5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません

くるむ

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図書館で一緒に勉強をしよう

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 お昼休み。今日は2人だけじゃなくてみんなでワイワイ食べようと、テラス席の予約はやめていた。同じテーブルにぼくとルークとアーネストとクリスが着いている。

「へえー、薬草を育てるのにも相性というものがあるんですね。初めて知りました」
「そうなんだよ、ぼくも初めて知ったんだ」
 相性の調べ方もわかったし、帰ったらキリンスにも試してみようかな。

「僕らも今日は剣術の初稽古だったんだよ。僕らの科は風魔法を得意とする者の集まりなんだけど、持ってる属性はそれだけじゃないから、発揮される能力がみんな違うんだよ」
「へえ? じゃあ火魔法の扱えるルーク様は、突風だけじゃなくて火も放ったりするんですか?」
「僕みたいなひよっこはほんの少しね。ぬるい……熱風とも言えない程度かな。もっと鍛えると、風と炎を巻き起こすことができるみたいなんだけど」
「すごい、かっこいいですね」
「ノエルに自信を持ってそう言ってもらえるように頑張るよ」
 ニコリと微笑むルークにちょっぴりドキドキした。
 まだ素直に言えないけれど。

「そういえばアーネストは土魔法を持っていたよね。その場合はどんな感じなの?」
「私の場合は安定感ですかね? 相手の攻撃にもぶれない防御力がほかの人より強いような感じがします」
「クリスは?」
「僕の場合は風魔法特化型なので、風そのものの威力が強い感じだよ」
「みんな違うんだねー、面白いな」

 こんな話を聞くとぼくももう一度剣を振ってみたい気がするけれど、ぼくに才能がないことは以前で学習済みだからな……。

「そういえば宮廷魔導士のジョーンズ様って、特別講師をしているんですよね。ルーク様たちは会ったことあるんですか?」
「残念ながらまだ無いよ。あの方は忙しいらしいから、本当にまれにしか来ないみたいだよ」
「そうなんですか。会ってお話してみたいんですけど、ぼくのクラスでは講師をしてくれないんですよね」
 忙しすぎるから仕方がないことなんだけど、宮廷魔導師の教えを請うことができるのは特進クラスだけだ。
「来年は頑張って、僕と同じ特進Aに来てよ」
「えっ、それはかなり難しいミッションですね」
 今年のAクラスだって、2度目のズルのようなものなのに……。
 頬をぴくぴくさせていたら、ルークが良いことを思いついたという顔になった。

「そうだ。授業が終わったら、一緒に図書館で勉強しないか? 選択科目は無理だけど、基本科目なら教えてあげることができるよ。どう?」
 それはありがたいけれど……。
「ルーク様の迷惑になりませんか?」
「なるわけないよ。自分の勉強にもなるし。知ってるところなら復習にもなるだろ?」
「そういうことでしたら、ありがたいです」
「じゃあ今日からだね。モンゴメリー邸には僕の馬車で送るから。よかったら、アーネストもクリスもどうだい?」
「お邪魔じゃないですか?」
「邪魔なわけないよ。図書館で不埒な行為なんてできないからね」
 えっ?
 な、なんて冗談を言うんだよ。

 にこりと笑うルークに、それもそうだねと2人は頷いた。
 変なところで納得しないで……。


 授業が終わり、約束通りアーネストと一緒に図書館に行こうと、アーネストの席まで行った。
「すみません、先に行っててもらえますか? 今日中に学生課に提出しておかないといけない書類を忘れてましたので、出し終わったらすぐに向かいますから」
 そう言いながら書類をヒラヒラさせていた。ぼくが既に提出し終えたものだ。
「うん、わかった。じゃあ後でね」
「はい」

 アーネストが早足で学生課に向かうのを見て、ぼくも図書館へ向かった。途中でルークのクラスを覗いてみたけれど姿が見えなかったので、先に行くことにした。

 ここは2階なので、図書館に行くには階段を下りなければならない。廊下を抜けて階段を下りようと一歩足を踏み出した時、
「ひどいですわ、ノエル様!」
「えっ?」
 
 何が?と思って振り向いたら、怖い顔をしたサラがいた。
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