その者、異端につき。

たらしな いな

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プロローグ

狩るもの

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町を出ていくらか歩くとだんだんと道の整備が甘くなっていく。
さらに開けている道から脇にそれるような獣道を発見し、そこから森に入っていく。正直かなり歩きにくい。
道らしきところを進もうに木々が覆い茂ってあまり明るくないから、ちょっと不気味だ。

草を排除しながら歩きたいところだが、こういう道はあまり状態を変えてしまうと最悪生態の変化に生じてしまう可能性もあるため、下手に無理やりも進んではいけない。らしい。
ほどほどに草木を掻き分けて進んでいくと、どこかから水の流れる音…川か?

音のするほうへ足を進めると、思ったとおり大きい川へ出た。しかもすぐ傍に湖も見える。
地図にあった、ダイアウルフの発見場所にとても近い。

キールと俺は目線を合わせてから、川沿いに進む。
姿勢を低くし、岩陰から顔を出してみると、岩の色と少し似た毛皮をまとった獣の姿。


「お、やっぱりいたいた」
「結構数居るなー…」


ダイアウルフとはウルフ種の中位種で、そこそこ強い。というか大きい。
主に集団で行動し、その為繁するのも早くてウルフ種の中で一番数が多いとも言われている。
群れには一匹長が居て、その群れを率いる。
一つの群れで大体20~30は居るらしくて、ただでさえそれなりに強いやつが大勢でいるもんだからなかなか一群殲滅をさせられる人はいない。

まぁ、長を倒せば散り散りに逃げていくらしいし、自信のあるやつは長一直線、ってことで簡単なんだか難しいんだか…まだ戦ったことのない俺には良くわからない。

それに長は普通のダイアウルフよりも大きい体躯とそれに反する素早さ、そして口から覗く大きな牙は岩でさえも砕くという。位強い。

…という噂。


「じゃあ、俺囮になろうか?足には自身あるし、キールの方が狙いは的確だし」
「…ん。じゃあそれで…」
「ぃようし!」


俺は意気込むと勢いよく立ち上がり、岩の陰から出て行く。
のをキールに止められた。


「待てこの馬鹿!お前どうする気だ」
「どうするもなにも、群れに突っ込んで暴れてく「却下」えーなんだよーけちー」
「けちじゃない」
「ぶー」
「ぶーたれない!」


ちぇ、と呟くと俺は再度渋々岩陰に身を潜めた。

となりでキールが睨んでるけどまぁ気にしない。
代案を出せばいいんだろう。もう少しまともなものを。


「……。遠くから群れ狙って攻撃して逃げる。これで良いんでしょ?」
「よし、いってらっしゃい」
「………ちぇっ」


今度はゆっくり、俺は息を殺して岩陰から離れ、その群れに近づく。


何匹も集まるその中から、より一層大きく強そうなやつを探す。………いた。
タイミングも良く、群れの方でも長を囲むようにいる集まりと、手前で水を飲んだりとくつろぐ集まりとで分かれている。
一回戻ってそいつの場所をキールに教える。

そして、作戦の決行の為、見渡しが良い大きい岩に飛び乗って、狙いを定めた。
流石に姿を現したから、何匹かは俺の存在に気づき身構えているのが見えた。


出来るだけ群れの長より遠い手前で…


「よし、あそこだな。集中ッ…! ―火炎の壁ファイアーウォール!」


手の平に熱が集まる。そしてその熱を目標としたところを指先し飛ばすイメージ。
指さした場所…手前の群れの足元から大きな炎が現れ、何体かの体を包み込んだ。
範囲に入っていた数体が、熱さにか大声を上げる。

俺は小さくガッツポーズをすると、俺に気づいたらしい奴らにもういっちょ攻撃をくらわし、その場から走り去る。


「おーこえー」


後ろから吠えながら着いてくる奴らは、本当に早い。
でも…俺も早いほうなんだよね、着いてこれるかな?

俺はニヤリと笑った。
俺のすぐ後ろに詰めてきた一匹が勢いよく飛び掛ってくる。


「跳ね上がれ!―兎翔ラビットウィング!」


足元に風が生じる、その瞬間に思い切り踏み込む。
次の視界に飛び込むのは、目の前にそびえ立つ木々ではなく、さっきの暗いところと打って変わっての、明るい、大空。

思いのほか高く飛び上がりすぎた…。

足元から伝わる風をコントロールして、俺は少し下に降りてみる。
すると宙に居る俺の方に吠えながら飛び上がってくるウルフたちの姿。
木々に転々と跳びかかり、向かってくる奴もいるけど惜しくも俺には届かない。
降下の際に仲間に衝突してるのもちらほら。


「駆除ッつってたし、倒しちゃっていいのかな?」


大きく鋭い牙をむき出しにし、空中を噛むその姿に、俺は意地の悪い笑みを浮かべた。
少し離れたところに着地して、その数匹を待つ。

荒い息が聞こえてきて、木々に隠れて囲まれたのを感じる。
俺は鞄を脱ぎ落とし、腰を低くした。

そして腰にかけてあるナイフに手をかける。


「掛かって来いよ、ワンコロ」


煽る様に言うと、一匹が草むらから出てきて、それに続いてどんどんと俺に飛び掛ってきた。

俺はニッと笑うと最初の一匹の突進を寸前で横へかわしそのまま頭を一刺し、急所に埋めてやった。
そして続いて掛かってきた奴らの方に蹴飛ばしそれを追うように詰め寄る。

近づきながら手を通じナイフに集中、そして


「切り裂け―風の刃ウィンドカッター!!」


投げるような体制で横にナイフを振ると、振った方向へ鋭い風が発生し隠れたダイアウルフの体ごと切り裂かれる。
後方からくる殺気に咄嗟に振り向き、そのままもう一回攻撃すると、ダイアウルフの体は二つに裂けて地に落ちた。
周りは森だから迂闊に火の魔法は使えないからね。
身を屈め、地に手を添え、大きく息を吐きながら力を籠める。
すぐ周りにダイアウルフはいなく、少し距離をとり隙を狙ってか様子をうかがっているのだろう。

仲間が殺され気が立っているから殺気はダダ漏れなんだけどね。

しかし威嚇しているものの先ほどの風の刃の届く範囲のギリギリのところに留まっている。

…ちゃんと学ぶんですね、前戦った普通のウルフはどんどん襲い掛かってきたんだけどな。


「でも、これはどうかな…索敵エネミーサーチ…―地烈撃アースクエイク!」


自分を中心に感知魔法を張り巡らせ、敵の反応にむけて魔法を放つ。
地面がぐらぐらと揺れるため俺は咄嗟に宙に跳ぶ。
ダイアウルフがいる場所は地面が瞬時に隆起し刺すように仕留めらてれるのを目視で確認する。

…と、辺りをよく見渡してみたらもう追ってきたダイアウルフらはいないらしく、死体だけが転がっている。
まあ、確かに今の一発で一気に10体以上仕留めたはずだもんな。

一応確認がてら索敵で一体ずつ刺し損じはないか見て回る。
おそらく切り刻んだりしなくても自然の原理で処理されるだろう多分。


「…20体位居たし多分大丈夫でしょ。あっちどうなってるかな、行こ。―兎翔ラビットウィング

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