ご近所STORYⅡ エレクトリックダンス【改訂版】

主道 学

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捜索

捜索 1

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 早朝。
 朝の6時起床入浴。

 曇りの空の下で、昨夜の電話からアンジェたちは戦闘モードを、実に2年ぶりにしていた。ヨハは後で修理したほうがいいかもしれないが、アンジェたちのような正常な頭部は今現在はどこも製造されていない。

 僕はゆっくりとシーザークロワッサンと玉子とウインナコーヒーで朝食を摂った。
 
 気持ちの上下が僕にはない。
 いつもの日課のテレビをつけようとしたが、手が滑って間違えて云話事町TVのチャンネルのボタンを押してしまった。
 
「おっはよーッス!! 云・話・事・町!! TV―――!!」
「はいっ、藤元 信二です!!」
 美人のアナウンサーがピンクのマイク片手に、曇り空の下でA区の街並みを背景に話し出した。隣の藤元は呑気に空を眺めたりしていた。

「今日は大変おめでたいお話です。2年前の日本全土をひっくり返した野球の試合で、大活躍をした流谷 正章さん(男)がお子様を産みましたーーー!! お子様誕生でーーーーす!! おめでとうございますー!」
 青緑荘というアパートの正面にあるコンビニで、カメラ目線の流谷は照れ隠しに顔を一度、伏せた。
「本当―――に、おめでとうございます。どうですか、今のお気持ちは?」
「……大変、嬉しいです……。妻の梨々花(りりか)も顔が奈々川さんに似ていて、とても嬉しかったです」

 美人のアナウンサーはピンクのマイクで、容赦なく流谷の口の周りを攻めている。藤元は時々、カメラに向かってピースをしたりしていた。
「そうですか。前奈々川首相(晴美の父親)に?」
「ええ。はい。そうですね」
 
 流谷は顔を真っ赤にして、恥ずかしいといわんばかりに顔を伏せた。
 妻であろう梨々花という美しい女性が、後ろで赤ん坊をベビーカーに乗せて笑っていた。ういういしい新婚夫婦である?

「では、それでは今日の天気と運勢コーナーです――」
「はい。お天気は時々、細かいものなどをなくさないようにとでました。今日の運勢は……晴れですね」 
「それでは、いってらっしゃいー。って、お天気と運勢が逆だろ! コラ!!」

 僕はテレビのチャンネルを変えて、珍しく二杯目のウインナコーヒーとピザトーストと、ハンバーガーをアンジェに頼んだ。

 食後。テレビを消すと、僕は駐車場に降りようと玄関口からマルカを護衛に連れ、エレベーターに向かったが、途中、武装したヨハがついてきた。

「私~も連れてって~、ダ~メ~~ですか~」
 僕はこっくりと頷いて、武器と弾薬を持ったマルカだけを車の助手席に乗せていった。

 まずは原田の居場所を探さないといけない。
 昨夜から九尾の狐の情報をアンジェたちに探させているが、相手がわるいのか日本の全警察署のデータを調べても、名前しかでてこかなかった……。

 云話事町で一番、裏の世界を知っていると言われる人物に会いに、僕は車を走らせた。その間。会社にはアンジェが連絡をしていた。
 
 今頃は全部の仕事を押し付けた河守が大変だろうが、まあいいか。
 後、僕は10年ぶりに拳銃を所持した。
 旧ソビエト軍の正式拳銃マカロフだ。
 昔はよくハト撃ちで遊んでいたけれど、治安が良くなるとボディガードやアンジェたちだけで身辺警護は十分になっていたので、使わなくなった。

「雷蔵様。ヨハが心配していましたよ」
「……」

 僕は涼しい顔で車を走行して云話事ベットタウンへと向かった。国道6号線と高速道路を乗り換えていけばいい。その人物は云話事ベットタウンから更に東でA区よりの。云話事イーストタウンにいるという。

 そこで、坂本の所在を突き止めて、原田と共にスリー・C・バックアップのデータを奪う。至極簡単だ。金は渡さない。
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