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タクマの決心
やっと帰ることが出来ます
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タクマ夫婦が進んでお節介を焼いてくれた事によって王妃たちの憂いは晴れ、夫の再教育は相当厳しいものになるだろう。
それを理解させられたパミルは場の空気となり真っ青な顔色をしている。
「では私たちは一旦湖畔の方へ行って子供たちに話をしてきます。あの子たちも王族。きっと理解してくれるでしょう」
王妃たちは席を立つとそう言って執務室から退席していった。
二人が居なくなった場はシンと静まり返る。
「……タクマ殿……」
縋るような呟きだったが、タクマにそれを慰める事無く口を開く。
「お二人の決心を変える言葉を俺は持っていませんよ。今の状況を変えるのはパミル様次第でしょう。頑張ってください」
敢えてタクマは突き放すまでも言わなくともきっぱりと返す。ここで慰めを入れるのは王妃の決意を汚すことになると思ったからだ。
そして自分たちは夫婦喧嘩の仲裁に来ているのではなく、仕事で来ているのだと続けた。そもそも謁見後に残されたのは王が自分の妻や子供たちの事を話したかったのは分かり切っている。それが済んだ以上、残った話は少ないのだ。
「う、うむ……そうだな……すまん、謝罪する。君たちの貴重な時間を使わせて申し訳ない。で、だ。先ほどノートンから方向を受けたが、アレの封印が解けたそうだな」
気を取り直したパミルはタクマに謝ってから宝物庫での一件について聞きたいと言ってきた。タクマは封印されていたのは召喚者、転移者の為のアイテムであり普通の者には絶対渡せない物だと説明し引き取りたいと答える。
これまで王国では封印を解くこともできず死蔵していたアイテムだ。パミルはあっさりとタクマに譲渡すると答える。
「ヴェルド様の神託に従い、転移者と召喚者にまつわるアイテムは君に一任する。封印が解けた以上、我々が持っているのは危険すぎるからな」
「ありがとうございます」
パミルはアイテムについての詳細も聞かない。聞いたところで自分たちには過ぎた物であるのが分かっているからだ。
「アイテムについても話しましたし、用事はこれで終わりってことですかね」
「うむ、我らの都合に付き合わせてすまなかった。報酬などに関してはノートンと君の臣下で済ませているだろうしな……それとタクマ殿、改めてマギーとショーンの事よろしくたのむ」
全ての用事は済んだと答え、今後の子供たちの事を改めて頼むパミルに、タクマは笑みを浮かべながら問題ないと答えた。
「お二人ともいい子たちですし、うちの子達とも上手くやっていますから大丈夫ですよ。だから早めに帰れるようにしてあげてください」
「う、うむ……」
そう言うタクマにパミル自身もしっかりと自覚はあるらしい。これからの自分がどれだけ厳しく再教育されるのか少し怯えている様にも見える。
そんなパミルに苦笑いを向けながらタクマ達は席を立ち帰る事を伝える。
「では俺たちも帰ります。また何かある時はよろしくお願いします」
「うむ。このまま帰るのならここから行くと良い。ノートンには我から伝えておこう」
許可も出たのでタクマはそのまま魔力を練り上げ夕夏とアークスと共に湖畔へと飛んだ。
「再教育……か……地獄が始まるな……」
身から出た錆とはいえこれからの事を思い天井を見上げてため息を吐くのだった。
予想外に時間を取られたタクマたちではあったが、無事に帰宅することができた。ちょっとした不穏なアイテムを持ち帰る事になってはしまったが、それは今更だろう。タクマのアイテムボックスにはそんなアイテムが沢山死蔵されているのだから。
湖畔に戻ったタクマ達は自分の家へと入っていく。周囲は既に暗くなり始めている。トーランで働いている者たちも帰宅している時間だろう。
「あ!おとうさん!」
「おかえりー」
「お仕事終わり?」
玄関を開けると子供たちが嬉しそうな顔で出迎えてくれた。タクマは飛びついてくる子供たちを優しく受け止め撫でてやる。夕夏にも飛びつこうとする子たちもいたが、それは止めてあげてくれと言う。子供たちは飛びつく寸前で止まり首を傾げる。
タクマは留まってくれた子供たちを撫でるとゆっくりと口を開く。
「お母さんは身体に変化があったから、しばらく激しい触れ合いが出来なくなったんだ。リビングでちゃんと説明するから、みんなを集めてくれないか」
そう言って聞かせると子供たちは「はーい!」と元気な返事と共に家から飛び出していく。
しばらくリビングでゆっくりしていると、続々と湖畔の家族たちが集まってくる。
「おうタクマ。戻ったか。王様との謁見なんて疲れただろ。で?子供たちに集合だって言われてきたんだけど」
最初に口を開いたのはカイルだ。若干疲れた顔を浮かべているタクマに気付かうような言葉を掛ける。
「精神的にちょっとな……それと皆に話しておきたい事がいくつかできたんだ」
詳しい事は集まってから話すと言うと、カイルは分かったと言ってタクマの向かいに座った。しばらく待って全員が集まると、タクマは静かに話しを始めた。
謁見の結果から始まり、アークスの事と話を進めていく。そしてタクマにとっては一番重要な事を報告する。
「夕夏と俺との間に子供が出来たんだ」
そんなタクマの言葉に集まった家族たちの目が丸くなった。
それを理解させられたパミルは場の空気となり真っ青な顔色をしている。
「では私たちは一旦湖畔の方へ行って子供たちに話をしてきます。あの子たちも王族。きっと理解してくれるでしょう」
王妃たちは席を立つとそう言って執務室から退席していった。
二人が居なくなった場はシンと静まり返る。
「……タクマ殿……」
縋るような呟きだったが、タクマにそれを慰める事無く口を開く。
「お二人の決心を変える言葉を俺は持っていませんよ。今の状況を変えるのはパミル様次第でしょう。頑張ってください」
敢えてタクマは突き放すまでも言わなくともきっぱりと返す。ここで慰めを入れるのは王妃の決意を汚すことになると思ったからだ。
そして自分たちは夫婦喧嘩の仲裁に来ているのではなく、仕事で来ているのだと続けた。そもそも謁見後に残されたのは王が自分の妻や子供たちの事を話したかったのは分かり切っている。それが済んだ以上、残った話は少ないのだ。
「う、うむ……そうだな……すまん、謝罪する。君たちの貴重な時間を使わせて申し訳ない。で、だ。先ほどノートンから方向を受けたが、アレの封印が解けたそうだな」
気を取り直したパミルはタクマに謝ってから宝物庫での一件について聞きたいと言ってきた。タクマは封印されていたのは召喚者、転移者の為のアイテムであり普通の者には絶対渡せない物だと説明し引き取りたいと答える。
これまで王国では封印を解くこともできず死蔵していたアイテムだ。パミルはあっさりとタクマに譲渡すると答える。
「ヴェルド様の神託に従い、転移者と召喚者にまつわるアイテムは君に一任する。封印が解けた以上、我々が持っているのは危険すぎるからな」
「ありがとうございます」
パミルはアイテムについての詳細も聞かない。聞いたところで自分たちには過ぎた物であるのが分かっているからだ。
「アイテムについても話しましたし、用事はこれで終わりってことですかね」
「うむ、我らの都合に付き合わせてすまなかった。報酬などに関してはノートンと君の臣下で済ませているだろうしな……それとタクマ殿、改めてマギーとショーンの事よろしくたのむ」
全ての用事は済んだと答え、今後の子供たちの事を改めて頼むパミルに、タクマは笑みを浮かべながら問題ないと答えた。
「お二人ともいい子たちですし、うちの子達とも上手くやっていますから大丈夫ですよ。だから早めに帰れるようにしてあげてください」
「う、うむ……」
そう言うタクマにパミル自身もしっかりと自覚はあるらしい。これからの自分がどれだけ厳しく再教育されるのか少し怯えている様にも見える。
そんなパミルに苦笑いを向けながらタクマ達は席を立ち帰る事を伝える。
「では俺たちも帰ります。また何かある時はよろしくお願いします」
「うむ。このまま帰るのならここから行くと良い。ノートンには我から伝えておこう」
許可も出たのでタクマはそのまま魔力を練り上げ夕夏とアークスと共に湖畔へと飛んだ。
「再教育……か……地獄が始まるな……」
身から出た錆とはいえこれからの事を思い天井を見上げてため息を吐くのだった。
予想外に時間を取られたタクマたちではあったが、無事に帰宅することができた。ちょっとした不穏なアイテムを持ち帰る事になってはしまったが、それは今更だろう。タクマのアイテムボックスにはそんなアイテムが沢山死蔵されているのだから。
湖畔に戻ったタクマ達は自分の家へと入っていく。周囲は既に暗くなり始めている。トーランで働いている者たちも帰宅している時間だろう。
「あ!おとうさん!」
「おかえりー」
「お仕事終わり?」
玄関を開けると子供たちが嬉しそうな顔で出迎えてくれた。タクマは飛びついてくる子供たちを優しく受け止め撫でてやる。夕夏にも飛びつこうとする子たちもいたが、それは止めてあげてくれと言う。子供たちは飛びつく寸前で止まり首を傾げる。
タクマは留まってくれた子供たちを撫でるとゆっくりと口を開く。
「お母さんは身体に変化があったから、しばらく激しい触れ合いが出来なくなったんだ。リビングでちゃんと説明するから、みんなを集めてくれないか」
そう言って聞かせると子供たちは「はーい!」と元気な返事と共に家から飛び出していく。
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「おうタクマ。戻ったか。王様との謁見なんて疲れただろ。で?子供たちに集合だって言われてきたんだけど」
最初に口を開いたのはカイルだ。若干疲れた顔を浮かべているタクマに気付かうような言葉を掛ける。
「精神的にちょっとな……それと皆に話しておきたい事がいくつかできたんだ」
詳しい事は集まってから話すと言うと、カイルは分かったと言ってタクマの向かいに座った。しばらく待って全員が集まると、タクマは静かに話しを始めた。
謁見の結果から始まり、アークスの事と話を進めていく。そしてタクマにとっては一番重要な事を報告する。
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