ご近所STORYⅡ エレクトリックダンス【改訂版】

主道 学

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捜索

捜索 3

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 午前の6時頃になって、急いでマルカが帰って来た。
「雷蔵様。裏の世界に詳しい男。博田 定則から聞いた話なのですが、どうやら、九尾の狐は今現在はA区にいるそうです。お金は支払いましたので、正確な情報です」
 マルカの声色は少し怪訝なところがあった。
 僕も同じ気持ちだ。
「A区……」

 A区は今でも農業や漁など昔ながらの生活をしている。田舎のようなところだ。日本屈指のハッカーが都会のB区にいないのは、なんだか腑に落ちない。

 いくらなんでも、最先端の情報を入手しにくいのでは?
 情報が入手できないと命に関わるのでは?
 原田はどうしてそのことを僕に一度も言わなかった?

「雷蔵様~~。もう少し入院しないと~~」
 ヨハが心配したが、僕は起き上がり早速着替えた。
「まずは九尾の狐に会いにA区に行こうよ。マルカ、ヨハ。敵はC区だから危険が相当にあるけど、今は情報を集めておかないと、後々困るだろう」
「雷蔵様~~。傷の手当はしっかりと~した方が~~」
 僕はヨハを押しのけて、階下へのエレベーターに向かった。マルカも心配しているが、早めにA区に向かいたい。

 受付と薬局に行って、念の為、止血剤と痛み止めを幾つか貰って、お金を支払い駐車場へ行くと、ボロボロのランボルギーニはマルカが修理にだしたようだ。ヨハは、赤色の4座席のフェラーリに乗って来ていた。

 僕はフェラーリに乗ると、助手席にヨハ。後部座席にマルカが座った。
 フェラーリで国道30号線に向かう。
 敵も巨大な組織になって、ますますリスクが膨らんできた。
 だが、今さらゲームのやり直しは出来ない。
 前に進んで何らかの利益の可能性を得る。それが、僕の信条だ。

 途中、ガソリンスタンドの喫茶店で休憩をした。
 ネズミを思わせる髭面のマスターにコーヒーとカシューナッツ&ナッツバーガーを頼んだ。
「ふ~~。雷蔵様~~。お肉だけでは~よくないですよ~。それと、アンジェから連絡がきました~~。今現在、数体のノウハウと交戦中だそうです~」
 窓際のテーブル席で向かいのヨハが心配そうな声をだした。
「雷蔵様。C区は何を欲しがっているのでしょうか?」
 僕の隣のマルカは窓際にいる。
「うん。僕にも解らない……。それに、かなり本格的に襲ってきているね。まあ、10憶円分の何らかのデータがかかっているから当然だけれど。スリー・C・バックアップ……一体何なのかな? 」
 僕は欠伸をした。

「どうぞ」
 マスターが熱々のカシューナッツ&ナッツバーガーを持って来て、コーヒーをテーブルの上のカップに淹れてくれた。
「……どうも」
 僕はハンバーガーをかじる。

「雷蔵様。アンドロイドのノウハウをより人間に近づけることが、C区の全面技術提供案。スリー・C・バックアップの要なのですから……。私は思います。きっと、何か裏があるのではないのでしょうか?」
 マルカは小首を傾げて疑問を呈したきた。
「雷蔵様~~。アンジェが心配です~~」
 ヨハは俯いた。
「それは……そうだね」
 僕はそう言うと、コーヒーを啜った。

 窓には夕日が見えていた。
 遊歩道にはジョギングをする若者たちがいた。
 僕は考えた。敵がそこまでしてくるには大きな理由がある。
 それは一体?
 九尾の狐は関与しているのだろうか?

 そうであるならば、どこまで関与しているのだろうか?
 スリー・C・バックアップの裏は一体何なのだろうか?
 それに、あの坂本 洋子(九尾の狐)からの謎の電話は……?
 
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