冤罪をかけられた聖女見習いは同情して助けてくれたイケメン騎士と楽しく暮らす

自作自演

「キャアアアッ！」
「ヒラリー様！？」

　突然呼び出されて来てみれば、ヒラリー様が階段の踊り場から叫びながら自分で飛び降りた。どういうことなのか分からなくておろおろしていると、聖女見習いの令嬢たちが集まってきて「ココさんひどい」と喚き始めた。

　ど、どういうこと？

「どうした、何があった」

　悲鳴を聞きつけた騎士様達がバタバタと駆け寄ってくる。

「ココさんが、ヒラリー様をあそこから突き落としたんです！」
　同じ聖女見習いのジュリア様が、私の方を指さして叫んだ。

「待ってください！　私はそんなことをしていません。何かの間違いです！」
「見苦しいですわよ、ココさん。ご自分の罪を認めなさい」
「そうですわ。ヒラリー様の能力に嫉妬して排除しようとしたのでしょう」

「何てことだ。平民の卑しさだな」
「そんな……」

　聖女見習いに選ばれてから、ずっと嫌がらせをされていたのは私の方なのに。
　結局みんな、平民の私がここに居ること事態が気に食わないということだ。

「あっ、いた……」
　弱々しい声でヒラリー様がうめいた。そして視線を私に移す。
「ココさんひどい。私に何の恨みがあるというの？」
　本当に私が突き飛ばしたかのような言い様だ。ご自分で飛び降りたくせに。

「ヒラリー様こそなんでそんなことをおっしゃるんですか。私が何もしてないのはヒラリー様がご存知のはずです」

「まあ、何てことを言うのかしらこの子」
「自分の罪をごまかそうとしているわ。司祭様にご報告しなくては」
「捕まえろ！」

　ええっ？

　戸惑った一瞬の間に騎士様に後ろ手に縛られ拘束され、納屋に放り込まれてしまった。