ドラゴンアース anotherstory ‐死の魔女‐

とと

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トカゲ王の城

1.

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アストとパラガスは王国の南門を抜け、尊敬する三人の勇者の旅立ちを見送りに走っていた。

三人の勇者の名は、アールド王国の王子バセル、宮廷魔術師レティス、そして騎士隊長ガリッグである。

やがで二人の少年の目に、野原を馬に跨がり、南に横断する三人の勇者の姿が写った。

「見えたぞ、アスト!」
パラガスがアストに叫ぶと、アストは無言で頷いた。

そして、二人が三人の勇者を呼び止め、ようやくそれぞれが対峙した。

「すまないな、パラガス、アスト」

白馬に跨がった青年が、陽気な笑顔で謝罪した。

アストとパラガスは、王国から二時間走り、息も切れ切れな状態だった。

「黙って去るなんて…」

アストが青年を睨む。

「アスト、バセル様に失礼だぞ」

発言したのは、白馬の青年の右にいる茶毛の馬に跨がったガリッグ騎士隊長だった。

「いや、アストの言うとおりです、ガリッグ隊長…」

パラガスが反論した。

「確かに黙っては、よくないわね」

その発言をしたのは宮廷魔術師レティス。

レティスもバセル王子と似たような白い馬に跨がっており、美しい女性であった。

三人の勇者はそれぞれが23歳で同じ歳であり、幼なじみであった。

「まぁ気にするな、オレはもう王子でもないしな…」

バセルは明るく答えた。

「もう王国には戻らないのですか?」

パラガスが質問すると、バセルは軽く頷いた。

「王国を守るのはお前らに任せた」

「…勝手ですよ」

バセルにアストは反論した。

「アスト、じゃあお前にオレが王国に置いてきた生まれたばかりの黒毛の馬をやろう…」

唐突にバセルが言った。

明朗な性格であるゆえ、バセルは唐突に話題を変えたのだろう。

この性格ゆえ、悲しみの別れを嫌って、黙って王国を去ったかもしれない。

「パラガスには………、レティスなんかやってくれ」

バセルは少し間を置き、レティスに話しを振った。

パラガスに渡す物が浮かばなかった様子だ。

「もう、ちゃらんぽらんね…」

レティスはバセルを罵り、馬に掛けてある荷物の中を探った。

「王子、物で話しをごまかさないでください」

その態度にパラガスが怒鳴った。

「パラガス!いい加減にしろ!」

ガリッグがパラガスを怒鳴る。

「ガリッグ、悪いのはコイツらじゃねーよ」

バセルが制した。

「パラガス、アスト、おめーらが国を守るんだよ、オレの器じゃ国は守れない」

バセルは真剣に答えた。

「オレは王にはならねー、いやなっても潰れる」

「でも、いずれはなってもらわないと…」

アストが反論した。

「だから旅に出て、いろんな国を巡るんじゃねーか」

「そうよ、王国にいるだけでは、見えないところもあるのよ」

レティスがバセルの発言を補足し、パラガスにある物を投げた。

レティスがパラガスに投げた物は10センチ位の杖だった。

「こ、これは…」

パラガスが手にした物に驚いた。

「ふふ、貴方ならいつか使いこなせるわ」

レティスが微笑む。

「貴様達に王子は国を任せると言ったんだ、出来るよな」

ガリッグ隊長が叱責する。

パラガスとアストはしばらく沈黙し、そして頷いた。

「…でも約束して下さい!必ず戻ってくると…」

「ああ、約束する」

バセルが二人の少年に宣言した。

「アスト、お前にくれた馬の名前はシャムだ。あの馬の母親はシャムを産んですぐに亡くなり、父親は……、まぁわかんねぇが、可愛がってくれ」

「はいっ!」

アストが承知した。

「馬の世話を怠ると、悪い夢見るからなっ!」

バセルが冗談を言うと、ようやくその場にいる五人に笑顔が戻った。



…そして、しばらく五人は会話をした後、それぞれの未来の為に、旅立ちした。
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