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鈴姉の海外留学先
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「太陽系リゾートホテル。宇宙ステーション・ミルキーウェイへようこそ? それで本当に行くの光太郎? 旅行券当たったのはいいことだし……明日の早朝には私、空港へ行くわよ」
「あ、ああ……。どうすっか? 鈴姉?」
俺の部屋で鈴姉と電話している。あの後、家に帰って、飯と風呂を終えると、自室に閉じこもった。セミダブルのベッドに座って、窓を閉めて、カーテンもとじていた。
「第一、宇宙へなんて、だいぶ変よ。そもそも、どうやってここから宇宙のホテルまで行くのよ」
「あ、それは大丈夫なんだ。星降埜《ホシフリノ》神社って、ところから行けるってチケットに書いてあるんだ。船は3番目だって、なんのことか一体どんなことになるのか。さっぱりだけど、暇だから……行ってみる」
「……」
「……」
「……」
「ちょうど、明日から大型連休だしさ。ちょっと見てみようかな? って、軽い気持ちなんだ」
「そう。それで、明日空港へは? お別れ言いたいし」
「わかってる。行くよ。星降埜《ホシフリノ》神社へ行くのは夕方頃になるな」
翌朝。鈴姉の父さんが運転する普通自動車で、空港まで行った。首都圏中央連絡自動車道を小一時間ほど走れば空港だ。途中、まったく疲れていないけど、鈴姉の父さんがどうしてもというんで、サービスエリアで休憩するんだってさ。
「もう、みんなも空港へ向かっている頃ね」
「ああ、早起きできなかった奴は、そのまま置いていくんだよな」
「……飛行機待ってくれないものね」
鈴姉にお別れをいいたい女子は、天台高校にたくさんいるんだ。けれど、何故か男子の方が多くて、その中には俺みたいな不良もいる。鈴姉は天台高校で人気者だった。
「……」
「……」
無言の時間ができた。でも、俺と鈴姉は全然眠いわけじゃない。鈴姉もだとは思うけどさ。ホシフリノ(星降埜《ホシフリノ》神社)が頭から離れないんだよなあ。
「なあ、光太郎くんは彼女とかつくらないの?」
鈴姉の父さんが、唐突に聞いて来た。
「え? 俺?」
「あ、光太郎くんはモテるだろうから、もういるのかな?」
「いや。俺、不良だから……」
「うん? 不良の彼女がいるの?」
「そうじゃなくて」
「ううん? あ、わかった! じゃあ、真面目な優等生の彼女がいるんだ」
「なんで?」
「違うのか……うんうん」
「?」
「光太郎くんは鈴樹のことどう思ってるんだい? いつも一緒にいるから、もう本当の姉弟のようになってしまったのかも知れないけど、親が言うのもなんだがねえ。こう見えて、鈴樹はちょいと年上だがいい女だよ」
「う……それは、ううう」
鈴樹という名は鈴姉の名前だ。明石(あかいし) 鈴樹というのが鈴姉の本名だった。
後部座席にいる俺は照れ隠しに、窓の外へ首を向ける。
鈴姉の父さんは、そう話しながらハンドルを握って車線を変えた。しばらくすると、高速道路からサービスエリアに着いた。
「父さん……もう、休憩時間?」
「ああ、ちょっとな。ここのサービスエリアでラーメン食べようよ。光太郎くんは朝ごはん食べたの?」
「え? ああ、食ってないです……」
「太陽系リゾートホテル。宇宙ステーション・ミルキーウェイへようこそ? それで本当に行くの光太郎? 旅行券当たったのはいいことだし……明日の早朝には私、空港へ行くわよ」
「あ、ああ……。どうすっか? 鈴姉?」
俺の部屋で鈴姉と電話している。あの後、家に帰って、飯と風呂を終えると、自室に閉じこもった。セミダブルのベッドに座って、窓を閉めて、カーテンもとじていた。
「第一、宇宙へなんて、だいぶ変よ。そもそも、どうやってここから宇宙のホテルまで行くのよ」
「あ、それは大丈夫なんだ。星降埜《ホシフリノ》神社って、ところから行けるってチケットに書いてあるんだ。船は3番目だって、なんのことか一体どんなことになるのか。さっぱりだけど、暇だから……行ってみる」
「……」
「……」
「……」
「ちょうど、明日から大型連休だしさ。ちょっと見てみようかな? って、軽い気持ちなんだ」
「そう。それで、明日空港へは? お別れ言いたいし」
「わかってる。行くよ。星降埜《ホシフリノ》神社へ行くのは夕方頃になるな」
翌朝。鈴姉の父さんが運転する普通自動車で、空港まで行った。首都圏中央連絡自動車道を小一時間ほど走れば空港だ。途中、まったく疲れていないけど、鈴姉の父さんがどうしてもというんで、サービスエリアで休憩するんだってさ。
「もう、みんなも空港へ向かっている頃ね」
「ああ、早起きできなかった奴は、そのまま置いていくんだよな」
「……飛行機待ってくれないものね」
鈴姉にお別れをいいたい女子は、天台高校にたくさんいるんだ。けれど、何故か男子の方が多くて、その中には俺みたいな不良もいる。鈴姉は天台高校で人気者だった。
「……」
「……」
無言の時間ができた。でも、俺と鈴姉は全然眠いわけじゃない。鈴姉もだとは思うけどさ。ホシフリノ(星降埜《ホシフリノ》神社)が頭から離れないんだよなあ。
「なあ、光太郎くんは彼女とかつくらないの?」
鈴姉の父さんが、唐突に聞いて来た。
「え? 俺?」
「あ、光太郎くんはモテるだろうから、もういるのかな?」
「いや。俺、不良だから……」
「うん? 不良の彼女がいるの?」
「そうじゃなくて」
「ううん? あ、わかった! じゃあ、真面目な優等生の彼女がいるんだ」
「なんで?」
「違うのか……うんうん」
「?」
「光太郎くんは鈴樹のことどう思ってるんだい? いつも一緒にいるから、もう本当の姉弟のようになってしまったのかも知れないけど、親が言うのもなんだがねえ。こう見えて、鈴樹はちょいと年上だがいい女だよ」
「う……それは、ううう」
鈴樹という名は鈴姉の名前だ。明石(あかいし) 鈴樹というのが鈴姉の本名だった。
後部座席にいる俺は照れ隠しに、窓の外へ首を向ける。
鈴姉の父さんは、そう話しながらハンドルを握って車線を変えた。しばらくすると、高速道路からサービスエリアに着いた。
「父さん……もう、休憩時間?」
「ああ、ちょっとな。ここのサービスエリアでラーメン食べようよ。光太郎くんは朝ごはん食べたの?」
「え? ああ、食ってないです……」
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