8 / 42
捜索
捜索 2
しおりを挟む閑静な住宅街が居並ぶ云話事ベットタウンの国道6号線を走行中。バックミラー(電子式のミラー)に赤い点滅が出てきた。助手席にいたマルカが急に銃を抜いて合図をした。
遥か後方から猛スピードで、赤い車が走って来た。
「雷蔵様!! スピードを上げてください!!」
マルカの銃は大型マシンピストル。
ソ連のスチェッキン・マシンピストルだ。
赤い車は僕のランボルギーニの運転手側にあっという間に追いつくと、窓を開けて、撃ってきた。車の中にはノウハウが二体だ。
一体は運転に専念しているようで、もう一体はアサルトライフルを装備していた。
「雷蔵様!!」
マルカが身を挺して僕目掛けて撃たれた弾丸を跳ね返した。マルカの身体の皮膚はその辺のアサルトライフルの弾丸よりも頑丈なのだ。
マルカは、相手がカートリッジ交換のため撃ち終わると、反対のランボルギーニの左窓から、上半身をボンネットの上に乗り出してマシンピストルを撃ち放った。
連続する発砲音が道路のど真ん中で鳴り響く。マルカのマシンピストルの銃撃と新しいカートリッジを装填したアサルトライフルの赤い車からの激しい銃撃の応戦で、周りの一般車両が巻き込まれた。煙を上げる車や横転する車が現れ、各々の車両が急ブレーキをしたり逃げ出したりと大混乱が起きる。
猛スピードで走り回る赤い車は車体が弾丸でべこべこになって半壊した。だが、頑丈な作りのようだ。ノウハウはしっかりと体を固定させて何事もなかったかのように撃って来る。運転中のノウハウは、マルカの射撃を交わすための右に左にハンドルを切ることもない。
激しい銃撃の火花と相手の応戦で、お互いの車が見えにくくなるほどの硝煙があがった。
しまいには、僕のランボルギーニに無数の穴が空いてきた。
僕の車は防弾の特殊仕様でできているが、アサルトライフルで撃たれ過ぎて、車体が持たなくなってきた。
そして、一発の弾が貫通してしまった。
僕は腕を怪我して、止むなく対向車線の車を避けながら道端へと突っこんだ。
停車すると、すぐさまマルカが車から降りると、手榴弾を赤い車の車内目掛けて放り投げた。
赤い車は内部から爆発し、ボロボロの状態でどこかへと走り去って行った。
その後、負傷した僕はマルカによって、応急手当をされ近くの病院へと向かった。病院で処置を待っている最中。駆け付けた警察官と裁判官も兼ねるノウハウに幾つか質問された。
だが、僕は当たり障りのないことだけを淡々と告げた。
白くL字型の大きな総合病院。云話事・仁田・クリニックでは、ヨハが心配していた。僕の腕はマルカによって包帯を巻かれていたが、真っ赤な血だらけになった腕を見て、ヨハは険しい表情を作った。
「雷蔵様~~。大丈夫じゃなさそうで~~す。先生早く来てくださ~~い」
間延びした声のヨハが、ひっきりなしに白衣のノウハウ、看護婦が行き来する通路で仁王立ちした。
すぐに近くの白衣のノウハウをヨハが捕まえた。
「大丈夫ですか? 今、お調べしますね……。マイナンバーカードを見せてください」
ノウハウの持つ、手のひらサイズの識別装置で、挿し込んだマイナンバーカードを認識している間。僕は通路の長椅子に腰かけた。痛みは酷かったがあまり気にしていない。
それより、僕はさっきの赤い車はきっと坂本 洋子の送った刺客だと思ったが、隣に座っているマルカに赤い車を調べてもらっていた。マルカは僕の腕の包帯をきつく締めたりしながら、全警察暑のデータバンクと体内で通信している。
「だから~~。私を~~。連れてって~~~て、言ったのに~~」
ヨハは白衣のノウハウが僕を奥の診察室に案内するのを見送った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる