冤罪をかけられた聖女見習いは同情して助けてくれたイケメン騎士と楽しく暮らす

くるむ

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恋だと思います

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 昨日はしっかり食べて寝て体力をつけたので、今日は早めに出発しようと言うことになった。下の食堂でそそくさと朝食を済ませたあと、私とアルバート様は宿を出た。

「そういえば、聖女が決まったと言うことは、パレードとかあったりするんでしょうか?」

「するだろうな。聖女は魔獣を寄せ付けないために結界を張ったりと、この国にとってなくてはならない存在で、安心材料だ。聖女の存在を民にアピールすることによって治安の維持にも繋がるし、経済の発展にも貢献する。そういう意味でも大事なイベントだ」

「そうなんですか。ヒラリー様も責任重大ですね」

「ああ。彼女にどれだけの能力があるのかわからないけど、真面目に能力を振るってくれればそれで問題ないだろう」

「そうですね。えっ? アルバート様?」
 急に肩を引き寄せられてびっくりした。
「しっ!」
「えっ?」
「様子が変だ。まだ俺たちのことを探しているようだ」

 言われてみれば、大柄な男の人たちが数人、辺りをキョロキョロしながら歩いている。

「フードを被ったほうがいいでしょうか?」
「いや、真っ正面から顔を見せなければ、却って髪色は見せた方がいいだろう」
「わ、わかりました」

 アルバート様は仲の良い恋人を演じているつもりなのか、私の顔を見るように男の人たちから顔を背けるようにして歩く。私はそれに対して照れているように口元を手のひらで覆った。こうすれば、たいして知らない私の顔が余計にはっきりしないだろう。
 彼らとすれ違う時はさすがにドキドキしたけれど、どうやら無事にバレずに済んだようだ。

 ほっとしたのもつかの間、街の掲示板にwantedと書かれて私とアルバート様の似顔絵が貼られていた。

「なんだこれ、ひどいな。捏造するにもほどがある」
「何が書かれているんですか?」
「ああ……。ココの似顔絵のすみの方には、聖女への殺人未遂、聖女の護衛騎士をたぶらかした女と書かれている。俺の方には、騙されているので見かけたら通報をと書かれていて、おまけに聖女が心配して待っているので、戻って来るようにだとさ」

「……聖女が心配して待っているというのは、ヒラリー様が、と言うことでしょうかね」
「そういうことなんだろうな。なんなんだあの女は」

 そういえばアルバート様が初めて紹介された時、ヒラリー様はキラキラした瞳でアルバート様のことを見つめていたっけ。

「好きなんだと思います」
「は?」
「恋です」
「はあっ?」

 アルバート様の眉間には、深い深いしわが寄っていた。
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