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かくれんぼ
15話
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ちょっとうるさい休憩時間になると、僕は真後ろの女の子に聞いていみた。
「僕の席に置いてあった白いハンカチって、いつ頃からあったのかな? それと誰が置いたんだろう?」
後ろの子は天野さんという女子で、校内のマラソン大会で4位を記録していた。
「知らないわ。私が教室に入ったときには置いてあったの」
天野さんは色とりどりの折り紙を広げていた。
「それじゃあ、一番この教室へ早くに入った子に聞けばいいのかな?」
「それなら戸田さんよ」
僕は窓際の藤堂君の後ろの席の女の子に聞きに歩いていった。
戸田さんだ。
「僕の机に白いハンカチが置いてあったけれど、誰が置いたか見ていたら教えて?」
僕は白いハンカチを持っていた。窓の外にはカラカラの空に白い雲が泳いでいた。何気にその子を観察した。クラスで以外と有名な子で、父親が大企業の副社長なのだそうだ。「母を求めて3000里」を読んでいた。大きな瞳を細めて僕の顔を見てはひそひそ声で、
「わからないわ」
そう一言話すと、視線を本へと戻した。まったく興味を持っていなかったようだ。何か知っていたとしても嘘は言わなそうだ。僕は考えた。
この教室の子たちじゃない。
何故かというと、一連の犯人たちか犯人のせいだからだ。
学校の関係者か、それともそうではないかは正直解らない。
いずれにしても、亜由美に聞かなきゃいけない。花壇に落ちてきた人物を。
その人物が犯人だ。
昼休みに僕は亜由美のいる4年3組に来た。
教室は本を読んでいる亜由美以外は騒がしかった。僕は亜由美の机のところまで行くと、勢いよく話し掛けた。
「亜由美。お願いがあるんだけど。昨日の体育館にみんなが集まった時に、花壇に落ちてきた人って誰?」
亜由美はA4ノートを勢いよく引っ張り出し、迷惑そうに走り書きをし、すぐに本に目線を戻した。
僕はA4ノートを恐る恐る除くと。
「大原先生」
と書いてあった。
「え?」
(なんだって!!)僕はまた叫びたい気持ちを必死に抑えた。
目が白黒したけど、目の前の亜由美は一人読書に没頭していた。
「それ、本当なの?」
亜由美は迷惑そうな顔を上げて、こっくりと頷いた。
一体どういう事なのだろう?
確かに大原先生は体育館から他の先生たちと、放送室へと走って行ったはず。
そして、普通に戻ってきた。
大原先生が犯人?
そんなはずはないはずだ。
だって、裏の畑には近寄っていないはずだし。
僕が考えていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
下校時間になるまで、胸の動悸を隠しながら大原先生を観察していたけど、いつもと同じで何も変わったところがない。亜由美の見間違いなのかな?
そうだとすると、大原先生と同じ体格の女性が花壇に落ちてきたということだ。
やっぱり、外からの侵入者なのだろう。
そうでなくては、辻褄が合わない気がする。
その日は、学校が早めに終わって僕は篠原君と藤堂君に待ってもらって、花壇を調べたが足跡はなかった。
犯人に何かで繋がっているのは用務員さんだろう。
僕は決心した。
その後、亜由美も連れて藤堂君と篠原君と一緒に帰った。熊笹商店街で主婦などの通行人が多い時間帯だった。
大きな入道雲は僕たちに巨大な影を与えている。
つい、後ろを振り返って学校の場所を見てしまう。胸の動悸は未だに激しい。大きな混乱は、僕全体を揺さぶった。
真夏の容赦のない熱線の投射で、スクールゾーンと書かれた道路から湯気が立っていた。
僕たちは汗を掻いていた。
「ねえ、どうしてだと思う?」
篠原君が強がって僕に聞いてきた。
「何?」
「真夏の雨は凄いけれど、なんでか僕たちは親の送り迎えがあったり、なかったり」
篠原君はタイガースの帽子を被り直して、顔は強張っている。
「うーん。雨じゃなきゃいけない?」
「確かにいけなくない」
篠原君はタイガースの帽子を目深に被って、不安な気持ちを抑えているようだ。
「じゃあ、何かあるかも知れないものを上げてみよう」
藤堂君は震えた声を出した。
「まず、裏の畑でカカシの手足がまたでて、外の砂利道に溢れてきた……」
そこまで藤堂君がいうと、篠原君は震えだして、
「やめてよ!!」
訳も分からずに叫び声を発した。
僕は本当はそれどこじゃないけど、優しい嘘をついてあげた。
「雨が降ると、御三増町の全部の川が溢れるからだよ。学校の先生が陰で言っていたんだから、本当だよ」
藤堂君が俯き加減で聞いてきた。
「本当?」
「ああ、でも学校の先生には秘密。だって、陰で言っていたから」
篠原君は強がって、大きく頷いた。
学校の先生は拙い。
僕が目立つといいことはないはずだ。
強い日差しとぬるい風を受けて、汗を掻いて歩いていると、黄色の天幕が張られた熊笹商店街には主婦たちが買い物で賑わいを見せていた。
「僕の席に置いてあった白いハンカチって、いつ頃からあったのかな? それと誰が置いたんだろう?」
後ろの子は天野さんという女子で、校内のマラソン大会で4位を記録していた。
「知らないわ。私が教室に入ったときには置いてあったの」
天野さんは色とりどりの折り紙を広げていた。
「それじゃあ、一番この教室へ早くに入った子に聞けばいいのかな?」
「それなら戸田さんよ」
僕は窓際の藤堂君の後ろの席の女の子に聞きに歩いていった。
戸田さんだ。
「僕の机に白いハンカチが置いてあったけれど、誰が置いたか見ていたら教えて?」
僕は白いハンカチを持っていた。窓の外にはカラカラの空に白い雲が泳いでいた。何気にその子を観察した。クラスで以外と有名な子で、父親が大企業の副社長なのだそうだ。「母を求めて3000里」を読んでいた。大きな瞳を細めて僕の顔を見てはひそひそ声で、
「わからないわ」
そう一言話すと、視線を本へと戻した。まったく興味を持っていなかったようだ。何か知っていたとしても嘘は言わなそうだ。僕は考えた。
この教室の子たちじゃない。
何故かというと、一連の犯人たちか犯人のせいだからだ。
学校の関係者か、それともそうではないかは正直解らない。
いずれにしても、亜由美に聞かなきゃいけない。花壇に落ちてきた人物を。
その人物が犯人だ。
昼休みに僕は亜由美のいる4年3組に来た。
教室は本を読んでいる亜由美以外は騒がしかった。僕は亜由美の机のところまで行くと、勢いよく話し掛けた。
「亜由美。お願いがあるんだけど。昨日の体育館にみんなが集まった時に、花壇に落ちてきた人って誰?」
亜由美はA4ノートを勢いよく引っ張り出し、迷惑そうに走り書きをし、すぐに本に目線を戻した。
僕はA4ノートを恐る恐る除くと。
「大原先生」
と書いてあった。
「え?」
(なんだって!!)僕はまた叫びたい気持ちを必死に抑えた。
目が白黒したけど、目の前の亜由美は一人読書に没頭していた。
「それ、本当なの?」
亜由美は迷惑そうな顔を上げて、こっくりと頷いた。
一体どういう事なのだろう?
確かに大原先生は体育館から他の先生たちと、放送室へと走って行ったはず。
そして、普通に戻ってきた。
大原先生が犯人?
そんなはずはないはずだ。
だって、裏の畑には近寄っていないはずだし。
僕が考えていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
下校時間になるまで、胸の動悸を隠しながら大原先生を観察していたけど、いつもと同じで何も変わったところがない。亜由美の見間違いなのかな?
そうだとすると、大原先生と同じ体格の女性が花壇に落ちてきたということだ。
やっぱり、外からの侵入者なのだろう。
そうでなくては、辻褄が合わない気がする。
その日は、学校が早めに終わって僕は篠原君と藤堂君に待ってもらって、花壇を調べたが足跡はなかった。
犯人に何かで繋がっているのは用務員さんだろう。
僕は決心した。
その後、亜由美も連れて藤堂君と篠原君と一緒に帰った。熊笹商店街で主婦などの通行人が多い時間帯だった。
大きな入道雲は僕たちに巨大な影を与えている。
つい、後ろを振り返って学校の場所を見てしまう。胸の動悸は未だに激しい。大きな混乱は、僕全体を揺さぶった。
真夏の容赦のない熱線の投射で、スクールゾーンと書かれた道路から湯気が立っていた。
僕たちは汗を掻いていた。
「ねえ、どうしてだと思う?」
篠原君が強がって僕に聞いてきた。
「何?」
「真夏の雨は凄いけれど、なんでか僕たちは親の送り迎えがあったり、なかったり」
篠原君はタイガースの帽子を被り直して、顔は強張っている。
「うーん。雨じゃなきゃいけない?」
「確かにいけなくない」
篠原君はタイガースの帽子を目深に被って、不安な気持ちを抑えているようだ。
「じゃあ、何かあるかも知れないものを上げてみよう」
藤堂君は震えた声を出した。
「まず、裏の畑でカカシの手足がまたでて、外の砂利道に溢れてきた……」
そこまで藤堂君がいうと、篠原君は震えだして、
「やめてよ!!」
訳も分からずに叫び声を発した。
僕は本当はそれどこじゃないけど、優しい嘘をついてあげた。
「雨が降ると、御三増町の全部の川が溢れるからだよ。学校の先生が陰で言っていたんだから、本当だよ」
藤堂君が俯き加減で聞いてきた。
「本当?」
「ああ、でも学校の先生には秘密。だって、陰で言っていたから」
篠原君は強がって、大きく頷いた。
学校の先生は拙い。
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