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第一章カトリの街
エピソード26 英雄となった天使とサキュバス
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悪魔を倒して以来、自分から「私が倒しました」と言った訳でもないのに、街を歩けば英雄扱いされるようになりました。今日この頃です。
はてさて、悪魔と戦っている所を誰かが見ていて言いふらしたとか?普通悪魔がいる危険地帯に近寄る人間なんて居ますかね。
「悪魔殺しのお嬢ちゃん、うちの店のパン食べていってよ」
「いやいや!悪魔殺しのお嬢ちゃん、うちの店のパンを食べていきな!」
「あ、あうぅ⋯⋯」
物思いにふけっていると、いきなり見知らぬ人間たちに話しかけられました。
頭が混乱します。くらくらです。
別々のパン屋さんの店員さんか二人、人見知りに寄ってたかって、私を苛めてきます。
あと悪魔殺しって言わないでください、怖い人みたいじゃないですか。
「その、今はお腹いっぱいなので⋯⋯」
「いやいや、なら持って帰ればいいじゃん!」
この人、強引です⋯⋯。少し前まで目もくれなかったくせにです。
「あっ、悪魔殺しのお嬢ちゃん!うちの下着買っていかない?胸の小さい方にオススメのがあるんだけど」
「か、買いませんっ!あと私の胸は小さくありません!」
また人が増えました。図星を突かれ、つい否定してしまいました。というか普通に失礼ですし絶対買いませんからね。
あと悪魔殺しって言うな。です。
「っ、失礼します!」
「ああ、お嬢ちゃん。うちのパンを⋯⋯」
「お嬢ちゃん!うちのパン持っていけやぁ!!」
「貴女の胸合うサイズの下着があるんですぅ!!」
いや、二人目から怖すぎませんか。悪魔を倒した私でも流石に逃げますよ。
一礼をして、その場から走り去りました。
ここまで来たら安全、と思いきやまた別の方々に捕まりました。英雄というか、有名人がいるから絡んでおこうという感じでしょうか。
「悪魔殺しのお嬢ちゃんだ!名前はえっと⋯⋯」
「レミリエルです。あと悪魔殺しって言わないでください」
「おーい、悪魔殺しのお嬢ちゃん。ワシらの命を助けてくれてありがとなぁ。まっ、ワシはもう老い先短いけどな!ガハハ」
「悪魔殺しやめてください。あとその冗談笑えないです」
全く⋯⋯皆さん、私のことを悪魔殺し悪魔殺しって。
「あっ、悪魔殺しだ」
「潰しますよ」
「えっ⋯⋯あ、その⋯⋯」
「あ、いや、なんでもないです。すみません」
ついあまりのしつこさに反射で毒を吐いてしまいました。気まずくなり、またもや一礼をしてその場から去ります。
「うぅ、不必要な移動距離が凄いです」
先程から人に絡まれては逃げ、絡まれては逃げを繰り返しているので不必要にカトリの街を歩き回っています。
「今日は本を買いに行くだけつもりだったんですが⋯⋯」
今日は、というより「今日も」の間違いですかね。リルさんが本を沢山読む方なので、つい感想を言い合うのが楽しくて沢山買ってしまいます。
「悪魔殺しのお嬢ちゃん!」
「悪魔殺し!」
「悪魔だ!!」
逃げた先でも、また見知らぬ方々が私を見つけ、声をかけてきます。
おい最後、悪魔呼ばわりしたのは誰ですか。
「うわぁ⋯⋯そのぉ⋯⋯」
呼び方を訂正することも出来ない程、人間たちが押し寄せ、瞬く間に囲まれす。「悪魔ってどんなんだった?強かった?」「きみ可愛いね、宿屋行かない?」等と、口々に質問を投げかけてきます。
あわわです。聞き取れないですし、どう捌いていいのか分かりません。
「誰か、助けてくださ⋯⋯」
天使でありながら誰かに助けを乞う私の手を、誰かが掴みました。
「あのっ、やめてくださ⋯⋯」
いきなり触れられたので、流石にはっきりと拒否の言葉を述べようとした時。
「困ってるんでしょ?目立たない所知ってるよ」
私の手を掴んだ方は、胸元まで伸ばした桃色の髪に瞳。
とても綺麗な方だったのですが、「はぁ?」と思ってしまう程に、はだけた、露出の多い黒服を来ていました。
「このままだと一日がこの人達の質問で潰れちゃうよ?」
民衆が様々な質問を私に投げかける中、彼女は私に聞こえるよう耳元で囁いた後、クスッと微笑みました。 妖艶な笑みでした。
確かに、街を少し歩くだけで話しかけられるんですから家に帰るのも一苦労でしょう。
格好は露出魔の様ですが、ここは彼女を信用するとしましょう。
彼女は私の顔から意を汲み取ったのか、「こっちだよ」と私の手を引きながら走り、その場から抜け出します。転びそう。
「あっ!悪魔が逃げるぞ、まだ聞きたいことあったのに!」
「悪魔呼ばわりする内はどんな質問にも応えませんよ」
民衆が去っていく私に名残惜しそうに見送ります。
私は手を引かれるままに狭く薄暗い路地裏を通り、初めて見る建物に辿り着きました。
見た所、普通の宿屋に見えますが。
「ここだよ、ここなら誰も貴女のことを知らない」
彼女が建物を指さし、言われるがままに建物に入るとやはり宿屋の様でした。
「あ、おかえりなさいお客さん。そちらの方はお連れさまで?」
「そうよ」
「そうですか、ではお楽しみ下さい」
彼女は宿屋の受付の方と言葉を交わします。
お楽しみください?宿屋の受付の方の妙な言葉に引っ掛かりつつも、彼女の宿泊している部屋へと入ります。
「お邪魔します⋯⋯」
「遠慮しないで、そこのベッドに座って頂戴」
言われるがままにお姫様が使う様な、装飾されたベッドに腰掛けます。
「えへへ、えい!」
座ると同時に胸元を押され、ベッドに横になる形になりました。
そしてそこまま彼女に覆い被さられる様な形になりました。顔の距離が近い。
「私の名前はデビ、宜しくね」
「私の名前はレミリエルです。何を宜しくされるんでしょう」
覆い被られ、吐息が当たりそうな距離での意味不明な自己紹介の最中、私はふと嫌な予感がしました。
「実はね、私サキュバスなの」
デビさんのカミングアウトに私の嫌な予感、的中しましたと溜息をつきたくなります。
目の前の相手はやはり、サキュバス。それならばあの異様に露出の高い服にも納得が行きます。
ゴクリと生唾を飲むデビさんを見て、ほいほいと考え無しに着いてきてしまった自分を恨みました。
こんな事になるのならあの民衆たちの質問攻めに答えていた方が幾分か良かったです。助けて。
はてさて、悪魔と戦っている所を誰かが見ていて言いふらしたとか?普通悪魔がいる危険地帯に近寄る人間なんて居ますかね。
「悪魔殺しのお嬢ちゃん、うちの店のパン食べていってよ」
「いやいや!悪魔殺しのお嬢ちゃん、うちの店のパンを食べていきな!」
「あ、あうぅ⋯⋯」
物思いにふけっていると、いきなり見知らぬ人間たちに話しかけられました。
頭が混乱します。くらくらです。
別々のパン屋さんの店員さんか二人、人見知りに寄ってたかって、私を苛めてきます。
あと悪魔殺しって言わないでください、怖い人みたいじゃないですか。
「その、今はお腹いっぱいなので⋯⋯」
「いやいや、なら持って帰ればいいじゃん!」
この人、強引です⋯⋯。少し前まで目もくれなかったくせにです。
「あっ、悪魔殺しのお嬢ちゃん!うちの下着買っていかない?胸の小さい方にオススメのがあるんだけど」
「か、買いませんっ!あと私の胸は小さくありません!」
また人が増えました。図星を突かれ、つい否定してしまいました。というか普通に失礼ですし絶対買いませんからね。
あと悪魔殺しって言うな。です。
「っ、失礼します!」
「ああ、お嬢ちゃん。うちのパンを⋯⋯」
「お嬢ちゃん!うちのパン持っていけやぁ!!」
「貴女の胸合うサイズの下着があるんですぅ!!」
いや、二人目から怖すぎませんか。悪魔を倒した私でも流石に逃げますよ。
一礼をして、その場から走り去りました。
ここまで来たら安全、と思いきやまた別の方々に捕まりました。英雄というか、有名人がいるから絡んでおこうという感じでしょうか。
「悪魔殺しのお嬢ちゃんだ!名前はえっと⋯⋯」
「レミリエルです。あと悪魔殺しって言わないでください」
「おーい、悪魔殺しのお嬢ちゃん。ワシらの命を助けてくれてありがとなぁ。まっ、ワシはもう老い先短いけどな!ガハハ」
「悪魔殺しやめてください。あとその冗談笑えないです」
全く⋯⋯皆さん、私のことを悪魔殺し悪魔殺しって。
「あっ、悪魔殺しだ」
「潰しますよ」
「えっ⋯⋯あ、その⋯⋯」
「あ、いや、なんでもないです。すみません」
ついあまりのしつこさに反射で毒を吐いてしまいました。気まずくなり、またもや一礼をしてその場から去ります。
「うぅ、不必要な移動距離が凄いです」
先程から人に絡まれては逃げ、絡まれては逃げを繰り返しているので不必要にカトリの街を歩き回っています。
「今日は本を買いに行くだけつもりだったんですが⋯⋯」
今日は、というより「今日も」の間違いですかね。リルさんが本を沢山読む方なので、つい感想を言い合うのが楽しくて沢山買ってしまいます。
「悪魔殺しのお嬢ちゃん!」
「悪魔殺し!」
「悪魔だ!!」
逃げた先でも、また見知らぬ方々が私を見つけ、声をかけてきます。
おい最後、悪魔呼ばわりしたのは誰ですか。
「うわぁ⋯⋯そのぉ⋯⋯」
呼び方を訂正することも出来ない程、人間たちが押し寄せ、瞬く間に囲まれす。「悪魔ってどんなんだった?強かった?」「きみ可愛いね、宿屋行かない?」等と、口々に質問を投げかけてきます。
あわわです。聞き取れないですし、どう捌いていいのか分かりません。
「誰か、助けてくださ⋯⋯」
天使でありながら誰かに助けを乞う私の手を、誰かが掴みました。
「あのっ、やめてくださ⋯⋯」
いきなり触れられたので、流石にはっきりと拒否の言葉を述べようとした時。
「困ってるんでしょ?目立たない所知ってるよ」
私の手を掴んだ方は、胸元まで伸ばした桃色の髪に瞳。
とても綺麗な方だったのですが、「はぁ?」と思ってしまう程に、はだけた、露出の多い黒服を来ていました。
「このままだと一日がこの人達の質問で潰れちゃうよ?」
民衆が様々な質問を私に投げかける中、彼女は私に聞こえるよう耳元で囁いた後、クスッと微笑みました。 妖艶な笑みでした。
確かに、街を少し歩くだけで話しかけられるんですから家に帰るのも一苦労でしょう。
格好は露出魔の様ですが、ここは彼女を信用するとしましょう。
彼女は私の顔から意を汲み取ったのか、「こっちだよ」と私の手を引きながら走り、その場から抜け出します。転びそう。
「あっ!悪魔が逃げるぞ、まだ聞きたいことあったのに!」
「悪魔呼ばわりする内はどんな質問にも応えませんよ」
民衆が去っていく私に名残惜しそうに見送ります。
私は手を引かれるままに狭く薄暗い路地裏を通り、初めて見る建物に辿り着きました。
見た所、普通の宿屋に見えますが。
「ここだよ、ここなら誰も貴女のことを知らない」
彼女が建物を指さし、言われるがままに建物に入るとやはり宿屋の様でした。
「あ、おかえりなさいお客さん。そちらの方はお連れさまで?」
「そうよ」
「そうですか、ではお楽しみ下さい」
彼女は宿屋の受付の方と言葉を交わします。
お楽しみください?宿屋の受付の方の妙な言葉に引っ掛かりつつも、彼女の宿泊している部屋へと入ります。
「お邪魔します⋯⋯」
「遠慮しないで、そこのベッドに座って頂戴」
言われるがままにお姫様が使う様な、装飾されたベッドに腰掛けます。
「えへへ、えい!」
座ると同時に胸元を押され、ベッドに横になる形になりました。
そしてそこまま彼女に覆い被さられる様な形になりました。顔の距離が近い。
「私の名前はデビ、宜しくね」
「私の名前はレミリエルです。何を宜しくされるんでしょう」
覆い被られ、吐息が当たりそうな距離での意味不明な自己紹介の最中、私はふと嫌な予感がしました。
「実はね、私サキュバスなの」
デビさんのカミングアウトに私の嫌な予感、的中しましたと溜息をつきたくなります。
目の前の相手はやはり、サキュバス。それならばあの異様に露出の高い服にも納得が行きます。
ゴクリと生唾を飲むデビさんを見て、ほいほいと考え無しに着いてきてしまった自分を恨みました。
こんな事になるのならあの民衆たちの質問攻めに答えていた方が幾分か良かったです。助けて。
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