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第一章カトリの街
エピソード46 奴隷だった国王の想い人
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「また来たのね」
城の中へ連れられ、再びジュリーナさんの部屋へと連れられます。
中に入ると、ジュリーナさんは私に逆らうとこうなるとでも言いたげな顔をしていました。
また来たのねって、連れてくるよう指示したのは貴女でしょう。
「私は王の意中の相手。知っている?男は好きな女のためだったら何だってするのよ」
つまり、どんな理由でも兵士を動かすことは可能と言いたいのでしょう。
「国民を一人殺すくらい訳ないわ」
ジュリーナさんは私を見下すかの様に語りかけます。こちらが手を出さないのは分かっているからでしょう。
「そんな事をしても、国王暗殺になんて協力しませんよ」
「だから、貴女の意思は関係ないの。分かる?」
立場上、一言で常に誰かを従わせてきたのでしょう。気品もなく舌打ちをしてきました。
「いい?貴女も天使なら頭に入れておきなさい。この国は腐ってるの、親に売りに出された女は殆どが満足な食事も与えられず、好き勝手されにされて若く死んでいく。私が国王になれば全て無くなるのよ」
「で、でも国王は貴女の言う事なら聞くのでしょう?なら、掛け合ってみては」
ジュリーナさんは、憎らしい顔をして首を横に振りました。
「アイツ、私以外の女の事はどうでもいいみたいで。ろくに話を聞いてくれないのよ」
「そうですか。でもジュリーナさんは王宮住まいで地位もあるのに、何故彼女達のことをそこまで⋯⋯」
「私もそこの出身だったのよ」
ジュリーナさんは吐き捨てるように言いました。
「親に売られて好きでもない男と寝て、耐えられなくて命懸けで逃げ出して、盗みをして服も整えて、やっとの思いでこの王宮で住み込みで働くことになったわ」
私はただ黙って彼女の話を聞きました。
「それでね、あの男。私を人目見るや否や一目惚れしたって。婚約相手がいたのに破棄して私に告白してきたの」
「絵本みたいな話ですね」
「それからは望む物は全て手に入ったわ。嫌いだった男たちも全員顎で使えるしね」
ジュリーナさんは「ざあみろ」とでも言いたげな表情をして語ります。
ただ、そこまで豊かな生活にたどり着いたのなら、今更過去にこだわる必要なんてないんじゃ⋯⋯とも思ってしまいます。
「ただ、幾ら他とは違う生活をしてもあの頃の惨めな気持ちは消えなかった。アソコにいた友達はみんな病気や栄養失調で死んでいった。仇はとらなきゃいけない」
「そう、ですか⋯⋯」
私は何を言っていいのか分かりませんでした。彼女が私利私欲で動いている訳では無いのは分かりましたが、それでも国王を殺すことに賛同は出来ません。
「奴隷、何処に居るんですか?」
「は?」
私の問いかけにジュリーナさんは首を傾げます。
「ジュリーナさんの代わりに、私が仇討ちをしてあげます。」
「何言ってるの。貴女は関係ないの」
「関係ありませんでしたが、そもそも関係付けようとしたのは貴女でしょう?」
ジュリーナさんは黙り込みます。これは私の勝ちでしょう。
だって無関係の私を兵士まで寄こして連れてきたんですから。
「仇討ちを見届けたいのなら、一緒についてきてもらっても構いませんよ?」
「な、何を言っているの。そんなに簡単に城を抜け出せる訳ないでしょう」
王宮住まいも大変ですねぇ。そういう悩み方をしちゃうわけですか。
「人間よ、天使命令です。貴女の一日を私に貸しなさい」
「め、命令って私は国王の⋯⋯」
「下界の民よ、私は天使です」
珍しく、自分が天使であることを強調してジュリーナさんを黙らせました。
「どうしてそこまでしてくれるの。貴女は私が嫌いでしょう」
まあ、第一印象は人生の中で最も最悪だっと思います。
ただ、ジュリーナさんの過去も聞いてしまいましたし、奴隷の実態も知ってしまいました。
「私が天使だからですよ」
ただ単純に、天使として見過ごせないと思っただけです。
「さあ、行きますよ」
「ちょっと!」
私はジュリーナさんの手を引いて大きな窓の戸を開けます。
「なんで窓⋯⋯飛び降りる気?」
「降りはしませんが、飛ぶのは正解です」
私は思い切り翼を広げて、ジュリーナさんを抱えて窓から飛び立ちました。
「え、うそ⋯⋯空飛んでる⋯⋯?」
「嘘じゃないです、現実ですよ。風が気持ちいいでしょう?」
「高いとこ⋯⋯こわい⋯⋯」
あらあら。これは慣れるのに時間がかかってしまいそうですね。
先程の狂気に満ちた彼女の表情はなく、どちらかと言うと可愛いと感じてしまう位の変貌ぶりです。
「慣れてください。それで奴隷たちがいる場所はどこですか?」
「あ、アソコの山奥に建物がある⋯⋯」
ジュリーナさんは震える声と指で山を指しました。
見たところ、人が寄り付かなさそうな雰囲気を纏っていて秘密裏に奴隷商売をするには打って付けの場所でしょう。
「ほら、急ぎますよ」
「あうぅぅぅぅぅぅ」
奇声をあげるジュリーナさんにお構い無しで飛ぶ速度をあげます。
速度が上がっただけあり、景色が次々と変わっていき、直ぐに山奥へと辿り着きました。
「ここで合ってますよね?降りますよ」
「⋯⋯⋯⋯」
ジュリーナさんがただの屍になっているのが少し心配ですが、山奥へと降り立ちます。
「これですか⋯⋯」
私たちの目の前には、錆び付いた古い大きな建物がありました。
城の中へ連れられ、再びジュリーナさんの部屋へと連れられます。
中に入ると、ジュリーナさんは私に逆らうとこうなるとでも言いたげな顔をしていました。
また来たのねって、連れてくるよう指示したのは貴女でしょう。
「私は王の意中の相手。知っている?男は好きな女のためだったら何だってするのよ」
つまり、どんな理由でも兵士を動かすことは可能と言いたいのでしょう。
「国民を一人殺すくらい訳ないわ」
ジュリーナさんは私を見下すかの様に語りかけます。こちらが手を出さないのは分かっているからでしょう。
「そんな事をしても、国王暗殺になんて協力しませんよ」
「だから、貴女の意思は関係ないの。分かる?」
立場上、一言で常に誰かを従わせてきたのでしょう。気品もなく舌打ちをしてきました。
「いい?貴女も天使なら頭に入れておきなさい。この国は腐ってるの、親に売りに出された女は殆どが満足な食事も与えられず、好き勝手されにされて若く死んでいく。私が国王になれば全て無くなるのよ」
「で、でも国王は貴女の言う事なら聞くのでしょう?なら、掛け合ってみては」
ジュリーナさんは、憎らしい顔をして首を横に振りました。
「アイツ、私以外の女の事はどうでもいいみたいで。ろくに話を聞いてくれないのよ」
「そうですか。でもジュリーナさんは王宮住まいで地位もあるのに、何故彼女達のことをそこまで⋯⋯」
「私もそこの出身だったのよ」
ジュリーナさんは吐き捨てるように言いました。
「親に売られて好きでもない男と寝て、耐えられなくて命懸けで逃げ出して、盗みをして服も整えて、やっとの思いでこの王宮で住み込みで働くことになったわ」
私はただ黙って彼女の話を聞きました。
「それでね、あの男。私を人目見るや否や一目惚れしたって。婚約相手がいたのに破棄して私に告白してきたの」
「絵本みたいな話ですね」
「それからは望む物は全て手に入ったわ。嫌いだった男たちも全員顎で使えるしね」
ジュリーナさんは「ざあみろ」とでも言いたげな表情をして語ります。
ただ、そこまで豊かな生活にたどり着いたのなら、今更過去にこだわる必要なんてないんじゃ⋯⋯とも思ってしまいます。
「ただ、幾ら他とは違う生活をしてもあの頃の惨めな気持ちは消えなかった。アソコにいた友達はみんな病気や栄養失調で死んでいった。仇はとらなきゃいけない」
「そう、ですか⋯⋯」
私は何を言っていいのか分かりませんでした。彼女が私利私欲で動いている訳では無いのは分かりましたが、それでも国王を殺すことに賛同は出来ません。
「奴隷、何処に居るんですか?」
「は?」
私の問いかけにジュリーナさんは首を傾げます。
「ジュリーナさんの代わりに、私が仇討ちをしてあげます。」
「何言ってるの。貴女は関係ないの」
「関係ありませんでしたが、そもそも関係付けようとしたのは貴女でしょう?」
ジュリーナさんは黙り込みます。これは私の勝ちでしょう。
だって無関係の私を兵士まで寄こして連れてきたんですから。
「仇討ちを見届けたいのなら、一緒についてきてもらっても構いませんよ?」
「な、何を言っているの。そんなに簡単に城を抜け出せる訳ないでしょう」
王宮住まいも大変ですねぇ。そういう悩み方をしちゃうわけですか。
「人間よ、天使命令です。貴女の一日を私に貸しなさい」
「め、命令って私は国王の⋯⋯」
「下界の民よ、私は天使です」
珍しく、自分が天使であることを強調してジュリーナさんを黙らせました。
「どうしてそこまでしてくれるの。貴女は私が嫌いでしょう」
まあ、第一印象は人生の中で最も最悪だっと思います。
ただ、ジュリーナさんの過去も聞いてしまいましたし、奴隷の実態も知ってしまいました。
「私が天使だからですよ」
ただ単純に、天使として見過ごせないと思っただけです。
「さあ、行きますよ」
「ちょっと!」
私はジュリーナさんの手を引いて大きな窓の戸を開けます。
「なんで窓⋯⋯飛び降りる気?」
「降りはしませんが、飛ぶのは正解です」
私は思い切り翼を広げて、ジュリーナさんを抱えて窓から飛び立ちました。
「え、うそ⋯⋯空飛んでる⋯⋯?」
「嘘じゃないです、現実ですよ。風が気持ちいいでしょう?」
「高いとこ⋯⋯こわい⋯⋯」
あらあら。これは慣れるのに時間がかかってしまいそうですね。
先程の狂気に満ちた彼女の表情はなく、どちらかと言うと可愛いと感じてしまう位の変貌ぶりです。
「慣れてください。それで奴隷たちがいる場所はどこですか?」
「あ、アソコの山奥に建物がある⋯⋯」
ジュリーナさんは震える声と指で山を指しました。
見たところ、人が寄り付かなさそうな雰囲気を纏っていて秘密裏に奴隷商売をするには打って付けの場所でしょう。
「ほら、急ぎますよ」
「あうぅぅぅぅぅぅ」
奇声をあげるジュリーナさんにお構い無しで飛ぶ速度をあげます。
速度が上がっただけあり、景色が次々と変わっていき、直ぐに山奥へと辿り着きました。
「ここで合ってますよね?降りますよ」
「⋯⋯⋯⋯」
ジュリーナさんがただの屍になっているのが少し心配ですが、山奥へと降り立ちます。
「これですか⋯⋯」
私たちの目の前には、錆び付いた古い大きな建物がありました。
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