげるんるん」
「くんなくんなくんなくんな!! 教えるからくんな!」
「魔界は、場所によってまったく違いますねん。確かに夜なら外は危険かもやし、今夜はここに泊めて貰いまひょ」
「あ、寝室どこですか?」
マッチョ兄に案内される兄としゅーさんは順応力高いよね。
私はアールを前に突き出して盾にしつつ、残ったマッチョ弟に作り方を教えていた。
悲鳴交じりでだ。
「ともかく、材料がなさすぎなんでしゅよーっ!」
ここでガクリと、私のエネルギーは途切れてしまったのだった。
「はい、フーフーね」
「ありがとでしゅよ」
しゅ-さんの過保護も働き、フーフーで冷めた味見一口で成功を悟った。
やはり私は天才だ。
同じく、再度すくって今度は私がフーフーして、しゅーさんに食べさせてあげた。
「仲睦まじくて微笑ましいなぁ」
デブがホッコリしている。
「ちょっと温かいのが辛いかも」
「なら、シャーベットみたいにするでしゅよ」
よっこいしょと、再度鍋に向かって手をかざす。
脳内に精霊の力をイメージして、スキルを発動させた。
「メリーさんは羊でしゅ! 冷や冷やシャーベットよきたれでしゅーっ!」
コォォォッ! と冷気と細かなミゾレが鍋に注がれる。
一瞬にして湯気は消えて、鍋の外側に霜がついた。
覗き込むと、きちんと冷えたスムージープロテインが出来上がりだ。
コップに注いで、楽しんでいる三人に差し出した。
「どうぞでしゅよ?」
「おい、もう我はいらぬ……って、ん?」
アールはバッと奪い取り、ゴクゴクと飲み干した。
唖然とするマッチョを他所に、アールはこれどもかと美味しそうに飲み干した。
「うまいっ! これだ、これだよこれ!」
お前は、仕事終わりのビールにありついたお父さんか。
ゴクリと生唾を飲んだマッチョにも差し出した。
「アタチの力が体に悪いなら、無理して飲まなくてもいいでしゅよ?」
あとで健康被害を理由に、慰謝料請求されたらかなわん。
だが後ろで兄が、うちの妹は魔界でも慈愛に満ちてと感動していた。
マッチョは受け取ったコップを持ちつつ、互いに顔を見合わせた。
そして……。
ゴクゴクゴクゴク……!
「凄い勢いだな」
「躊躇すらしなかったのは、凄いですね」
「まあ魔界の生き物は、わりと深く考えへんで?」
飲みしたマッチョは、恍惚の顔で大きな溜息をついた。
「こんなに美味しいものがあろうとは……」
「開眼しました兄弟……いや、兄様」
「私もだ弟よ、これは新たなる世界の始まりだな」
言葉遣いも変わってるけど、変な作用した?
……しーらねっ。
「新しい世界が始まったって、良かったねまゆまゆ」
「割と簡単に開く世界でんな」
「あ、アタチは悪くないでしゅ。よい子でしゅ」
「まあ幸せそうで良かったよ。流石はアーリーだ」
私たちも自分のコップをゴクゴクと飲んだ。
ああ、おいちぃ。
果物のフルーティーさと、少し健康に良さそうな野菜の味がマイルドに混ざっている。
それがまた味があり良いのだ。
マッチョが小指を立てながら、お代わりをよそっていた。
「あらお兄様、私にも注いで下さいな」
「もちろんよ弟よ」
アールがオェッと舌を出している。
気持ちはわかるが、何かやっぱり変な作用をしているのか?
「トレビアーンですわ」
「今までが恥ずかしい位ですわ」
……てか、今も……何もいうまい。
こうして、お姉化したマッチョは、大鍋プロテインを全て平らげたのだった。
二人は腰をクネクネさせながら、私に感謝を述べてきた。
「ありがとうね、あなたは私たちに新しい世界を見せてくれたわん」
「私たちで出来ることなら、なんでも言ってねん」
「とりあえずは、それ以上近づくなでしゅシャァァーッ!」
威嚇した私をヨシヨシと慰めるしゅーさん。
兄が彼らに質問した。
「この魔界に聖女がいると聞いたのだが、どこにいるのか教えてくれないか?」
「あらん、よく見ればいい男」
「ひぃっ!」
うんうん、BL展開ね。本格腐女子じゃないけれど、苦しむ男の顔は大好物です。
「薄笑いしても、私の妹が可愛いっ」
「苦しめ、もっと苦しめ……」
「まるで魔王みたいだから、ダメだよまゆまゆ」
魔王という言葉に、マッチョ達が反応した。
「あっ! もしかしてあれかしら?」
「そうよお兄様、あの人間界からきて居座ってる、あの女よ」
いや、指先でほっぺチョンチョンじゃねーよ。
キモイんだわ……と、さりげなく視線をそらす。
どうも私以外の皆も、同じように横目で視線をそらしていた。
だよな?
ビキニパンツ一丁のおっさんマッチョが、テカテカヌメヌメにクネクネウフンが加算されたら、災害レベルだと痛感しています。
「ともかく、明日にしなさいよ。もう夜だし外は危険よ」
「でしゅ?」
窓のカーテンの向こうは薄暗く、気味悪い赤い月だけがギラギラと存在を放っていた。
「この辺りは、これで夜なのよ。お外は危険だし、できれば新たなドリンクの作り方も教えて欲しいわん」
「お願いよ、チューしてあげるんるん」
「くんなくんなくんなくんな!! 教えるからくんな!」
「魔界は、場所によってまったく違いますねん。確かに夜なら外は危険かもやし、今夜はここに泊めて貰いまひょ」
「あ、寝室どこですか?」
マッチョ兄に案内される兄としゅーさんは順応力高いよね。
私はアールを前に突き出して盾にしつつ、残ったマッチョ弟に作り方を教えていた。
悲鳴交じりでだ。
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ここでガクリと、私のエネルギーは途切れてしまったのだった。
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