39 / 65
第一章カトリの街
エピソード39 紅葉と自称天使さん
しおりを挟む
少し肌寒く感じるも、咲き誇る紅葉の美しさに全てを許してしまえそうな気がするこの頃。
私、レミリエルは紅葉が沢山見られるという通りに来ています。
「わぁ、どれも綺麗ですね⋯⋯」
ついついうっとりとさえしてしまいます。
そして最高な事に辺りには誰もいない。私一人の独占空間です。
「迷えるものよー迷えるものよー我が導いてやるぞよー」
前言撤回、どこからか至福の空間を壊すような馬鹿っぽい大声が聞こえてきました。
「あ、お主悩みとかない?」
「はぁ、私ですか?」
紅葉の陰からいきなり人間の少女が飛び出しきました。
「お主」と語りかけられた時点で周りには私しか居なかったのですが、一応期待を込めて聞いてみます。
「いや、お主しかおらんじゃろ」
ああ、やっぱり私でした。
紅葉を楽しみに来ただけなのに変なのに捕まってしまいました。
「天使なこの私がお主の悩みを解決に導いて見せよう」
「天使、ですか?」
天使と名乗る彼女。年齢は私と同じ程度でしょうか。
確かに身なりは長い白髪に紅の瞳、白衣装。
天使と言っても差し支えない見た目です、ただ。
「いやアナタ人間ですよね?」
「はっ!?天使だし!」
「ちよ、怒らないでくださいよ。見たら分かりますって」
天使特有のこう、自分で言うのもなんですが神秘的な雰囲気を一切感じられません。
「天使の輪、見せてください」
「あ、ちょっとそれは今都合悪くて」
「なら天使の羽は見せられますよね?」
「都合悪いね」
最後の方はもはや投げやりでした。
勝手に天使の名を語るとは、一体この女性は何が目的なのでしょう。
「とにかく、私は天使なの!」
えぇ⋯⋯。
目の前でプンスカと怒り出す自称天使さん。かける言葉も見つからず呆然と怒っているさまを眺めていると「何か言ってよ!」と更に怒られました。
「それでは、自己紹介を」
「早く言ってよ!」
「私の名前はレミリエル。天使です」
自称天使さんはぽかんと口を開けたまま喋らなくなってしまいました。
恐らく天使というワードに反応したのでしょう。
「あ、え、あ、貴女天使なの!?」
「ふふふ、天使です」
「こ、ここここれはとんだご無礼を」
こが異様に多いです。というか幾ら相手が天使だからといってそんなにかしこまらなくても。
「じ、実は私天使様に憧れていて」
「ほほう」
「それでその、形だけでも近付きたいなと」
「あの、そんなに畏まらなくてもいいですから」
自称天使さんは大変緊張しているというか、天使の振りをしていた事に罪悪感を覚えているようで「地獄行きだけは勘弁してください」と泣きついてきました。
「とりあえず、涙拭いてください」
「ありがとう、ございます」
自称天使さんに天使の優しさで持っていたハンカチを差し出しました。
「ちーん!」
自称天使、鼻かみやがりました。
「地獄行きですね」
「そ、そんなぁ! あ、ハンカチお返しします」
当たり前のように鼻をかんだハンカチを私に返却してくる自称天使さん。どういう神経をしてるのか。
「それもう使えないので貴女に差し上げます」
「え、やったぁ。天使様の私物ゲット」
若干引きましたが、まだ大事な事を聞いていませんでした。
「貴女の名前はなんですか?」
このままだと、ずっと自称天使さんのままですよ。
「わ、私の名前はレリルです!」
レリルさんは「以後よろしく」と頭を下げました。
え、関係このまま続く感じですか?
「よろしくお願いします」
まあ、ツッコミを入れるのも野暮というか単純に自分でも感じ悪いなと思うのでこちらも頭を下げます。
「それで、天使様にお願いがあるんですが」
「お願い、ですか?」
ああ、よろしくとはこのお願いに関係があるのでしょう。
「まあ、とりあえず聞くだけなら」
紅葉が咲き誇る木の下で、また一つ見知らぬ誰かとの物語が始まる予感がします。
私、レミリエルは紅葉が沢山見られるという通りに来ています。
「わぁ、どれも綺麗ですね⋯⋯」
ついついうっとりとさえしてしまいます。
そして最高な事に辺りには誰もいない。私一人の独占空間です。
「迷えるものよー迷えるものよー我が導いてやるぞよー」
前言撤回、どこからか至福の空間を壊すような馬鹿っぽい大声が聞こえてきました。
「あ、お主悩みとかない?」
「はぁ、私ですか?」
紅葉の陰からいきなり人間の少女が飛び出しきました。
「お主」と語りかけられた時点で周りには私しか居なかったのですが、一応期待を込めて聞いてみます。
「いや、お主しかおらんじゃろ」
ああ、やっぱり私でした。
紅葉を楽しみに来ただけなのに変なのに捕まってしまいました。
「天使なこの私がお主の悩みを解決に導いて見せよう」
「天使、ですか?」
天使と名乗る彼女。年齢は私と同じ程度でしょうか。
確かに身なりは長い白髪に紅の瞳、白衣装。
天使と言っても差し支えない見た目です、ただ。
「いやアナタ人間ですよね?」
「はっ!?天使だし!」
「ちよ、怒らないでくださいよ。見たら分かりますって」
天使特有のこう、自分で言うのもなんですが神秘的な雰囲気を一切感じられません。
「天使の輪、見せてください」
「あ、ちょっとそれは今都合悪くて」
「なら天使の羽は見せられますよね?」
「都合悪いね」
最後の方はもはや投げやりでした。
勝手に天使の名を語るとは、一体この女性は何が目的なのでしょう。
「とにかく、私は天使なの!」
えぇ⋯⋯。
目の前でプンスカと怒り出す自称天使さん。かける言葉も見つからず呆然と怒っているさまを眺めていると「何か言ってよ!」と更に怒られました。
「それでは、自己紹介を」
「早く言ってよ!」
「私の名前はレミリエル。天使です」
自称天使さんはぽかんと口を開けたまま喋らなくなってしまいました。
恐らく天使というワードに反応したのでしょう。
「あ、え、あ、貴女天使なの!?」
「ふふふ、天使です」
「こ、ここここれはとんだご無礼を」
こが異様に多いです。というか幾ら相手が天使だからといってそんなにかしこまらなくても。
「じ、実は私天使様に憧れていて」
「ほほう」
「それでその、形だけでも近付きたいなと」
「あの、そんなに畏まらなくてもいいですから」
自称天使さんは大変緊張しているというか、天使の振りをしていた事に罪悪感を覚えているようで「地獄行きだけは勘弁してください」と泣きついてきました。
「とりあえず、涙拭いてください」
「ありがとう、ございます」
自称天使さんに天使の優しさで持っていたハンカチを差し出しました。
「ちーん!」
自称天使、鼻かみやがりました。
「地獄行きですね」
「そ、そんなぁ! あ、ハンカチお返しします」
当たり前のように鼻をかんだハンカチを私に返却してくる自称天使さん。どういう神経をしてるのか。
「それもう使えないので貴女に差し上げます」
「え、やったぁ。天使様の私物ゲット」
若干引きましたが、まだ大事な事を聞いていませんでした。
「貴女の名前はなんですか?」
このままだと、ずっと自称天使さんのままですよ。
「わ、私の名前はレリルです!」
レリルさんは「以後よろしく」と頭を下げました。
え、関係このまま続く感じですか?
「よろしくお願いします」
まあ、ツッコミを入れるのも野暮というか単純に自分でも感じ悪いなと思うのでこちらも頭を下げます。
「それで、天使様にお願いがあるんですが」
「お願い、ですか?」
ああ、よろしくとはこのお願いに関係があるのでしょう。
「まあ、とりあえず聞くだけなら」
紅葉が咲き誇る木の下で、また一つ見知らぬ誰かとの物語が始まる予感がします。
0
あなたにおすすめの小説
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる