ドラゴンアース anotherstory ‐死の魔女‐

とと

文字の大きさ
30 / 43
ミレアの謎

2.

しおりを挟む
神話に、とてつもなく巨大な龍が、自らの死に場所を求め、水の星に降り立ったと語られている。

そして龍はその場で死に絶え、やがて幾千の昼と夜が、龍の亡きがらを大地に変え、龍地球ドラゴンアースと呼ばれる所以となった。

幾千の昼と夜が、大地を裂き、龍の左翼だった大地は、アランミューア大陸と呼ばれ、龍の右翼だった大地は、古の水大陸と呼ばれ、龍の体と尾の大地は、暗黒大陸クーフェと恐れられた。

また龍の頭は魔力のせいなのか謎に包まれているが、浮遊し、月へと生まれ変わったと伝えられている。

現に月の形は、どこと無く龍の頭の形に似ており、遠くの星々のように、丸みはなく、形はいびつだった。

その龍地球には、最強の龍族の中に龍地球の子と呼ばれる十の龍が存在する。

一例をあげると、ミレアに殺害された象龍と呼ばれる闇龍ダークドラゴンキーカンバー。

ハ本脚の何処かを失った蜘蛛の形に似た緑龍グリーンドラゴンフォレストボイス。

そして次にミレアが狙いと決めた嵐の群島に生息する嵐龍ストームドラゴンシックルランなどがそうだ。

ミレアは今、嵐龍を永遠の下僕にする為、真昼のさなか、死の軍隊を率いて、アランミューア大陸を南へと行進していた。

死の軍隊はすでに五百を越えていた。

そのほとんどが動く死体ゾンビ動く骸骨スケルトンだった。

死体の種類は元人間だった者や、エルフやドワーフ、低脳食人亜人ゴブリンや、カビの巨人トロールなど様々な亜人種族がゾンビまたは、スケルトンと化していた。

「もうすぐシーフー山脈 に到達ね…」

動く龍骸ドラゴンスケルトンと変貌したキーカンバーの頭部に立つミレアは、静かにつぶやいた。

アールド王国を襲撃して二十日がたった。

その間、ブディスの森まで行き、緑龍フォレストボイスに戦いを挑んだが、逃げられてしまい、あげくに闇龍の肉は緑龍の毒の息吹により、溶けてしまった。

成果はなし…。

ミレアにとってこの出来事は腹立たしく、腹いせにブディスの森周辺に生息した様々な亜人達を殺しまくり、また近くの人気ひとけのある集落を襲い、死の軍隊を増やしていった。

ミレアは思った。

嵐の群島に行く前に立ち寄る爬虫類系亜人の王国を襲撃し、軍隊を増やす事を…。

ミレアは思った。

すでに別行動をとった死の軍隊が、盗賊都市バルキルに着くだろうと…。

ミレアはアランミューアの生きとし生ける者すべてに死を与える気でいるのかもしれない。

ゆくゆくは、別の大陸の住人達も…。

そしてミレアは最後に、こう思った。

焦る必要はない。何年何十年何百年たとうが、私は残りの十龍達を殺す。

ミレアは天に向かって両手を広げ、宣言した。

何故、ミレアは十龍を殺したがっているのか…?

ミレアは何故、変貌したのか…?

謎を知る日は近づいている。

そう、アストと死の魔女との再開で……。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

処理中です...