異世界に飛ばされたおっさんは何処へ行く?

シ・ガレット

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6巻

6-3

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    ◇ ◇ ◇


 子供たちが水路を探索している頃、タクマは王都上空でスマホとにらめっこしながら困惑していた。異世界商店に、ヴェルドミールの新しい商品が追加されていたのだ。

「これは……ヴェルド様が異変に気づいたと見るべきかな? 慌てて孤児たちのための商品を用意してくれたんだろう。きっと今頃、説明をどうしたら良いか悩んでいるんだろうな」

 新しく追加されていたのは、建物が二種類、遊具が五種類、魔道具が一種類だった。タクマはそれらを細かく確認してみた。
 一つ目の建物は名前はそのまま「孤児院」と出ていた。最大で百人収容できる施設のようだ。食堂、キッチン、お風呂が付いており、布団等の生活に必要な物資も完備されていると説明があった。ただし、湖畔の屋敷のように建物の魔道具化はされておらず、ごく一般的な建物だった。
 タクマが二つ目の建物を調べようとスクロールしていると、ヴァイスから緊急の念話が届く。ヴァイスはかなり慌てており、切迫した状況のようだ。
 タクマはスマホをいったんしまい、念話に応答する。

(どんな感じで動けなくなっている?)
(口がカサカサしてて、みんなゲッソリしてるー。それに息が今にも止まりそう!)

 ヴァイスの言葉から、脱水症状と栄養失調におちいっている可能性が高いと判断する。子供は代謝が良いので、水分や食事を摂らないとすぐに衰弱してしまうのだ。

(今行く!)

 タクマはそう念話を送ると、すぐにヴァイスの所へ跳んだ。


 子供たちが孤児を励ますように声をかけている姿が目に入った。

「すぐにお父さんが助けに来るから!!」
「頑張って!」
「もうすぐだから!」
「目を開けて!」

 子供たちの叫びを聞きながらタクマが近寄っていくと、子供たちはタクマが来たのに気づいて泣いてしまう。

「お父さん! 早く助けてあげて!」
「早くしないと死んじゃう!」
「わかってる。大丈夫だ」

 タクマは子供たちを撫でて安心させてから、孤児たちにヒールをかけてあげた。
 衰弱は怪我とは違い本来ヒールの対象ではないので、気休めにしかならない。ただ、体力は多少回復したようで呼吸は安定した。

「俺がこの子たちをコラル様の家に連れていく。お前たちは引き続き他の子たちを探すんだ」
「で、でも……」

 子供たちは泣きそうな顔をしている。

「この子たちが心配なのはよくわかる。だが、こうしている間に他の孤児たちも同じような状況だったら? お前たちは孤児の保護を依頼されたんだろう? だったら何を優先すべきだと思う?」

 タクマにそう言われ、子供たちは依頼の本当の厳しさを自覚した。子供たちが冷静になろうとしているのはタクマにもわかった。
 子供の一人が唇を噛み、辛そうに言葉を紡ぐ。

「そうだね。心配だけど、僕たちには何もできないよね。だったら、他の子たちを探すのが僕たちの仕事……」
「そうだ。苦しいだろうが、この子たちはお父さんに任せて依頼を頑張ってくれ。ヴァイスたちに言ってくれれば、お父さんはすぐにこうして助けに来るから頑張ってみなさい」

 悔しそうに立ち上がった子供たちの目は、やる気に満ちていた。子供たちは騎士たちに付き添われて水路を出ていった。
 頼もしい後ろ姿を見送ったタクマは、孤児たちを範囲指定すると、そのままコラル邸の庭へ跳んだ。


 庭には、コラルが回復魔法の使い手と医者を用意してくれていた。コラルもまた万が一を考えて、いろいろと手を打ってくれていたのだ。
 コラルは使用人たちを総動員して子供たちの治療に入った。タクマはその場をコラルに任せると、再び上空へ戻る。


    ◇ ◇ ◇


 孤児たちをタクマに任せた子供たちは、水路から出てすぐに移動を開始した。
 以前、孤児たちを目撃した地点に行ってみたものの、孤児の姿は見えなかった。子供たちは経験を総動員して、孤児たちが隠れられそうな場所をしらみつぶしに探していく。
 しばらくして、裏路地の人気ひとけのない所で座り込んで動かない孤児を五人発見した。先ほどの孤児たちとは違って話ができる状態だった。

「ねえ、僕たちと一緒に行こう? 僕たちのお父さんが君たちの居場所を作ろうとしているんだ」
「……やだ、またいじめられる」

 彼らのいた孤児院では食事も満足に与えられなかったうえに、暴力まで受けていたようだ。子供たちは、孤児からそうした事を聞きながら説得を続けた。


「あのね、僕たちも君たちと同じ孤児だったんだ。だけど、お父さんのおかげでこうして幸せに生きている。そのお父さんが君たちの居場所を作るって言っているんだ。もし行った先で前と同じ事になったら、お父さんがやっつけてくれるから大丈夫! だから、ね? 一緒に行こう?」

 孤児は、涙目で子供たちを見つめる。

「……信じて良いの?」
「うん! 僕たちと僕のお父さんを信じてほしいな」
「ごはん食べられる?」
「お腹いっぱい食べられるよ。暖かいお布団で寝られるし、きれいな服も着られる。お勉強も楽しいよ」

 子供たちは自分たちの経験を孤児たちに話しながら説得する。

「でも、私たちだけ助かるのは……」
「水路にいた子たちはもう先に行っているよ。それに、他の場所にいる子たちもみんな探すつもりだから!」

 子供たちの真剣な説得は孤児たちの心に響いたようだ。目の前の子供たちを信じてみようという気持ちが、孤児たちの間に芽生えていく。

「みんな一緒に暮らせる?」
「もちろん!」
「……だったら、私たちを助けて! もう暗いとこは嫌なの」

 みんな助かるという言葉を聞いた孤児たちは、安心するあまり泣きだしてしまった。
 子供たちは孤児を不安にさせないように笑顔で手を引いて馬車に連れていってあげた。そうして、コラルの邸宅へ戻っていくのだった。


    ◇ ◇ ◇


 子供たちは五人の孤児を馬車に保護してコラル邸に戻ってきた。
 彼らは孤児たちをコラルが用意した医師に引き渡すと、タクマを探して応接室へ移動する。一緒に戻ってきたヴァイスたちは家の中が大騒ぎなのを感じて庭で寝転んだ。

「おかえり」

 王都上空から先回りして戻っていたタクマは子供たちを迎える。タクマの顔を見た子供たちが今日の成果を報告する。

「今日はお父さんに連れていってもらった十人の他に、五人の子を保護できたよ」
「みんな疲れきっていたの」
「それに、残っている仲間の事を心配していたの」
「泣いてた……」

 子供たちは今日一日で保護を完了できると思っていたのにそうならず、少し不満げな表情をしていた。

「これだけ保護をできたのは大したものだと思うけどな」

 そう言ってタクマが褒めてやっても、子供たちの表情は優れなかった。子供たちが一日で保護を終わらせたいと考えたのには理由があったのだ。

「だって、明日からはもっと大変になると思ったんだもん」
「仲間がいなくなったら警戒するでしょ?」
「さらにわかりづらい所へ行っちゃう」
「危険な場所に行っちゃうかも……」

 子供たちは、そこまで考えていたようだ。孤児の仲間が急にいなくなれば、残された者たちは警戒をしてしまうのは当然だろう。そうなれば、探すのはますます困難になってしまう。

「なるほどな。だけど他の方法もあると思うぞ? 今日保護した子たちの中には動ける子もいるだろう?」

 タクマは答えを言うのではなく、ヒントを子供たちに教えてあげた。すると、子供たちは気づいたようで反応を示す。

「そっか! その子に手伝ってもらえば良いんだ!」
「隠れている場所も知ってるかも」
「安心して、来てくれるかも」
「でも……手伝ってもらって良いのかな? 疲れているだろうし」

 動けるとはいえ、疲れている孤児たちを利用するのが気になるという子供たちに、タクマは説明してあげる。

「お前たちは優しいから、疲れている孤児たちを使うのは嫌なんだろうな。だけど、その子たちも自分の仲間を助けたいと思っているんじゃないのかな? それに、さっき孤児たちを見てみたけど、食べて寝れば動けるくらいにはなってたぞ。まあ、今日は疲れて寝てしまうだろうから、明日の朝に話してみたらどうだ?」

 タクマと子供たちが話し合っていると、コラルが応接室にやってきて子供たちに声をかける。

「おお、今日は大活躍だったな! あの子たちは衰弱しているが、回復して眠っているぞ。後から来た子たちはお腹が空いているだけだった」

 水路で保護した子たちは引き続き治療が必要なようだ。動けなくなるほどに衰弱してしまっていたので、時間がかかるのは仕方ないだろう。後から来た子たちは体力が残っていたので、栄養を摂って寝れば回復するとの事だった。

「良かったー!」
「ひと安心だね」
「明日の朝に話してみよう!」
「協力してくれると良いな」

 子供たちは全員が無事に回復すると聞いてとても喜んでいる。それから、明日に保護した子たちに協力を要請してみようと相談を始める。
 そんな真面目な子供たちにコラルは声をかける。

「さあさあ! 君たちも疲れているだろう? 風呂に入ってさっぱりしたら食事にしよう。明日の事は食事後にじっくりと相談すればいい」
「「「「はーい!!」」」」

 コラルは子供たちを使用人に案内をさせて風呂へ移動させた。タクマとコラルは子供たちがお風呂に行くのを眺めながら情報のすり合わせを行なう。

「最初の孤児たちは危険だった。少し遅れていれば、命も危なかったかもしれない」

 コラルはそう言うとため息をき、孤児を助けられて安堵あんどしたようだった。

「私も見た時かなり危ないと感じていました。無事に持ち直してくれてよかったです」
「だが、不衛生な所で生活をしていたので病気になっていた子もいた。今は薬を飲ませているから大丈夫だが」

 回復魔法の使い手と医師たちの速やかな対応により、孤児たちは一命を取り留めたらしかった。

「明日以降は、捜索が大変になるだろう。孤児たちも警戒してしまうだろうからな」

 コラルが子供たちと同じような懸念を示す。しかし、大人なだけあってその対応策もわかっているようだった。コラルは続けて言う。

「だが、後から保護した孤児たちに協力を頼めば、順調に進むだろうな」
「ええ、自分の仲間が説得に来れば、自然と警戒は緩みますから」

 孤児たちに関してひと通り話し終えると、コラルは話題を変えて、孤児院について話しだした。

「ところで孤児院の建物は大丈夫なのか? 我が王にあそこまで言ってしまったのだ。やっぱり無理でしたでは済まされんぞ」
「もちろん大丈夫です。すでに当たりは付けてありますから。明日には準備を済ませますよ」

 コラルは、タクマがいろんな仕事を抱え込んでいたので、孤児院まで手が回るか心配していたのだ。タクマの返答を聞いて安心したコラルは笑みを浮かべて言う。

「そうか。君も動きっぱなしで疲れただろう? しっかりと休んで事を進めてくれ」
「ありがとうございます。コラル様も徹夜明けなのですから、食事後は休んでください」
「ははは! 君が私の気遣いをするか。最初の出会いから考えれば丸くなったものだ。まあ、君の敵となった者への態度は変わってないがな」

 タクマとコラルが笑い合っていると、使用人がやってきて声をかけてくる。

「タクマ様。子供たちの入浴が終わりました。入浴中に寝てしまいそうになっておりましたので、先に部屋へ案内いたしました」
「そうか。ありがとう。そういえば孤児たちの風呂はどうするんだ? 意識がなかった子たちはもちろん入れないだろうが、後から連れてきた子たちは元気そうだったし、さっぱりした方が……」

 タクマがそう言うと使用人は首を横に振る。

「後から来た子たちも、今日はやめておいた方が良いとの医師の判断でした。全員身体を拭いた後にクリアをかけたらさっぱりしたみたいです」

 保護した子たちは、皆すでに深く眠っているそうだ。使用人はひと通り報告し終えると、タクマにお風呂に入るように促した。

「わかった。じゃあ、ヴァイスたちと一緒に入らせてもらうよ」

 それからタクマが風呂にやってくると、女性の使用人が二人待っていた。
 どうやら身体を流してくれるらしいのだが、タクマは貴族ではなくただの一般人なのでそれは断っておいた。せめてヴァイスたちの身体をと言われたが、男性がいる風呂に女性がいては落ち着かないのでやっぱり断る。
 守護獣たちはそれぞれテンション高めに脱衣所に現れた。

「アウーン、アン!(おっふろー、おっふろー)」
「ミアー(お父さんとおふろー)」
「ピュイ(違う家の風呂は楽しみです)」
「キキ!(温泉?)」
「キュル?(ミルクあるかなー?)」
「クウ!(お風呂の後に飲むミルクは美味しいよね!)」
「……(お風呂は正義……)」

 タクマが服を脱いでいると、彼らは我先にと風呂場へ入っていく。一応入る前にクリアの魔法をかけて、お風呂を汚さないように気をつけておいた。
 タクマは家から持ってきたシャンプーを取り出し、ヴァイスたちを洗っていく。ヴァイスたちは子犬サイズになってくれたので、そこまで時間はかからない。みんな、大好きなタクマに身体を洗ってもらってご満悦だった。
 全員を洗い終えると、タクマはヴァイスたちを湯船に入らせ、自分も身体を洗ってから湯船に入った。ちなみにレウコンは熱いお湯が苦手なので、風呂桶に冷水を入れて温度を下げたお湯に浸かっている。

「ふー。やはり風呂は良いな……」
「アウン……(気持ちいいねー……)」
「ミアー(お風呂好きー)」
「ピュイー(疲れが取れますね……)」
「キキィ……(ふいーー……)」
「キュルゥ……(ふあー、あったかー)」
「クウ……(とっても気持ちいいね……)」
「……(眠くなる……)」

 ヴァイスとゲールは、浴槽の中を犬かきで泳いでいて楽しそうだった。他の子は大人しくタクマの傍で浮かんでいる。
 三十分ほど温まってから、風呂から出る事にした。
 ヴァイスたちは脱衣所でタクマに身体を拭いてもらい、子供たちが寝ている寝室へ移動していった。
 タクマは、昼間途中でやめてしまった異世界商店の商品を調べる事にした。
 ちなみにコラルは疲れきっていたようで、お風呂には入らずにクリアで済ませて寝てしまったそうだ。
 応接室に行ってソファーに座ったタクマは、アイテムボックスからPCを取り出して起動させる。それから酒を取り出すと、グラスへ注いで飲み始めた。

「これでじっくりと調べられるな」

 タクマは昼間見た新商品のラインナップに目を通していく。「孤児院」は昼に詳細を見ているので、他の商品を見る事にした。
 二つあったうちのもう一つの建物は「学舎」と出ていた。おそらく孤児院は住むための施設で、学舎は学ぶための施設なのだろう。

「考えられたラインナップになっているのかな?」

 詳細情報を見てみると、学舎はそれほど大きくなく五十人収容の教室が三部屋のシンプルな造りだった。教室以外には、職員が待機する部屋と、警備員のための待機所があるだけだが、使い勝手は良さそうだ。
 外で遊ぶのに必要だと考えてくれたのか、遊具も用意してあった。滑り台、鉄棒、雲梯うんてい、昇り棒、跳び箱がそれぞれあった。
 特殊な魔道具もあった。魔石を置く台座があり、セットで認証用のカードが二百枚付いている。商品名は「認証式結界魔道具」と出ていた。台座に魔石を置くと、結界が作動する仕組みになっているようだ。範囲は台座に付いているダイヤルで調整できるらしい。
 結界に入るには認証用のカードが必要だが、タクマと守護獣たちは出入り自由に設定されているとの事。オプションでカードだけ再購入できるとあるので、人が増えても安心だろう。
 情報を読み込んでいると、ナビゲーションシステムのナビが現れて尋ねてくる。

「マスター。この魔道具は魔石の魔力がなくなれば、その都度つど補充しなければならない消耗式のようですが……」
「最初は俺が用意するか。幸い今まで回収したモンスターの魔石は売らずに死蔵しぞうしてるしな。それか、大きい水晶でも買って、それに魔力を込めて使うか?」

 タクマは、以前トーランの孤児院でやった、宝石に魔力を込めて魔石にする方法も考えてみた。

「しかし、この魔道具はパミル王に確認を取ってから仕入れた方が良さそうだな。警備との兼ね合いもあるだろうし。あ、でも、仕入れだけはしておいても良いか。使い道はたくさんあるし……」

 それからタクマは、仕入れを開始する。


[魔力量]  :∞

[カート内]
 ・孤児院 :5億
 ・学舎 :2億5000万
 ・鉄棒 :85万
 ・雲梯 :90万
 ・昇り棒 :50万
 ・滑り台 :50万
 ・跳び箱(8段) :40万
 ・認証カード二百枚付結界魔道具(魔石なし) :7億

[合計] :14億5315万


 決済すると、凄まじい勢いで身体がだるくなった。タクマには魔力が無限にあるといっても、これだけ大きな買い物をすれば魔力を吸われる感覚はある。

「この感じにはなかなか慣れないな。でも、これで孤児たちの生活環境が整うと思えば、何て事ないな」

 タクマはそう呟くと、新しくできた孤児院で孤児たちが楽しそうに遊ぶ様子を思い浮かべた。そんな想像をしたりしながら一人で晩酌をしていると、使用人が子供を連れて応接室にやってくる。

「タクマ様。この子が話があるみたいなのですが、宜しいでしょうか?」

 使用人が連れてきたのは、子供たちが保護してきた孤児の一人で、中学生くらいの女の子だった。

「話? 酒が入っているけど大丈夫か?」

 タクマは酒の入っていない時の方が良いだろうと断ろうとしたのだが、その子は他の孤児たちに聞かれたくないので今がいいらしい。

「じゃあ、話を聞かせてもらおうかな」

 タクマはそう言うと、女の子を対面のソファーに座らせた。

「さて、俺は昼間君たちを保護した子供たちの親で、名前はタクマ・サトウというんだ。君の名前は?」

 正面に座った女の子が緊張気味に名乗る。

「私はフロンと言います。歳は13歳です。話したい事があったので、頼んで連れてきてもらいました」

 それからフロンは言葉を選びながら、ここに来た理由をゆっくりと話した。彼女が言った事をまとめると、この先自分たちがどうなってしまうのか心配しているようだった。
 タクマは彼女を怯えさせないように優しく伝える。

「そうだな、君たちはパミル王国が設立する孤児院に入ってもらうんだ。そこでは、寝食は保障されているし、勉強する事もできる。働ける年齢に近い者は働くための技術も学ぶ事ができるんだ」

 タクマは、孤児たちにマイナスになる事はないと説明したのだが、フロンの表情は暗いままだった。
 フロンが緊張したまま言う。

「でも……教会の司祭様みたいに怖い人が来たら……」

 フロンは、前の孤児院でとても怖い思いをしていた。そのため、孤児院への不信感が拭えないようだった。
 タクマはフロンを安心させるため、彼女の目を見て伝える。

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