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第一章
とてつもない問題
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しんと静まり返った室内。
緊迫した空気を破ったのは新さんだった。
「じゃあ……、さっきの女性は……?」
恐る恐る聞く新さんに、僕らも固唾をのんだ。
「だから、喰ったからいない」
「お前な……」
じっと黙って成り行きを見守っていた大翔さんが、苛立ちを隠せない声で唸る。
「誰が冗談を言えと言った。ちゃんと答えろよ!」
「だからちゃんと答えてるじゃねーか! さっきも言った通り俺は異世界人なんだ! 主食は生の肉なんだよ! 食っても良いって言ったのはお前らだろ!」
「……!?」
一斉にみんなの顔が青くなる。
そしてズザッと文字通り後ろに下がり、壁際にピタリと背中を付けた。
「……お、お前……生肉しか食べられないのか……? てか、人食い!?」
「ああ? 別に個体は選ばないけどな。肉ならなんだって食う。 ……ただ、生の方が好物だ。一応煮たのも焼いたのも食えはするが、生に比べりゃ味はだいぶ落ちるよな」
……酷い!
何で兄さんそっくりなあの容姿でそんなことが言えるの?
必死で溢れそうになる涙をこらえる。
……だって、やっと兄さんが見つかったと思ったら、異世界人? 肉食人種!? なにそれ!!
「……大丈夫か?」
余程僕は酷い顔をしていたんだろう。大翔さんが心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
「……ない。大丈夫じゃないよ……。何で? なんで兄さんと同じ顔であんな酷いことが言えるの?」
声に出したら唇が震えて、ボロボロと涙があふれて来た。
大翔さんは僕を抱きしめて、何度も何度も宥めるように背中を摩ってくれた。
「……落ち着いたか?」
「なんとか……」
そう返事はしたものの、僕の心のダメージは半端ないものだった。
だって、兄さんが生きていたんだって、また一緒に家に帰れるんだってそう思って、凄く凄くうれしかったのに……。
それなのに……。
「……なあ、コイツどうする?」
今までほとんど黙って事の推移を見守っていた(というよりは、どうしていいのか分からなくて口出し出来なかったってところだろうけど)晴斗さんが、チラリと視線を異世界人に向けた。
「…………」
「…………」
だけどその一言は破壊的で、皆の胸に強力なパンチをくらわす。
そう、現実に一気に戻されたんだ。
異世界人で肉食獣(肉食人種?)で、しかも兄さんそっくりのこの人を、どう扱ったらいいのかという難問が僕らの前には残ったままだったのだ。
緊迫した空気を破ったのは新さんだった。
「じゃあ……、さっきの女性は……?」
恐る恐る聞く新さんに、僕らも固唾をのんだ。
「だから、喰ったからいない」
「お前な……」
じっと黙って成り行きを見守っていた大翔さんが、苛立ちを隠せない声で唸る。
「誰が冗談を言えと言った。ちゃんと答えろよ!」
「だからちゃんと答えてるじゃねーか! さっきも言った通り俺は異世界人なんだ! 主食は生の肉なんだよ! 食っても良いって言ったのはお前らだろ!」
「……!?」
一斉にみんなの顔が青くなる。
そしてズザッと文字通り後ろに下がり、壁際にピタリと背中を付けた。
「……お、お前……生肉しか食べられないのか……? てか、人食い!?」
「ああ? 別に個体は選ばないけどな。肉ならなんだって食う。 ……ただ、生の方が好物だ。一応煮たのも焼いたのも食えはするが、生に比べりゃ味はだいぶ落ちるよな」
……酷い!
何で兄さんそっくりなあの容姿でそんなことが言えるの?
必死で溢れそうになる涙をこらえる。
……だって、やっと兄さんが見つかったと思ったら、異世界人? 肉食人種!? なにそれ!!
「……大丈夫か?」
余程僕は酷い顔をしていたんだろう。大翔さんが心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
「……ない。大丈夫じゃないよ……。何で? なんで兄さんと同じ顔であんな酷いことが言えるの?」
声に出したら唇が震えて、ボロボロと涙があふれて来た。
大翔さんは僕を抱きしめて、何度も何度も宥めるように背中を摩ってくれた。
「……落ち着いたか?」
「なんとか……」
そう返事はしたものの、僕の心のダメージは半端ないものだった。
だって、兄さんが生きていたんだって、また一緒に家に帰れるんだってそう思って、凄く凄くうれしかったのに……。
それなのに……。
「……なあ、コイツどうする?」
今までほとんど黙って事の推移を見守っていた(というよりは、どうしていいのか分からなくて口出し出来なかったってところだろうけど)晴斗さんが、チラリと視線を異世界人に向けた。
「…………」
「…………」
だけどその一言は破壊的で、皆の胸に強力なパンチをくらわす。
そう、現実に一気に戻されたんだ。
異世界人で肉食獣(肉食人種?)で、しかも兄さんそっくりのこの人を、どう扱ったらいいのかという難問が僕らの前には残ったままだったのだ。
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