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第一章カトリの街
エピソード24 悪魔召喚
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犯人と遭遇し、被害者女性を救出し、犯人を追い詰める。
何もかもが順調だ思っていました。
償いれない切れない罪に少しでも早く向き合って欲しい一心でした。
ただ、それはどうやらまだまだ先の話になりそうです。
「嫌だっ!僕は捕まらない!!」
彼は即座に杖を拾い、自分さえも巻き添えにしてしまうような高火力の魔法を周囲に放ちました。
「ちょ、気でも狂ったんですか!カムさん、そちらの方を連れて遠くに逃げてください」
「わ、分かった!レミリエルさんも気を付けて!」
カムさんは魔法による喧騒の中、被害者女性を抱えて、ホウキに乗り避難させてくれました。良かった。
私は彼の暴走を止めるとしましょう。
「自決なんてさせませんよ!」
飛んでくる雷魔法や炎魔法から身を守りつつ、反撃のチャンスを伺います。
やがて魔力が尽きたのか、止まなかった魔法が止みました。
土煙だけが舞います。
「いない⋯⋯」
土煙が止んだ時、既に犯人の姿はありませんでした。
先程の異常とも言える魔法の嵐は私達から逃れる煙幕という訳ですか。そんなに我が身が可愛いのでしょうか、小心者め。
「まだ遠くには行っていないはずです」
羽を広げて、彼の姿を探します。
何処だ、何処ですか。いくら探せど彼の姿は見つからず、振り出しに戻ってしまうのでは無いかという嫌な予感さえもしました。
「とっとと出てき下さいっ⋯⋯!あの小心者!」
その時でした、私が独りでに彼の文句を言ったせいでしょうか。このカトリの街何処かで大きな地響きが起こりました。
空中にいた私は難を逃れましたが、下を見やると崩壊してしまっている建物もあります。
「なにごと、ですか⋯⋯」
放心状態の私の意識を現に戻してくれたのは、皮肉にも悪魔の気配でした。
私自身、悪魔に会ったことは一度も無いのですが、肌で感じました。この気配は悪魔だと。
「どうして、さっきの女性は生きている。魂は足りないはずです」
何故、考えても分かりません。ただ、悪魔が召喚されたということは儀式に必要な魂は揃ったのでしょう。
ただそれだけの事です。
「犯人を見つけたというのに、今度は悪魔祓いですか」
私は、邪悪な気配のする方へ急ぎで飛んでいきます。もしカムさんの話が本当ならば、放っておくと犠牲者は何百、何千、もしかしたらカトリの街全ての人間が殺されてしまうかもしれません。
悪魔の気配のする方へ近づく度に、暴風が私を襲います。悪魔と天使は対になる存在、相入れることは向こうとしても嫌なはずです、恐らくこれは近寄るなというメッセージ。
「来て欲しくないのならとっとと魔界へ帰ってください⋯⋯!」
暴風に耐えながら、行き着いた先は小さな家でした。既に半壊していましたが。
「た、助けて⋯⋯助けてっ!」
私の耳に救済を求める声が聞こえてきます。見ると先程の犯人の男でした。
家が半壊しているせいですか、身体のほとんどが瓦礫の下で今にも息絶えそうになっていました。
「あの悪魔!俺の言う事を聞かないで襲ってきたんだ、やっぱり魂の数が少ないと低級の悪魔しか呼べないのかよ!」
悪魔召喚に捧げる魂の数が少ないと、召喚士の言う事を無視して暴れまくる低級な悪魔しか召喚出来ないというのは本当みたいですね。
「で、その悪魔は何処に?」
「今は上空を飛んでる。多分、理性がないからそのうち暴れまくって⋯⋯」
「へえ、そうですか⋯⋯」
彼の言うとおり、上空に黒い悪魔が見えます。あまり良く見えませんが、恐らくかなりの大きさでしょう。見た目は⋯⋯めちゃくちゃモンスターです。
身動きの取れない彼は私に再度、「助けてくれ」と懇願してきます。えーー助ける気になれません。
「嫌ですよ」
「頼む!このままだと死ぬ!」
「私に関係ありませんし」
「この人殺し!」
「それは貴方でしょう?」
彼は私に否定される度に顔色が絶望に変わっていきます。貴方の手にかかった人達は皆その顔を浮かべたんですよ、貴方はそれさえも無視したみたいですけど。
「一つ質問します。何故、悪魔を召喚しようとしたんですか?」
悪魔召喚のためには、人の魂が必要だという事は分かっていはずですよね。
「それは、近所の奴らが⋯⋯俺が魔法使いだからって何でもかんでも頼ってくるから」
「腹が立ってしたと?」
「そうだ、こんな事になって恨むならアイツらを恨むんだな」
しょうもない。言葉も出ない。
「それで人を殺して良いとでも?」
「⋯⋯⋯⋯」
自分が命の危機にあったからなのか、彼は黙り込んでしまいました。その顔からは徐々に後悔の色が滲み出ています、もう遅いんですよ。
こんな話をよく聞きます。
元々庶民的な生活をしていた方がいきなり大金を持ってしまうと人が変わる、使い方も分からず平常心を保てずに結局堕落すると。
彼の場合はそれが魔法だったのでしょう。中途半端に力を持ってしまったから。
まあ、魔法が使えても彼の様に暴走せずに誰を傷付ける訳でもなく平和に過ごしている魔法使いは大勢いますから。同情する訳では無いですけど。
「お願いだ!助けて、悪魔が来る!」
彼がやけに上空を見つめているなと思っていましたが、どうやら空中にいた悪魔が彼目掛けて飛んできているようでした。
「助けませんよ」
「このっ⋯⋯人殺しっ⋯⋯」
悪魔は彼の目前まで来ていました。このままでは図体のデカい悪魔に踏み殺されてしまいますね。
「さようなら」
何もかもが順調だ思っていました。
償いれない切れない罪に少しでも早く向き合って欲しい一心でした。
ただ、それはどうやらまだまだ先の話になりそうです。
「嫌だっ!僕は捕まらない!!」
彼は即座に杖を拾い、自分さえも巻き添えにしてしまうような高火力の魔法を周囲に放ちました。
「ちょ、気でも狂ったんですか!カムさん、そちらの方を連れて遠くに逃げてください」
「わ、分かった!レミリエルさんも気を付けて!」
カムさんは魔法による喧騒の中、被害者女性を抱えて、ホウキに乗り避難させてくれました。良かった。
私は彼の暴走を止めるとしましょう。
「自決なんてさせませんよ!」
飛んでくる雷魔法や炎魔法から身を守りつつ、反撃のチャンスを伺います。
やがて魔力が尽きたのか、止まなかった魔法が止みました。
土煙だけが舞います。
「いない⋯⋯」
土煙が止んだ時、既に犯人の姿はありませんでした。
先程の異常とも言える魔法の嵐は私達から逃れる煙幕という訳ですか。そんなに我が身が可愛いのでしょうか、小心者め。
「まだ遠くには行っていないはずです」
羽を広げて、彼の姿を探します。
何処だ、何処ですか。いくら探せど彼の姿は見つからず、振り出しに戻ってしまうのでは無いかという嫌な予感さえもしました。
「とっとと出てき下さいっ⋯⋯!あの小心者!」
その時でした、私が独りでに彼の文句を言ったせいでしょうか。このカトリの街何処かで大きな地響きが起こりました。
空中にいた私は難を逃れましたが、下を見やると崩壊してしまっている建物もあります。
「なにごと、ですか⋯⋯」
放心状態の私の意識を現に戻してくれたのは、皮肉にも悪魔の気配でした。
私自身、悪魔に会ったことは一度も無いのですが、肌で感じました。この気配は悪魔だと。
「どうして、さっきの女性は生きている。魂は足りないはずです」
何故、考えても分かりません。ただ、悪魔が召喚されたということは儀式に必要な魂は揃ったのでしょう。
ただそれだけの事です。
「犯人を見つけたというのに、今度は悪魔祓いですか」
私は、邪悪な気配のする方へ急ぎで飛んでいきます。もしカムさんの話が本当ならば、放っておくと犠牲者は何百、何千、もしかしたらカトリの街全ての人間が殺されてしまうかもしれません。
悪魔の気配のする方へ近づく度に、暴風が私を襲います。悪魔と天使は対になる存在、相入れることは向こうとしても嫌なはずです、恐らくこれは近寄るなというメッセージ。
「来て欲しくないのならとっとと魔界へ帰ってください⋯⋯!」
暴風に耐えながら、行き着いた先は小さな家でした。既に半壊していましたが。
「た、助けて⋯⋯助けてっ!」
私の耳に救済を求める声が聞こえてきます。見ると先程の犯人の男でした。
家が半壊しているせいですか、身体のほとんどが瓦礫の下で今にも息絶えそうになっていました。
「あの悪魔!俺の言う事を聞かないで襲ってきたんだ、やっぱり魂の数が少ないと低級の悪魔しか呼べないのかよ!」
悪魔召喚に捧げる魂の数が少ないと、召喚士の言う事を無視して暴れまくる低級な悪魔しか召喚出来ないというのは本当みたいですね。
「で、その悪魔は何処に?」
「今は上空を飛んでる。多分、理性がないからそのうち暴れまくって⋯⋯」
「へえ、そうですか⋯⋯」
彼の言うとおり、上空に黒い悪魔が見えます。あまり良く見えませんが、恐らくかなりの大きさでしょう。見た目は⋯⋯めちゃくちゃモンスターです。
身動きの取れない彼は私に再度、「助けてくれ」と懇願してきます。えーー助ける気になれません。
「嫌ですよ」
「頼む!このままだと死ぬ!」
「私に関係ありませんし」
「この人殺し!」
「それは貴方でしょう?」
彼は私に否定される度に顔色が絶望に変わっていきます。貴方の手にかかった人達は皆その顔を浮かべたんですよ、貴方はそれさえも無視したみたいですけど。
「一つ質問します。何故、悪魔を召喚しようとしたんですか?」
悪魔召喚のためには、人の魂が必要だという事は分かっていはずですよね。
「それは、近所の奴らが⋯⋯俺が魔法使いだからって何でもかんでも頼ってくるから」
「腹が立ってしたと?」
「そうだ、こんな事になって恨むならアイツらを恨むんだな」
しょうもない。言葉も出ない。
「それで人を殺して良いとでも?」
「⋯⋯⋯⋯」
自分が命の危機にあったからなのか、彼は黙り込んでしまいました。その顔からは徐々に後悔の色が滲み出ています、もう遅いんですよ。
こんな話をよく聞きます。
元々庶民的な生活をしていた方がいきなり大金を持ってしまうと人が変わる、使い方も分からず平常心を保てずに結局堕落すると。
彼の場合はそれが魔法だったのでしょう。中途半端に力を持ってしまったから。
まあ、魔法が使えても彼の様に暴走せずに誰を傷付ける訳でもなく平和に過ごしている魔法使いは大勢いますから。同情する訳では無いですけど。
「お願いだ!助けて、悪魔が来る!」
彼がやけに上空を見つめているなと思っていましたが、どうやら空中にいた悪魔が彼目掛けて飛んできているようでした。
「助けませんよ」
「このっ⋯⋯人殺しっ⋯⋯」
悪魔は彼の目前まで来ていました。このままでは図体のデカい悪魔に踏み殺されてしまいますね。
「さようなら」
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