空を飛ぶ少女、引きこもりの少年、破壊を求めるおとこ

ルサルカ

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第43話「なんていうか、味方だと思っときな」【ナツ】

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わたしたちは、通路のひとつへ入り込んで行ったハルオを見届ける。

アキオは、少し険しい顔になっていた。

「僕らも、はやくここを立ち去ったほうがよさそうだね」

まあ、そうなんだろうね。

でも、ハルオのやつ不親切きわまりないことに、出口にいたる道順を教えていなかった。

とりあえず考えていても仕方がなさそうなので、ハルオが飛び去っていった通路に入り込む。

とてもじゃないけれど、こんな暗闇を飛行形態になって飛んでいくなんて、わたしにはできない。

そうするには、完全に通路の道筋を理解していなければならないだろう。

わたしたちは、走っていくしかない。

それでも多分、60分以内にはなんとか出口にたどりつけるんだろうと思った。

ハルオがわたしたちを見殺しにする理由は、ないような気がしたからだ。

その考えは甘かったかなと、すぐに思い直すことになる。

地下通路はどうやら迷路のように、入り組んでいるらしい。

分岐がいくつもあり、行き止まりの通路に行き当たったりする。

アキオは、メモをとりながら地図を作っていた。

でも、そんなことをしていて、間に合うんだろうかと思う。

唐突に、アキオが呟いた。

「どうやら、僕らはハルオが脱出するための、スケープゴートになったようだな」

なにっ、と思う。

その言葉に応えるかのように、通路の先に蒼い光が揺らめきはじめた。

考えるよりもはやく、身体が動く。

わたしはアキオの前に立ち、左手をバルカン砲に変形させる。

銃声が轟き、酸化黒鉄でコーティングしたわたしのジャケットに着弾して火花が散った。

自動ライフルのノズルフラッシュが、暗視ゴーグルを着けた兵士たちを闇の中に浮かび上がらせる。

さっき見えた蒼い光は、兵士たちがつけた暗視ゴーグルの放つ光だ。

カンパニーの兵たちが、入り込んできたらしい。

わたしは、バルカンの弾をばらまく。

命中したかは判らないけれど、兵士たちは後退した。

わたしと、アキオは通路を走る。

どうやらそれが、失敗だったようだ。

わたしたちは、明るくて大きな広場に飛び出してしまう。

そこに待ち受けていた兵士たちが、前方と左右からわたしたちを自動ライフルで狙っていた。

レーザースコープが、わたしたちの全身にポイントされる。

兵士のひとりが、声をかけてきた。

「投降しろ。生命をとるつもりはない」

それしかないかと思った瞬間、轟音と閃光が広場を包んだ。

鋭い銃声が、何度も響く。

気がついた時には、広場にいたカンパニーの兵士たちは全滅し、ひとりのおんな兵士がわたしとアキオの前に立っていた。

「あなたは、一体」

アキオが喘ぐように、言葉を発する。

自動ライフルを構え、アイパッチで左目を覆ったおんな兵士は、にやっと笑う。

黒い目に黒い髪だが、アングロサクソン系に見える顔の造作は、美しいと言ってもいい気がする。

「わたしは、リディア。まあ、なんていうか、味方だと思っときな。とりあえず」
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